※本記事は、2019年12月25日刊行の定期誌『MarkeZine』48号に掲載したものです。
本日のお題
「サブスクビジネスの継続率、どう伸ばす?」あなたはサブスクビジネスの担当者。初月0円キャンペーンを行うなどして新規利用ユーザーを拡大していたものの、早期解約に悩んでいました。こんなとき、あなたならどうしますか?
回答者は……
株式会社ストライプインターナショナル
グローバルファッション EC本部 メチャカリ部部長
澤田昌紀氏
アパレル企業のノーウェアにて、「A BATHING APE」の販売・企画・生産に関わったのち、ゴルフダイジェスト・オンラインへ。2013年にストライプインターナショナルに入社し、EC事業を経て2015年にファッションサブスクリプションサービス「メチャカリ」を立ち上げ、現職。
「3ヵ月」の壁を超えるため月額39円に
――はじめに「39キャンペーン」の概要、実施した理由を教えてください。
「39キャンペーン」は、はじめて「メチャカリ」をご利用いただいた方に限り、はじめの3ヵ月、月額39円で「メチャカリ」のベーシックプラン(月額5,800円で3着まで手元に置くことができるプラン。返却手数料は380円/回※税別)を利用できるというものです。
「メチャカリ」は2015年の9月に開始したファッションのサブスクリプションサービスで、月額制で何度でも新品の服をレンタルすることができるというサービスです。「earthmusic&ecology」や「koe」といった当社の人気ブランドだけでなく、他社ブランドの商品も取り揃えており、現在150以上のブランドから自由に選ぶことが可能です。
今回のキャンペーンは、「4ヵ月目以降の継続率」を向上することを第一の目的として実施しました。というのも、これまでのお客様の行動データとして、3ヵ月間「メチャカリ」を使って“ファッションを借り換える”という行動を続けていただくと、それが習慣化して、4ヵ月目以降の継続率が高くなるという傾向があったためです。逆に言うと、はじめの3ヵ月間は“利用をやめやすい期間”だったのです。
そのため、「39円」という破格の価格設定でまず会員になっていただき、かつ3ヵ月間実際に使っていただくことで「メチャカリ」の利用を習慣化していただき、4ヵ月目以降の継続率を高めることを狙いとしました。
実は、2016年3月からずっと「1ヵ月無料体験」という施策を行っていました。しかし、無料体験を実施する人は多くいるものの、なかなかその後の継続利用につながらず、料金を支払うという体験を一度もせずに、サービスを解約してしまうという方も一定数いました。
これに対し今回のキャンペーンでは、月額39円ではあるものの、返却手数料も含めて、ある程度「お金を払っていただく」という体験を実際にしていただくため、サブスクリプション型の決済自体が習慣化し、継続率向上につながるのではないかと考えています。
また、そもそもの会員数の増加も目的です。「メチャカリ」は2019年4月時点で1万3,000人の会員数を突破しています。ただ、「メチャカリ」のターゲットユーザーであるF1層は日本に1,000万人ほどいるので、そこからするとまだまだ少ない人数ですし、いわゆるイノベーターしか使っていないのでは、という印象もあります。そこをどう次のステージの人たちに使ってもらうかを考えて、こういった起爆剤となるキャンペーンを実施することにしました。