オンライン・オフライン全体の動きを可視化、評価したい
MarkeZine編集部(以下、MZ):セイバンはイルグルムが提供する、プロフェッショナルサービスのマス×デジタル統合分析レポートでオンライン施策とオフライン施策の統合分析を実施したと聞いています。まず、その背景について教えてください。
日高:オンライン・オフラインを含めた施策全体の動きが見たいというのが主な理由です。
我々は現在、総合スーパーや百貨店、専門店などのリテール、直営店、ECという3つのチャネルでランドセルを販売しています。広告宣伝に関しては、テレビCMなどのマス広告を出稿しながら、デジタル広告にも出稿しているという状況でした。
この状況下で、施策がどのチャネルに対しどのような効果があったのかを見たいとき、デジタル広告であれば効果を可視化しやすいのですが、それ以外のテレビCMや紙のカタログなど他の施策は効果が見えにくい。加えて、施策全体の相関なども可視化できる必要があると考えていました。これらのデータを可視化した上で、テレビCMとデジタル広告の最適な予算配分を検討したいと考えていました。
MZ:吉本さんにお聞きしますが、このようなニーズは御社のクライアントの中でも増えているのでしょうか?
吉本:アドエビスではリリースしてから16年、長らくデジタル上のユーザー行動をトラッキングしてきました。その中で、セイバン様のように「マス広告の成果を測りたい」「施策全体の相関関係を見たい」という方は増えています。
またデジタル上のユーザー行動に関しても、YouTubeの動画広告やインフルエンサーを使ったSNS投稿などが登場したことで、これまでの分析だけでは効果が見えにくくなっています。これらの課題に対する対策は急務だと感じており、我々もマス×デジタル統合分析レポートを通じて課題解決に貢献したいと考えています。
マス×デジタル統合分析が明らかにする3つのこと
MZ:マス×デジタル統合分析レポートでは、具体的にはどういったことが明らかになるのでしょうか。
岸本:大きく分けて3つのアウトプットでオンライン・オフラインを統合した分析結果を提供しています。
1.各施策の因果関係の可視化
2.各施策による売上への影響度合いの提示
3.費用対効果の可視化と予算の再配分
まず、各施策の因果関係を図で可視化し、その上で各施策がどの程度売上に対し影響しているのかを定量的に表します。ここまでで施策の効果と投資したコストがわかり費用対効果を把握することができるので、最後にどのように予算を再配分すべきかのシミュレーションを行います。
また、今回のセイバン様の場合は、各チャネルの効果を時系列別に見えるようにしました。その上で、売上にあまり寄与していない施策はなんだったのか、どの施策をどれくらい実施すればよかったかなどを分析して、予算の再配分を提案させていただきました。
MZ:分析対象となるデータはどういったものなのでしょうか。
日高:オフラインのテレビCMの出稿日・出稿量、製品カタログの配布量、バナーやリスティングなどデジタル広告の出稿量、自社サイトのPVやオーガニックの検索量ですね。またKPIとしてはリテール、直営店、ECの3つの主要チャネルにおける売上を見て分析をしてもらいました。