複数のプラットフォームと連動させた内容に
――では、具体的に行ったコミュニケーションについて教えてください。
“ハジける変顔ボトル”を使った幅広い遊びの可能性を伝えるべく、「ファンタ坂学園」というキャンペーンをスタートしました。乃木坂46のメンバーがごく普通の学生グループとして、架空の学園生活を送っている様子をInstagramのアカウントをはじめ様々なSNSを横断するカタチで、継続的にコンテンツを発信してきました。
身近な友達がアップしている動画のような親しみやすさや、リアリティを感じてもらいたかったので、たとえば、「教室で真面目に勉強中の友達に後ろの席からちょっかいを出すときに使っている」様子や、「誕生日サプライズでパーティー用のデザインのボトルをみんなでかざしてお祝いする」場面など、学校生活の中で起こりうる日常を描いていきました。
――Instagramだとやはりストーリーズに上げていたのでしょうか。
はい。開発過程で、学生を対象にグループインタビューさせていただいた際も、「友達と遊んだ動画をアップするなら、Instagramのストーリーズ」という声は得られていたので、ファンタのボトルで遊ぶ様子を見てもらうなら、Instagramストーリーズだと考えていました。また、上げる動画は、撮っている本人が楽しんでいるものが多く、作り込んだオチのある動画が求められる場でもないところが、顔にかざすだけで楽しめる“ハジける変顔ボトル”との相性がいいポイントだと思っていました。
加えて、Instagramを拠点にしながらも複数のプラットフォームを連動させることを意識していました。今のティーンはInstagramだけでなく、TikTokやTwitterもやっています。そのため、Instagramのストーリーで描かれる「ファンタ坂学園」の世界の中で、流行ってきたTikTokのダンスが、リアルの世界でも同時にTikTokのハッシュタグチャレンジ化されるなど、SNSを横断して物語が展開するような構造を、あえて作っていました。
――なるほど。ストーリーズでTikTokのキャンペーン告知も行ったと。
その通りです。たとえば、TikTok内でのハッシュタグチャレンジが始まる前から、Instagramでは「ファンタ坂学園」のメンバーがTikTokを練習する様子をストーリーズで投稿をする。キャンペーン開始後には、ハッシュタグチャレンジのダンスの振付けを、先輩が後輩にわかりやすく説明するような動画を公開したりもしました。

Instagramを見ているだけで、「ファンタ坂学園」というコンテンツのストーリーの中で、TikTokキャンペーンの告知・お手本動画・ハウツーが自然に伝わるような企画にしていました。
――結果はいかがでしたか。
とにかく2019年春~冬にかけて、顔にかざすだけで遊べる“ハジける変顔ボトル”を主役に、学生たちの季節の気分にあわせて、キャンペーンテーマを切り替えながら展開してきました。結果たくさんの学生世代の方が今年のキャンペーンをきっかけに、初めて購入してくれたり、飲む頻度を高めてくれたりしました。リアクションの設計という点でも、話題の賞味期限を意識した通年での盛り上げという点でもうまくいったのではないかと思っています。
――では、最後に今後の展望をお願いします。
アウトプットされた企画が、世の中にどんなリアクションを起こせるのかを考えながら、魅力的な行動動機を設計できる企画者でありたいと、思っています。今後は、これまで以上に企業側からの一方通行のマーケティングだけではなく、ターゲットの参加を組み込んだキャンペーンアイデアの開発がより大事になってくるのではないかと、期待しています。