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MarkeZine Day 2020 Spring

「データは事実だが、真実ではない」 分析のプロが失敗談を交えて語る、データマーケティングの落とし穴

 デジタルマーケティングはあらゆる情報がデータとして取得できるため、管理画面を見れば何でもわかる気分になる。しかし、マーケターは可視化されたデータだけを見ていれば良いのか。2020年3月10・11日に開催された「MarkeZine Day 2020 Spring」のテーマは「見えないものを視る」。データだけではわからない顧客の感情を無視すると何が起きるのか、どのように「見えないものを視る」のか。同テーマに基づき、データの可能性と限界、そしてその先の新たな世界について議論が繰り広げられたパネルディスカッションを紹介する。

データに表れないけれども、重要な「見えないもの」とは?

 データだけではわからない顧客の感情を無視すると何が起きるのか、どのように「見えないものを視る」のか。「見えないものを視る~データの可能性と限界、その先の新たな世界~」というテーマのもと繰り広げられたパネルディスカッションのモデレータを務めるLIFULLの菅野氏は、登壇者3名に「見えないもの」をどう定義しているかを問いかけた。

(左)LIFULL LIFULL HOME'S事業本部 ユニット長 兼 百様 ファウンダー 菅野勇太氏
(中央左)JX通信社 マーケティングマネージャー 松本健太郎氏
(中央右オプト マーケティングマネジメント部 データアナリスト 中川綾香氏
(左)日本アイ・ビー・エム Performance Marketing Digital Strategist / Paid Media Focal 千葉大樹氏

 JX通信社の松本氏は、「概念として存在しているが、定量・定性的なデータとしては表せないもの」と語った。見えないものを定義する上で注意するべきなのは、「見えないもの」を自分の都合の良いように視ようとしていないか、という点だ。

 データからユーザーインサイトを推測する際、無意識に自分自身の希望や個人のバイアスを盛り込んでしまってはいないだろうか。「マーケターの希望的観測はそもそも存在してもいない。ゆえに、見えないものには含まれない」と松本氏は指摘した。

 一方、日本IBMの千葉氏は見えないものを「ユーザーの心理、無意識の行動」と定義づけた。検索してたどり着いたページの読み込みが遅く、待ちきれずに離脱した、ECサイトを回遊して、ヘッダーに表示されているロゴからトップページに戻ろうとしたのに、クリックしても反応しなくてイラッとした、など、無意識のうちに取る行動の裏側にある感情が「見えないもの」だという。すべてを数字の増減で語りがちなデジタルマーケターこそ意識するべき部分だと千葉氏は主張する。

オンラインで実施した本セッション。モデレータの菅野氏は会場外から参加した

 時勢的にも、見えないものと向き合わざるを得ない状況になってきている。GDPRやCookie規制によりデータ取得が制限されつつある現代、「見えないものを視る努力を怠るとマーケティングが立ちいかなくなるのではないか」とモデレータの菅野氏も指摘。

 そしてオプトの中川氏も、見えないものとはつまり「顧客の気持ち」と、千葉氏と近い考えを示した。広告をクリックする、コンバージョンするなどの行動履歴はデータで取得できる。ただ、その行動の要因となった「気持ち」は定量的に計測することは難しい。コンバージョン率や離脱率などの定量データはあくまで氷山の一角に過ぎない。それらの行動の深層部にある感情を読み取ろうとしなければ、表層的なマーケティングに終始してしまうわけだ。

次のページ
「見えないもの」を軽視した、三者三様の失敗談

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2020/04/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/33046

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