来場者数減が止まらない危機的状況に
2019シーズン、ガンバ大阪は歴代最多数となる2万7,708人の平均入場者を達成した。2018シーズンの2万3,485人から118%増、Jリーグ平均の増加率である前年比109%を上回り、Jリーグ3位となった。
だが、これは「順風満帆に達成できたのではない」と竹井氏はいう。ガンバ大阪は2016シーズンに新しいホームスタジアムとなる「パナソニックスタジアム吹田」に移転、同シーズンは目新しさもあって平均入場者数が前年の約1.5倍となる2万5,342人となった。しかし、その後は2年連続で平均入場者数が1,000人ずつ減少した。「話題性が薄れ、危機的状況にあった」と竹井氏。
そこで2018年にデジタルマーケティングを導入し、(1)「組織」と「意識」の改革、(2)顧客ニーズの把握の大きく2つの取り組みを進めた。
デジマ実践前は打ち手が見えていなかった
1つ目の「組織」と「意識」の改革から見てみよう。そもそもガンバ大阪では、「ホームタウン」「チケット」「ファンクラブ」の3部門が来場に関するマーケティングに携わっている。竹井氏はデジタルマーケティング導入前のそれぞれの課題を、次のように説明する。
ホームタウン担当は各自治体で年に一度開催する「ホームタウン応援デー」のチケット販売枚数をKPIにしているが、一度来場した人がその後も来場しているか、ファンになっているかについては見えていなかった。
チケット担当は各試合のチケット販売枚数を集計していたが、集客が難しいという状況は把握できていても伸ばすための手段がわからずにいた。
ファンクラブ担当は年間席数などをKPIに持つが、実際にファンクラブ会員が来場しているのかなどを把握することはできていなかった。顧客がどのような行動でガンバの試合を知り、どこでチケットを購入して、もしくはチケットをもらって、実際に来場したのか・しなかったのかが把握できていなかった。
総じて、「どうすればガンバ大阪に興味がある人にスタジアムに来てもらえるのか、なかなか手立てが打てなかった」と竹井氏は振り返る。