BuySellに転職を考えた3つの理由
谷口:転職に至った理由は大きく3つあります。1つ目は、広告会社の仕事は自ら決めることが難しいからです。もちろん場合にもよりますが、一般的には、クライアントの要求があって初めて動くことができる上に、誰が何を目的に働いているのかが見えにくい部分があり、少しずつ違和感を覚えるようになりました。

2つ目は、自分が裁量を持ったときにどこまで広告効果を最大化できるかが知りたかったからです。広告・マーケティングは好きで、博報堂の社員や関わる方がいかに素晴らしいかをわかっていたので、自分で裁量を持って、動いたらどういう結果が出るのかに強い興味がありました。
3つ目は、チームを作りたいと思ったからです。自分がマネジメントをして、みんなの成長や、幸せのために働いてみたいと考えるようになりました。
野崎:先のキャリアを考えた際、事業会社の売上拡大にコミットしていく方向が魅力的に見えたのですね。すんなり意思決定できたのですか。
谷口:最初はマーケティングのコンサルとして独立しようと考えていたのですが、現在BuySellの社長で当時はマーケティングコンサルとして独立していた岩田からBuySellの紹介を受けたことで、事業会社への転職が選択肢として挙がってきました。
広告会社の営業とマーケターのギャップは?
野崎:コンサルタントとして独立していたら、チームを持つことは難しかったかもしれませんね。実際、広告会社の営業から事業会社のマーケターへの転身は、苦労が多かったのではないですか。
谷口:確かに、広告会社の中でマーケターに近い役割を果たしているのってストラテジックプランナーみたいな人だと思っていました。自分はただのプロデューサーだと。ただBuySellの幹部陣と会話している中で、外部の方から見れば博報堂に在籍している時点でマーケターという扱いだと感じたんです。
そして、マーケターの仕事を整理したときに、別にストラテジックなプランを立てるだけではないということにも気づけました。自分が見つけた課題に対して足りないスキルやマンパワーは、社内外の人で補完していけばいいのだと。であれば、それこそが博報堂で培ってきたスキルですし、自分はマーケターとしてやっていけるんだと信じ込み、入社を決めましたね。
野崎:事業会社からすれば、広告・マーケティングに携わっているキャリアの人は営業であれストラテジックプランナーであれ、マーケターとして売上を高められる人として大差なく受け入れてくれるのかもしれません。
BuySellの執行役員マーケティング戦略本部長、取締役CMOとして当時走っていく中で、大変だった部分、それをどのように乗り越えてきたのか教えてください。

谷口:2つあって、1つは投資対効果を圧倒的に意識することですね。これまでは広告会社の営業として、取り扱いの広告予算をいかに拡大するかを考えて仕事していましたが、今は広告投資によってどれだけ事業を伸ばしたかが一番の指標になるので、そこに対応するのが大変でした。
もう1つは、意思決定することですね。マーケターの仕事は意思決定することで、そのためには仮説を立てる力も必要だし、覚悟も必要になってきます。そこも意識が大きく変わりましたね。
野崎:具体的には、どういった指標を追っていたのでしょうか。BuySellの場合、マス・デジタルを横断した各種マーケティング施策による買取予約のインバウンドをコールセンターが受け、実際に営業マンがアサインされ訪問し商談が行われるフローかと思います。
谷口:BuySellの場合、広告投資によるお客様からのご依頼件数を増やしながら、それによって最終的にどれだけ売上、利益が伸びたかを指標として見ています。そのために、問い合わせ件数とCPAなどの広告関連のKPIに加えて、事業全体のあらゆる数字の変化をウォッチしています。
約30億円近く広告に投資していますが、各チャネル・クリエイティブ・エリアなどでお問い合わせ用の電話番号やフォームを分けて、それぞれの効果を可視化していきました。
でも、これらのことって当たり前ですが1人ではできないので、管轄部署の人材育成にも力を入れました。ここは自分がやりたいと思っていた部分なので、事業と仲間の成長をモチベーションにしながら推進していきました。
野崎:人材育成やマネジメントの経験を積むという観点だと、インハウス化を推進しているなど、規模感あるマーケティングチームが在籍しているアーリーフェーズの企業に入っていくとチャンスが多くなりやすいですね。さて、直近は職域がCMOからCOOに変わっていますが、その体制変更の理由を教えてください。