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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

実践!マーケティングアカデミー

若年層の心、どう掴む!?

「日立らしさ」をあえてなくす

――近年、企業によるVTuber活用もよく目にするようになりました。VTuberを使った施策を実行するにあたって、御社で意識されている点について教えてください。

 この取り組みでは、良い意味で「日立らしくない」というのを目指しています。要は真面目すぎないというか、固くなりすぎずというのを、キャラクター開発のときから、現在のコンテンツ企画を進めていく中で、ずっと大切にしています。

 私たちがVTuberのキャラクターを開発し始めたのは2018年頃ですが、当時はまさにVTuberが盛んになり出した時期で、世の中には美少女キャラのVTuberが登場し、盛り上がりを見せていました。そんな中、私たちが選んだのがこの伯爵キャラでした。これまでの日立のセンスとはちょっと違うキャラクターを選びつつ、やはりブランドの毀損やイメージダウンは絶対にNGなので、日立の上品さも保つことができるということで、複数候補の中から、最終的にこのキャラクターを選んだのです。

 またキャラクターとして、「手描き風」というところもポイントです。実はこちらはほぼラフ案のままなんです。当初はこのラフ案をリアルな質感にしてからデビューさせる予定だったのですが、「この手描き風が個性につながるのでは?」という考えから、あえて残すことにしました。

 そして第1回の動画では、伯爵がこの手描き風のビジュアルに文句をつけ、「チャンネル登録者数が100万人を超えるとリアルな質感になるから、ぜひ登録を」と呼びかける内容にしたのです。すると、予想以上に手描き風ビジュアルへの評価が高く、今では「みんなに白花伝伯爵の動画を見てほしいけど、ビジュアルが変わるのは嫌だな」といったファンからの嬉しい声も聞こえるようになりました。なので、この設定どうしようかな……と今では少し悩んでいます(笑)。

YouTubeの文化に合ったコンテンツを作る

――狙いどおり個性として受け入れられたからこその悩みですね(笑)。コンテンツ面ではどのようなことを意識されていますか?

 企業VTuberの難しさとして、どうしても見る人から見て「ああ、企業がやってる広告なのね」という見方になってしまうと、離脱されてしまうことがあります。そこで、デビュー当時はまずきちんとファンとの関係性を作っていくために、チャレンジ系動画など、YouTubeの文化に合わせたコンテンツを作っていました。

 でもあるとき、家電品の紹介をしてみたところ、予想以上に「おもしろい」「もっと伯爵に家電品を紹介してほしい」という声があって。それ以来、家電品を取り上げたコンテンツも配信するようになりました。ただし、ただ単純に紹介するのではなく、たとえばASMR(立体音響)技術を使って、家電品の音を聞かせたり、テレビショッピング風にオーバーリアクションで家電品を紹介するなど、YouTubeの文化に合った楽しいコンテンツ作りを意識しています。

――実際の動きや発言は、伯爵の「中の人(演者)」に任せているのでしょうか?

 最初の頃はしっかりとキャラクターを設定して、「伯爵はこういうことを言う(言わない)」というのを作り込んでお伝えしていたのですが、現在はほとんどお任せしていますね。というのも、元々私たちが考えていた伯爵のキャラクターよりも、演者さん自身がより伯爵にマッチしている性格というか、その破天荒で明るい性格が、視聴者の方々から「ぶっ飛んでいておもしろい!」と非常に好評だったのです。

 また演者さんの身体能力が非常に高かったため、それを活かしたアクロバティックな動きをするコンテンツも作ったのですが、こちらも非常に好評で。VTuberは、リアルな人間のカラダの動きや表情をモーションキャプチャー技術で取り組み、3DCGのキャラクターに反映させることで配信しているのですが、「こんな激しい動きも滑らかに3DCGにできるなんて、日立の技術すごい!」というような声をいただけるようにもなったのです。

 こうしたこともあり、今では先端テクノロジーの動けるVTuberとして、自由に活動していただいています(笑)。

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デジタルからリアルへの進出を目指す

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/04/24 15:30 https://markezine.jp/article/detail/33259

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