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「映像ディレクターはファンと球団の中間管理職」横浜DeNAベイスターズの動画はなぜ刺さるのか


クライマックスシリーズの名映像ができた背景

平地:ベイスターズの映像は昔から見ごたえがあると思っていたのですが、2019年のクライマックスシリーズに合わせて制作された「YOKOHAMA DeNA BAYSTARS CLIMAX 2019」を見たとき、「本当にすごい! この映像について話を聞きたい!」と今回対談を申し込ませていただきました。

 なので、ここからはこの映像に関してお話をうかがっていきたいと思います。まずは企画の背景から教えてください。

YOKOHAMA DeNA BAYSTARS CLIMAX 2019

前原:2019年シーズンはチームとして初めてクライマックスシリーズを本拠地開催できることになりました。このときに、我々としてはファンの皆さまに何か発信しなければと考えていました。

 チームで企画を考える中、ファンの皆さまは試合を戦う上で選手と監督からの「安心しろ、俺たちは最強だ」という声が欲しいのだと考え、まずラミレス監督に今回の企画を提案しました。そして、監督にも賛同をいただいたのでヒアリングを行った上で、制作を進めていきました。

平地:映像ではラミレス監督のナレーションを使っているのが非常に印象的なのですが、監督がナレーションをすることに関して、監督はどのように受け止めているのでしょうか。

前原:「いいね、グッド」って言われましたね(笑)。最初は3年前くらいに監督がソファーに座っている映像でナレーションをしてもらったんです。

 私は、シーズンスローガンは監督の持ち物だと思っています。特にラミレス監督のシーズンスローガンの考え方は非常にストーリー性があるんです。だったら、そのまま本人に読んでもらったほうがメッセージとして強くなるんじゃないかと思い、ナレーションをお願いするようになりました。

クリエイターとの関係構築も大事に

平地:監督がストーリーを考えられる脚本家でもあるんですね。本当にレアなことだし、素晴らしい方ですね、ラミレス監督。

 動画の構成を見ると、静止画中心のスライドショーになっていますよね。そこからの動画への移行がたまらなく感動したわけですが、最近ではハイクオリティな映像素材をもとに作る流れがある中で、あのシンプルな構成でエモさまで出せるのかと感心したのですが、それも狙いがあったのでしょうか。

前原:一番は制作側のマンネリ化というのがあったと思います。いつも通りの映像とは違った表現方法で作りたいという思いのもと企画を詰めていく中で、球団として写真や映像の記録を非常に多く撮りためていることに気づきました。クオリティが高いものも多いので、それを一番活用できる形を模索した結果、あの構成にたどり着きました。

 普段から映像や画像にこだわっていなければ、あのような形はできなかったと思います。

平地:ちなみに普段からカメラが帯同しているとのことですが、どのような体制なのでしょうか。

前原:映像に関しては、1名がビジターを含めた全試合に帯同しています。写真に関しては3名体制で、ビジターは要所、ホームに関しては全試合を撮影してもらっています。

平地:それだけの人員を付けているからこそ、あれだけクオリティの高い静止画がたくさん集まるんですね。なぜ、あれだけの素晴らしい映像を作れたんでしょうか。

前原:パートナーの方たちの協力が大きいですね。クリエイターの方と直接やりとりを行っており、何かアイデアが出たらすぐに提案し合える関係のため、スピード感を持って今回の企画を実現することができました。

 そして、先ほどもお伝えましたが、ファン視点と球団視点の中間に立てたことですね。これは映像を作る上での秘訣だと思います。

平地:やはりファンと球団両方の視点に立つのは非常に重要ですよね。何か両方の視点に立つために取り組んでいることはありますか。

前原:ストーリーや歴史など、チームの成り立ちに関わることは徹底的に調べますね。ときには、横浜に住む町のおじさんに話を聞きに行ったこともありました。

 そうすると、球団の歴史を知るキーパーソンが出てくるので、その中から当たるべき人に話を聞くことができるんです。とにかく、足で稼いでいました。

平地:前原さんは70周年の記念映像も確か制作されており、そこでも「とにかく足で稼いだ!」というお話はされてましたもんね。やはり地道な努力や見えない努力がこうして作品に色濃く影響しているんですね。 

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映像配信の効果検証が課題に

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/06/04 10:25 https://markezine.jp/article/detail/33458

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