プラスクラスの平地氏とともに、スポーツ業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回は、横浜DeNAベイスターズ(以下、ベイスターズ)の映像制作を統括する前原氏に、映像クリエイティブの企画の秘訣を聞いた。
ラミレス監督はアクター
平地:最初にベイスターズの映像制作体制、そして前原さんの担当領域などからうかがえたらと思います。

株式会社プラスクラス 代表取締役 平地 大樹氏
Webコンサルティング会社プラスクラス代表。プロバスケ選手引退後、人材業界を経験し、Web業界へ。営業活動一切ナシのWebコンサル事業をプラスクラスとして収益化し、現在はプラスクラス・スポーツ・インキュベーション代表として、スポーツ界にWeb/ITを取り入れることを推進している。
前原:会社内にいるのは私含めて2名ですね。制作はパートナー企業と連携して取り組んでおり、私が映像に関するディレクションやコンセプト設計をしています。

株式会社横浜DeNAベイスターズ ブランド統括本部 クリエイティブ戦略部 前原 祥吾氏
ベイスターズの球団公式YouTubeやSNSなどに投稿されている動画のディレクションを担当。
平地:ベイスターズでは様々な映像がありますが、映像の制作時に大切にしていることや球団にとっての映像の役割について教えてください。
前原:映像を制作する際、「目的は何か」「何を伝えたいか」「ファンにどう思ってもらいたいか」の3つを念頭に置いて企画を考えています。
映像は伝えられる情報量が非常に多いので、広告やグラフィックでは伝えきれないメッセージを伝えることができます。だからこそ、先ほどの3つのポイントを明確にしています。
平地:その3つのポイントはシーズン前に計画的に考えるのか、都度都度出てくる情報に合わせて考えるのか、どちらなんでしょうか。
前原:例年ではシーズンが始まる前に、ラミレス監督が今年のチームのシーズンスローガンを掲げるので、それをもとに年間の制作における軸を決めていきますね。
そのため、最初にラミレス監督と綿密にコミュニケーションを取って、監督の想いをどう伝えていくべきか提案を行っています。その上で、シーズン中に予測できないことが起きたら都度対応する形ですね。
平地:映像企画をラミレス監督と一緒に考えたりするんですね。珍しすぎます。
前原:もちろん、我々だけで進行するものもありますが、球団の動きとリンクするような映像に関しては、選手や監督の想いを反映できるようにチームと連携してヒアリングを行っていますね。ラミレス監督は非常に協力的ですし、私たちはラミレス監督はアクター(俳優)としても非常にすごい方だと思っています。だからこそ、表現の仕方についても相談するんです。
映像ディレクターはファンと球団の中間管理職
平地:監督や選手の想いもくみ取りながら作っているからなのか、ベイスターズの映像は非常にメッセージ性が強くてどこか泣かせる、こみ上げてくる作品が多い印象です。やはり意図的に狙って作っているのでしょうか。
前原:ファンの皆さまの心を震わせたり、心に刺さったりする映像であることが重要だと思っています。私はファンの皆さまとチームとしての球団の間にある中間管理職のような立場で、ファンの皆さまの声を集めながら、球団として伝えるべきメッセージも守る。このバランスが非常に大切です。
ファンの皆さまの熱量と球団のメッセージにギャップが生じたら、伝わるものも伝わらないので。
平地:ファンの声はどのようにして集めているのでしょうか。
前原:基本的には自分でSNSやYouTubeなどをチェックして、定性的なコメントを集めています。また、試合時には球場などでも制作した映像を流したりもするので、そこでファンの皆さまの反応なども直接観察しています。
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道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)
1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...
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