サーチ“エクスペリエンス”を最適化するという発想
向井:これまでのコンテンツマップやキーワードマップと呼ばれる記事構造は、基本的に大きな切り口のキーワードから徐々に細かく分岐していくような構造になっていました。トピッククラスターがユニークなのは、まず大きな切り口のキーワードを“トピック”と定義して親記事を置き、それに関連するキーワードを含む各記事を図のように円形に配置して、被リンク構造を構築することです。
こうすることで、トピック全体の権威性が向上し、リンク構造が強化され、同時にカニバリも防止されます。MECE(ミーシー)といいますが、漏れがなく、かつ重複のない構造体を作りながら、ユーザーの課題に対して網羅的に解答を用意しておけるんです。公開の順番も重要で、子記事をまずアップしていって徐々に順位が上がると、最後に親記事を出した際に被リンクを受けている親記事がぐっと上がる……という動き方になります。
MZ:こうした構造と順番が、クローラビリティの向上につながるということでしょうか?
向井:おっしゃるとおり、機械的にクロールしやすくなりますね。併せて、ユーザビリティも大きく向上します。私見ですが、今後のSEOはサーチエンジンオプティマイゼーションではなく“サーチエクスペリエンスオプティマイゼーション”、つまりユーザーの検索体験を向上させるという概念の下に進めるほうが、よりGoogleに評価されるのではと思っています。検索体験が向上すると、より読者にとって分かりやすく、価値を感じられる記事が検索の上位掲載され、その結果としてその記事への流入が増え、リード数も向上します。ロボットとユーザー、両方の観点でコンテンツを最適化していけることが、トピッククラスターモデルの大きな特徴です。
トラフィック7倍を実現した「トピッククラスターモデル」
MZ:なるほど。だから、大きな成果が上がっているわけですね。
向井:そう考えています。実際、米HubSpotではこの方法で大きくトラフィックが伸びました。その成功を踏まえて、Marketing Hubのユーザー企業にも同様の概念と方法を提供するために、対外的なモデルの発表と、Marketing HubのSEO機能の刷新を進めました。現状では、Marketing Hub上で簡単に前述のキーワードの洗い出しや、構造の整理、抜け漏れの確認などができるようになっています。
また、昨年春からHubSpotの日本語ブログにも適用して、1年間でトラフィックが約7倍になっています。
MZ:日本でも、わずか1年でそんなに伸びたんですね。その要因をどうお考えですか?
向井:まず、このモデルがグローバルで適用できる強力なコンテンツ戦略である点が大きいと考えています。もうひとつは、ローカル市場に合わせた工夫をすることで、さらに威力を発揮する点です。いくらトピックがきれいに体系立てられていても、ネット上に既にたくさんある情報だと引きが弱いので、日本なら日本の市場でどこまでオリジナリティの高い情報を出せるか、独自の主張があるか、BtoBであっても読み手に驚きや感動を与えられるか、といった点が重要になってきます。
MZ:記事のオリジナリティや独自の主張、といった部分を担保するために、どのような工夫をされたのでしょうか?
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