インバウンド手法を支援する「HubSpot Marketing Hub」
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、向井さんのご経歴と現在の担当領域をうかがえますか?
向井:前職で、BtoCアプリのグロースハックを担当した後、2年前にHubSpotに入社しました。最初の1年間はカスタマーサクセスチームに所属し、「HubSpot Marketing Hub」(以下、Marketing Hub)をはじめとするHubSpotの各種ソフトウェア導入企業様のビジネス成功を支援する立場でした。また、自社のBtoBマーケティングの一環として「カスタマーサクセス」をテーマにHubSpotブログの執筆も行っていました。
その経験から、翌年に現在のマーケティングチームに異動。ブログの運用にも中心的に取り組むようになり、ちょうど1年が経ったところです。今はコンテンツ制作やSEO、CRO(コンバージョン率最適化)に取り組んでいます。チーム全体で追っているリード数やクオリファイドリード数に寄与することがミッションです。
MZ:では、Marketing Hubの概要を教えてください。
向井:Marketing Hubは、インバウンド手法を実践する上で必要な機能を、企業の状況や体制に合わせて柔軟に選択できる製品です。インバウンド手法とは、価値ある良質な情報を提供することで見込み客を惹きつけ、関係性を築き、満足させていくマーケティング、営業、カスタマーサービスの手法です。この手法に則ったマーケティング活動は「インバウンドマーケティング」と呼ばれます。HubSpotに入社する前は、Marketing Hub=マーケティングオートメーション用のソフトウェアというイメージがあったのですが、実際にはその言葉から連想されるよりもずっとたくさんの機能と用途があることに驚きました。
たとえば、いわゆる「マーケティングオートメーション」で連想されるワークフローに基づいたEメール配信機能はもちろんのこと、リード数の獲得が課題であればセグメントメール配信やLP制作などの機能、マーケティング施策の効果測定が課題であれば広告出稿・分析機能やアトリビューションレポートによる施策の寄与分析機能、自社の見込み客・顧客のフェーズに合わせた情報提供を行うためのシナリオ分岐など様々なものを備えています。無料から最上位のエンタープライズ向けプランまで、計4つのプランを提供しており、ユーザー企業が自社のニーズに合わせて選択できるようになっています。米HubSpotが確立したSEO手法の「トピッククラスターモデル」も、Marketing Hub上で導入できます。
米HubSpotで課題だったブログトラフィックの伸び悩み
MZ:「トピッククラスターモデル」は、米HubSpotでも日本でも大きな成果を上げ、現在既に国内の複数企業で高いSEO効果を発揮しているそうですね。そもそも、なぜ米HubSpotでこうした新しいSEO手法が開発されたのですか?
向井:近年、SEOにおいてはGoogleが基準としている「E-A-T」(Expertise:専門性、Authoritativeness:権威性、Trustworthiness:信頼性)が注目されており、コンテンツの品質がより問われるようになっていると認識しています。Googleは3つの要素を通じ、独自性が高く、「読み手にとってより価値のあるコンテンツ」を検索の上位掲載する仕組みを構築していると考えられます。とはいえ、この3つを個別記事や記事群に徹底させるのはなかなか難しく、米HubSpotのブログでもトラフィックが頭打ちの状態でした。
そこで3年ほど前、SEOのエキスパートチームが発足し、トラフィックの伸長とリード獲得に戦略的に取り組むようになりました。具体的には、製品に直接関係のあるキーワードを洗い出し、それらを「トピック」という概念でひとくくりにすることを発案しました。これが、「トピッククラスターモデル」の発端です。
向井:簡単に説明すると、上図のような親子構造でひとつのトピックを網羅するモデルになっています。たとえば「カスタマーサクセス」というトピックなら、検索ボリュームを元に複数のキーワードを組み合わせて「カスタマーサクセスのKPI」「カスタマーサポートとの違い」といった子記事(クラスターコンテンツ)を制作し、そこからの被リンクを集約した親記事(ピラーコンテンツ)をまとめページとして据えています。
MZ:トピックでくくると、何がいいのですか? これまでのコンテンツマーケティングで定石だったページ構造と、どう違うのでしょうか。
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