自然発生を待つだけでなく戦略的にUGC生成に取り組む
UGCを使いたいけど、十分な量が存在しない、というケースも少なくありません。「何もしなくても自然とUGCがどんどん発生する」というのが理想ではありますが、UGCがなければまずは企業側から積極的につながりを求めにいくことが必要です。その場合は、既存顧客へのCRM的なアプローチで投稿を促したり、モニター施策を実施したりすることで、戦略的にUGCを生成することができます。
スキンケア商品を販売する「鈴木ハーブ研究所」では、商品体験を希望するモニターやインスタグラマーとつながり、質の高いUGCが定期的に生まれる状況を作ることに取り組みました。まずは、本当に商品を体験したいと思ってくれているユーザーにリーチするメディアを選定し、継続的にコミュニケーションを取ることでモニターと長期的な関係性を築きました。
そして、広告効果が見込めるコンテンツの仮説を立て、それに沿ったUGCが生まれるように企画を工夫し、モニターに対して様々なパターンのUGC投稿を促しました。このような取り組みを継続することで、モニターの投稿を見たユーザーからも自然なUGCが発生するサイクルが徐々に出来上がり、良質なUGCの件数を増やすことに成功しました。

UGCを生み出すコミュニケーションにこそ投資が必要な時代
事例から見るUGCの活用方法は、いかがでしたでしょうか? UGCは、事業の各ポイントに戦略的に活用することで、顧客体験や施策成果の改善に大きく貢献することがおわかりいただけたと思います。
だからこそ、D2C的「顧客起点」マーケティングにおいては、戦略的UGC活用に注力すべきであり、UGCを生み出すコミュニケーションに投資することで、従来型のECビジネスでもD2C的メリットを享受できるはずです。
新型コロナ禍によって、消費行動におけるオンラインコミュニケーションはますます重要度を増し、接客やカスタマーサービスなど、これまではオフラインで1対1に閉じていた顧客接点もSNSを通じてどんどんオープンとなっていくでしょう。
SNS上で衆人環視の状況になると1対多の関係性になると思われるかもしれませんが、D2Cモデルにおけるコミュニケーションでは1対1の関係性を重要視することが求められていきます。そしてそのコミュニケーションの在り様がUGCとして表出し、ブランドの評判や施策成果を左右することとなるのです。
顧客との良いコミュニケーションが良いUGCを生み、良いUGCで良い顧客がつながり、良い顧客との間で良いコミュニケーションが生まれる。こうしたD2Cモデルにおけるコミュニケーションのループにおいて、UGCをいかに生み出していくかは非常に重要な戦略だと言えます。
次回は戦略的UGCを生み出すためのコミュニケーションの考え方とその実践方法についてご紹介します。