リリース後はUGCをヒントに体験をアップデートし続ける

D2C的マーケティングサイクルにおいては、プロダクトリリース後にも継続的に商品の改善を行う必要があります。従来型ビジネスでは、顧客に商品を届けるまででビジネスが完結していましたが、生活者の選択肢が飽和する環境の中で自社商品を使い続けてもらうためには、初回接点の体験以降、常に体験自体をアップデートし続けなければいけません。
そのためには、常に顧客の声を聞き、顧客体験の状態を把握するためのデータ取得が必須となります。たとえば、自社ECをしっかりと整備して運用することで、顧客に関するデータを自社で保有し、サイト利用などの行動データや購買履歴などのデータの活用につなげることが可能です。楽天やAmazonなどのモールでの販売拡大はECにとって極めて重要ですが、顧客データを保有することはできないので、自社ECとの併用をオススメします。
加えて、改善の段階では「既存の顧客に聞く」「顧客と直接交流する場を作る」「顧客が接しているメディアで発信する」など、「顧客」から能動的なフィードバックやアクションを獲得する施策を実施することで、商品改善のヒントとして活用することが可能になります。
「率直な顧客の声」を収集できる環境作り
たとえば、完全栄養食のパンやパスタを販売する「BASE FOOD(ベースフード)」では、次のような施策を実施しています。
・BASE FOOD Laboというアプリを既存顧客むけに提供し直接コミュニケーションを取れる環境を作っている
・ユーザーから商品へのフィードバックを募るだけでなく、レシピや食べ方なども提案してもらうことで、商品開発やマーケティング訴求の考案に活かす
・試作品を先行で試してもらい、商品発売前のテストを行う
・ファンミーティングやマスPRへの協力を仰ぐ
クレームなどネガティブな反応が集中しやすいコールセンター的な接点ではなく、双方向のコミュニケーションで、実際の商品体験や率直な顧客の声を収集できる環境を作ることは、D2C的なマーケティングアプローチでとても重要です。
他にも、InstagramやTwitterのUGCを観察して顧客体験のリアルな状況を把握したり、LINEアカウントやSlackを活用して顧客とのコミュニケーション頻度を高めたり、SNS等のデジタルプラットフォームで関係構築を行うことの重要性に気づき、注力度を高める企業事例が増えています。