日次、週次、月次などで日々溜まっていくデータ。そこから傾向を掴み将来を予測するには、どのような注意が必要なのだろうか。本稿では、実は奥が深い時系列分析について、基礎編・応用編に分けて解説する。
※本記事は、2020年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』54号に掲載したものです。
意外と難しい2時点間の正確な比較
みなさんは、時系列(日次・週次・月次など)でとっている、自社商品の売上やWebサイトのユニークユーザー数などの指標を評価する際、どのような方法をとっているだろうか。一般的には、ある2時点の数値の比較が用いられるだろう。たとえば、「今月の売上は去年の同じ月よりも○○円上がった」「ユニークユーザー数が先週より△%減った」などである。しかしこの方法では、時系列データが持ついくつかの要因を考慮しきれておらず、正確な評価ができていない。そこで本稿では、時系列分析の手法を使った、一般的な方法では捉えきれない要因を考慮した時系列データの評価や予測について紹介する。
時系列データは2つの要因で分解する
まず、時系列データはいくつかの要因に分解できる。1つ目は「トレンド」であり、その時系列データの長期的な変動傾向を示す。上昇トレンドであればその指標は日に日に増えていき、下降トレンドはその逆を表す。トレンドがなければ、推移は横ばいとなる。
2つ目は「周期性」であり、「毎年○月には増える」、「毎月○日ごろには減る」などの同じ周期での変動傾向を表す。たとえば、アイスクリームの売上は気温の高い夏に増えるが、これは年単位での周期性(=季節性)を示す典型例である。ショッピングモールは平日よりも土日のほうが来店者は多くなるが、これは週単位での周期性を表す良い例だ。
時系列データを有意義に分析する第一歩は、データをこの2つの要因で分解することにある。もしある商品の売上時系列データがトレンドを含んでいる場合、異なる時期(1月と8月など)の売上に変化があったとしても、その原因がニーズの変化なのか、気温など季節的なものなのかを区別できない。そこで「トレンド」「周期性」の2つを考慮することで、「トレンドで○円、周期性で△円変化した」というように数値的に分解でき、2時点間のより厳密な比較が可能になる。また、トレンドを延長し、そこに周期性を加味することで、将来の予測をすることもできる。
他にも、データの種類によっては、「イベント効果」「キャンペーン効果」「広告効果」などの要因を含むこともあるが、本稿では時系列データを「トレンド」と「周期性」でのみ分解することを考える。
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小川 大貴(オガワ ダイキ)
株式会社インテージ 開発本部 先端技術部 データサイエンスグループ。2019年インテージ入社。顧客案件の分析業務や、データサイエンス関連技術を使った新規事業の研究・開発に従事。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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