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西井さんと考える、スポーツチームのECが売上の壁を超える方法

2020/08/24 08:00

 プラスクラスの平地氏とともに、スポーツ業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回はオイシックス・ラ・大地の西井敏恭氏と「スポーツ業界のEC活用を活性化させる方法」について対談。スポーツのECならではの特徴や取り組むべき施策などが明らかになった。

目次

スポーツECの肝はファンビジネス

平地:前回の記事では、SNS×スポーツについてホットリンクのいいたかさんと対談しました。今回はオイシックス・ラ・大地の西井敏恭さんとEC×スポーツの可能性について探りたいと思います。

株式会社プラスクラス 代表取締役 平地 大樹氏
株式会社プラスクラス 代表取締役 平地 大樹氏

平地:西井さんはFIFAワールドカップを現地で観戦するほどのスポーツ好きです。ビジネスでもJリーグのスーパーバイザーを務め、自身が代表のシンクロでは鎌倉インターナショナルFCの経営にも携わっています。まさに、今回のテーマでお話を聞くにはぴったりです。

西井:ありがとうございます。本当にスポーツが大好きなので、嬉しいです。サッカー日本代表のユニフォームでも着てくれば良かったな(笑)。

オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 CMT兼 株式会社シンクロ代表取締役社長 西井敏恭氏
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 CMT兼
株式会社シンクロ代表取締役社長 西井 敏恭氏

平地:ユニフォーム姿、見たかったです(笑)。そんなわけで、早速1つ目の質問ですが、スポーツにおけるECの立ち位置はチームによってまちまちです。独自路線を走るところもあれば、リーグで統一されたCMSを使っているところもあります。西井さんから見て、スポーツにおけるECの定義はどのようなものだと思いますか。

西井:スポーツの場合、ユニフォームなどの物販とチケッティング(チケットの販売)の2つが、ECとして定義できます。ECの考え方をうまく用いれば、物販だけでなくチケッティングも改善できるはずです。

平地:なるほど。その中で、スポーツチーム・団体が特に意識すべきことはなんだと思いますか。

西井:スポーツのECはファンビジネスであることを念頭に置くべきです。たとえば、僕はセリエAのユベントスが大好きです。ただ、もし仮に同じリーグに所属するACミランのユニフォームが安くて速乾性が優れていたとしても、買わないと思います。

 つまり、スポーツのECは価格比較がされることもなければ、機能性の違いで購買が決まることもないのです。

試合以外で売れる接点を作れるかが重要

平地:確かに、そこは大きな違いですね。

西井:実際、ファンのために売るものを増やす・変えるケースも出てきています。たとえば、プロ野球のユニフォームに様々なタイプが登場しているのも、種類を増やすことでファンにコレクション要素を提供しているわけです。

 D2C(Direct to Consumer)がECのトレンドですが、一般企業もファンとのつながりを大事にして商品を作るようになっています。スポーツも試合や会場でファンとつながっていますが、ECでもつながっていくべきです。

 またファンクラブなど、デジタル上でファンと直接つながる仕組みもできています。そのため、たとえばクラウドファンディングでファンに欲しいものを選んでもらい、受注販売することもできると思います。

平地:確かに、スポーツチームはD2Cビジネスを参考にできそうです。

西井:これまでは、商品を作った後に「買ってください」とプロモーションして売っていました。しかし今は、ファンの欲しいものを聞いた上で生産し販売することができる。物販に関してはまだまだチャンスがあります。

 また、物販だとスタジアム上でのEC利用を加速させるのも良いと思います。現在は受け渡しと支払いが同時に行われるため、販売列ができて売れる数も限られます。

平地:そうなんですよ。子連れの家族だと、売場に行くだけでも一苦労ですしね。

西井:そのような場合も、ECとスタジアムの在庫を連携し、注文したらスタジアム内の宅配ボックスで受け取れるようにすれば、売れる量も変わってくるはず。

 これまでのマーケティングは1回売るまでが勝負でした。そのため、スポーツも試合に行って観戦し終わるまでの時間がピークで、この瞬間に合わせて商品や販売が最適化されてきました。

 しかし、今はお客さんの時間がどうなっているかを考えることが重要です。最近話題のサブスクリプションのサービスやD2Cも、加入・購入後の関係構築を大事にしています。スポーツも試合という接点だけでなく、次の試合に行くまでの間や観戦後などの各接点で「何なら欲しいのか」を考え、EC体験を再設計することが必要です。

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