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第106号(2024年10月号)
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スポーツ×デジタルマーケティングの現在位置を探る

ホットリンクいいたかさんと探る、スポーツ×SNSのこれからの形

 プラスクラスの平地氏とともに、スポーツ業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回はホットリンクのCMOでSNSに関する知見を持つ、いいたかゆうた氏と「今後求められるスポーツ業界のSNSマーケティング」について対談。その中で、スポーツ業界だけでなくこれからの企業に必要なSNS活用に関する知見が明らかになった。

UGCの数こそがSNSの醍醐味

平地:本連載では、スポーツチームやリーグの成功事例を中心に取り上げてきましたが、ちょっとスピンオフとしてマーケティング領域のスペシャリストと対談していくコーナーをやってみようと動き出してみました。

 第1弾となる今回は、ホットリンクのCMOである、いいたかゆうたさんとSNSについて話していきます。僕自身が本当に楽しみにしてた対談です。ありがとうございます。では早速ですが、まず、一般企業とスポーツチーム双方のSNS活用において、共通して必要なポイントってなんだと思いますか。

株式会社プラスクラス 代表取締役 平地 大樹氏

いいたか:企業もスポーツチームもSNSを活用する上で重要になるのは、UGC(口コミ)をいかに創出するかという点です。SNS活用というと、自社アカウントを持ってフォロワーを増やしましょう、投稿のエンゲージメントを伸ばしましょうとなりがちですが、それだけでSNS活用は上手くいきません。

 SNSは受動的で、誰が何を言っているかが可視化されているプラットフォームです。その特徴の中では、企業アカウントによる広告的アプローチだけで消費行動を起こすのは難しい。だからこそ、人の発信する数にもっと企業もスポーツチームもフォーカスしていくことが重要だと思います。

株式会社ホットリンク CMO いいたか ゆうた氏

平地:SNSでは、誰が何を言っているかが重要になってくる、ということですね。

いいたか:その通りです。僕らが中学生くらいの頃は、サッカーの試合を見た次の日に学校で話していましたが、SNSが浸透した今はそれがオンライン上で行われているんです。

新規とコアの橋渡しがSNSの役割

平地:UGCの数を重視することで、SNSはスポーツマーケティングにおいてどういった役割を果たせるようになるのでしょうか。

いいたか:スポーツマーケティングにおけるSNSの最も大きな役割は、新規でも既存でもない人へのアプローチだと考えています。

 たとえば、僕がサッカーの試合を見に行って「おもしろかった」とツイートしたとします。すると、それを見た人から「今度一緒に見に行きたい!」とリプライが来て一緒に観戦に行きました。僕はサッカーが好きですが、このチームのコアファンではないし、SNSアカウントもフォローしていない。でも、チケット購入という購買行動を引き起こしているんです。

 このようなコアファンと新規の間にいる層のリピートを促せるかどうかが、SNS活用の意義だと考えています。

平地:ライトユーザーと呼ばれるような人たちのアプローチにSNSが有効なんですね。JリーグやBリーグでは3回試合を観戦するとファンになるというデータもありますが、0から1回、そして1から3回まで来場数を引き上げるのが非常に難しいとチームだけでなく、支援している僕らとしても感じています。

いいたか:今Jリーグも少ない観客人数で再開していますが、そういった方の投稿を増やすには、より観戦時の体験を豊かにしていくことが重要です。たとえば、SNS投稿すると生ビールがいっぱいもらえるみたいなキャンペーンがありますけど、それだと投稿した後に消されるし、いやらしさも残りますよね。

 ただでさえ観客の数が少ない状況下で、ソーシャルディスタンスも保つ必要がある今、来場する方にサッカーのおもしろさを広めてもらうには、ARなどこれまでにない技術なども組み合わせながら、思わず投稿したくなる仕組みを作っていくべきではないでしょうか。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/03 07:00 https://markezine.jp/article/detail/33899

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