メンタルヘルスケアとしての”おしゃれ”に注目
最後は、リモートワークの定着でおうち服の気楽さに日々気を緩めていた中、久々の外出(お出かけ/出勤)機会を前に、すっかり“外行きの自分”の作り方を忘れ、外出がプレッシャーになってしまったFu-manさんです。

「オンライン会議は上半身だけ気合いをいれれば良かったので、上下ちぐはぐな格好をしていたが、外出となると全身コーデ。手間取る」「服の季節感をすっかり忘れてしまい、外に出て失敗に気づいた」といった服装周りでの記憶喪失。「久々のメイク・ヘアセットが不自然じゃないか不安」「眉・髭の処理がうまくいっているか心許ない」など、正体不明の自信喪失に陥る例が相次いでいます。
そんなFu-manさんは、20~40代の男女全般の中に見られました。
リモートワークの利点のひとつに、カジュアルでラクな“おうちコーデ”で済む、ということが挙げられます。ただ、“ラク“なほうに適応しすぎると、かつては問題なくこなしていたはずのおしゃれに、少々手こずってしまうようです。Withコロナマインドの広まりによって、徐々に出社、イベントやエンタメ施設の再開が相次ぐ中、おしゃれ復帰戦を挟んで人々の意識は大きく2つに分岐する傾向も見られました。「やっぱり、おしゃれをして外出をすると気分が晴れる」とおしゃれの楽しさを思い出す派も多い一方で、「おしゃれや化粧は、心身が緊張して疲れる」と感じて、外出することへの萎縮が増す派もいるようです。
CX発想のヒント
おしゃれをすることは、ときに自分自身の自信や気分を高めることにも一役を買っていました。そんな中、おしゃれをして外出する機会が減少したことによる思わぬ弊害として、我々は無自覚のうちに、自信を高め、気持ちを鼓舞する機会まで失っているのかもしれません。最近では「コロナ鬱」や「コロナ疲れ」が社会課題として注目されるようにもなってきました。新しい生活様式に順応しながら、いかにメンタルヘルスを保つか? が重要性を増しています。ニューノーマルにおいては、メンタルヘルスケアとしての”おしゃれ”に着眼し、外出・在宅に関わらず、定期的に”おしゃれをする”という習慣を提案していくことが、生活者とアパレルや化粧品メーカーといった企業、ひいては社会の課題を解消し得る”ソーシャルエンリッチなCX”を生むことにつながるかもしれません。
ご紹介した3タイプのFu-manさんの中に、心当たりのタイプはありましたか? おしゃれ界隈には、まだまだたくさんのFu-manさんが潜んでいそうです。また、新生活様式にともない発生した様々なFu-manさんが見つかり始めています。ラボではこれからも引き続きFu-manさんの調査・観察活動を続けてまいります。
