コミュニケーションパートナーとしてのメディア
最初に原氏が取り上げたのは、メディアそのものについて。「広告主の視点からすると、メディアはプロモーションやキャンペーンの一連の流れの一つのパーツであり、チャネルとしてターゲットとリーチ数で語ることが多い」と話す原氏だが、メディア側は自身をどう捉えているのだろうか。
クラシコムでECメディア・北欧、暮らしの道具店に携わる高山氏は、生活者の価値観が多様化している中で、生活者のことを一番理解しているのがメディアだという。「出面としてメディアを捉えるのではなく、生活者インサイトに基づいて何をどのように伝えるべきかというところを議論していく、“コミュニケーションパートナー”のような認識でメディアとお取り組みいただくスタンスだと、僕たちも価値をご提供しやすいです」と続けた。
高山氏の見解に新R25の宮内氏も同意する。新R25は若手ビジネスパーソンにターゲットを絞り、ソーシャル上で100万人のフォロワーを持つが、「SNS時代のコンテンツブランドを作るという思想からスタートしているので、SNS上で話題を生み出すコンテンツ制作集団だと思ってもらえると嬉しいです」と宮内氏。メディアという枠よりも、商材やサービスにマッチングする人を立て、どのように伝えればポジティブに見せられるのかという場を作っていると、自社の姿勢を示した。
ひざを突き合わせた対話で本質的なコンテンツ作りを
一方で、広告主はプロモーションのタイミング、メディアプランニングなど、時間に成約がある中で、コンテンツ制作に注力するのは難しい。原氏は、そんな中でどのようにコンテンツの擦り合わせを行っているのかと、疑問を呈した。
これに対し高山氏は、本来は媒体ごとに伝える内容や文脈をチューニングしていくことが理想だと述べた。そのような考え方もあって、案件によっては取り組みを断ることもあるという。
広告主とのコミュニケーションについては、「直接コミュニケーションを取ることが多いです。どういった課題があり、何を目的にするかなどをしっかり話し合った上で、コミュニケーションプランを提案しています」と高山氏は話す。
原氏が、「広告主と直接やりとりを行うメディアが増えると、広告代理店が困るのでは?」と聞くと、高山氏は「広告代理店はメディアを起点にそれをさらに拡げていくノウハウなどをお持ちなので、手を取り合えるパートナーとして一緒にやっていきたいです」と語った。
これに対して、宮内氏は「本質的なコンテンツ作りのためには、メディアと広告主が直接ひざを突き合わせて議論する必要があります。最近はそういう機会が増えてきて、より効果の良いコンテンツが作れるようになってきました」と述べた。