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第105号(2024年9月号)
特集「Update:BtoBマーケティングの進化を追う」

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MarkeZine Day 2020 Autumn(AD)

匿名客へのアプローチも可能に!商談を効率的に獲得するためのMA活用術

 2020年9月1日・2日に開催された「MarkeZine Day 2020 Autumn」に、MA(マーケティングオートメーション)ツール「SATORI」を提供しているSATORI社からセールスグループ徳井ちひろ氏が登壇。コロナ禍で非対面での営業・マーケティングが重視される中、MAを活用し営業活動につなげるためのマーケティングノウハウが語られた。

非対面でのコミュニケーション手段をもつべき理由

 コロナ禍によって客先への訪問がしづらくなり、現在では商談の9割以上がオンラインで行われるようになったと言われている。展示会やセミナーといったオフラインがメインだったイベントもオンラインでの開催が主流になり、顧客の購買プロセスも変化してきた。マーケティングや営業の部門では、そうした変化に順応しなくてはならない。

 コロナ禍以前のBtoB営業では、展示会などのイベントで大量の名刺を獲得し、そこにテレアポをして商談をするというプロセスが一般的だった。しかし現在は、顧客が営業担当に会うまでのプロセスが長期化している。購買プロセスのうち、非対面での検討が67%を占めるというデータもある。

 顧客は自らSNS、比較サイトなどで検索し、導入を検討する際には公式サイトでの資料ダウンロードや料金表を見るといったように、能動的にウェブ上で情報を得るようになっている。サービスを比較検討する際、営業担当に会う前の非対面の時点で決定をしている人は60%にものぼる。

 また、検討の初期段階では営業と関わることを嫌がる人が62%、商談後に継続フォローをしなかった場合には2年以内に80%が競合サービスの購入を行うというデータもある。顧客は営業担当と対面で会う前に、重要な意思決定を済ませてしまっているといえる。

 「こうしたデータから、非対面でのコミュニケーション手段をもつことが非常に重要になってきたことがわかります。顧客が自ら簡単に情報を収集できるようになった今、非対面の時点で自社を検討してもらえていなければ営業担当は提案する機会がありません」(徳井氏)

MAツールだからできる営業法

 一般的にMAツールの機能は、顧客の氏名や電話番号、セミナーの参加情報などのオフライン情報と、自社サイトの閲覧履歴やメールの開封情報、資料ダウンロードなどのオンラインでの行動履歴を一元管理できるデータベースを持つ。そのデータベースをもとに顧客との最適なコミュニケーションを実現できるのがMAである。

 たとえば「料金ページや事例を閲覧した人に製品資料を提供する」といったことが実現できる。このように、顧客のフェーズに合わせて適切なコンテンツを提供していく上で、MAは欠かせない存在となっている。

 そのほか様々な活用ができるMAの中でも、「SATORI」は「匿名客にアプローチできる」という強みをもっている。サイトの訪問者のうち、実名客はほんの3%で、匿名客が97%も占めると言われている。これまで逃していた多くのサイト訪問者にもアプローチできれば、さらに営業の成果は高くなっていくことだろう。

 「SATORIでは、顧客のフェーズに合わせたコンテンツを段階的に提供することで、新規の商談創出を続けています。設立から約5年となる現在、ライセンスの契約数は900社にまで伸びました」(徳井氏)

検討度合いの高い顧客を優先的にフォローする

 自身も広告代理店でインハウスのマーケター経験があり、その際に使用していたMAツール「SATORI」で大きな成果を出し、惚れ込む形でSATORI社に転職したという徳井氏。ここからは、MAを活用して「商談を効率的に創出する6つのTIPS」を紹介していった。まず1つ目は、「イベントからの即時フォロー」

 展示会などのイベントで獲得した見込み顧客を即時フォローするのは、最も重要なことだ。競合も同じ顧客にアプローチしてくるため、埋もれないためにいち早くコンタクトを取りにいく。即時フォローをすることで、商談化率は5~6%程度見込めると言われている。

 オンラインでの展示会の場合は、終了後に事務局から大量の顧客データが送られてくる。MAを導入している場合は、事前に御礼メール配信の準備をすれば、顧客情報をMAに登録後、自動でお礼メールの送信が可能だ。さらに配信後メールを開封した、メール内リンクをクリックしサイトに来てくれたといった行動履歴がわかるので、反応のあった顧客からフォローの優先順位をつけられる。来場者に対して優先順を付けずに電話をしていくという非効率な方法を取ると、検討度合いの高い顧客へのフォローが出遅れてしまうことにもなりかねない。

 また、MAではサイトのどのページを閲覧しているのか、どんな資料をダウンロードしているのかといった行動履歴を商談前に確認できる。そのため顧客の興味関心をあらかじめ把握した上で、商談時に顧客の興味関心にあった内容で提案が可能だ。

商談化率10倍!検討度合いが高まっている顧客にコンタクトをする

 2つ目のTIPSは、「Webサイトによる興味関心の高まった顧客のあぶり出し」だ。自社サイトの中にある、今まさに購買検討をしている顧客が見るコンテンツ「キラーコンテンツ」を見ている人がいた場合、MAで通知を飛ばし、リアルタイムに電話などのアプローチができるのだ

 キラーコンテンツが何になるかは、業種や会社によってそれぞれだ。契約にいたった顧客のオンラインでの行動履歴をMAで把握できるため、そこから仮説を立て契約前の顧客が欲しいコンテンツは何かを調査をしていくとわかるだろう。SATORIの場合は、「料金ページ」「事例ページ」「他社との比較ページ」をキラーコンテンツとしていて、この3つを見た顧客に連絡をすると、高確率で商談が獲得でき、その後の受注率も高い。あるIT企業では、他社との比較コンテンツを見ている顧客に絞ってアプローチしてみたところ、商談化率が10倍にも跳ね上がったという例もある。

顧客の見込み度合いをランクづけする

 3つ目のTIPSは、「ウェビナーのアンケート活用」。ウェビナー終了後に行うアンケートをMAで活用することによって、商談獲得につなげることができる。アンケートの回答内容を元に参加者の興味関心度合いをランク分けしていく。

 たとえばSATORIの場合、「マーケティングオートメーションの検討状況について教えてください」という質問の回答が、情報収集中、導入検討中、MAのリプレイス検討中といった受注確率の高そうなものをAランク、「既にMAツールを導入済み」をBランク、「導入の予定なし」をCランクとしている。

 お礼メールの内容や送る資料をランクごとに分け、さらにダウンロードなどのリアクションを営業担当に通知してくれるといったシナリオ機能を使えば、自動でランク別にアプローチすることができる。検討度合いの低い顧客も、自動で顧客育成ができるようなシナリオを作ることで、興味関心を醸成していくことも可能だ。

行動をスコア付けし、アプローチする顧客の優先順位をつける

 4つ目のTIPSは、「スコア活用によるコール順位づけ」。MAには、スコアリング機能というものがついている。たとえばメールを開封したら5点、メールのリンクをクリックしたら10点、資料請求したら20点、料金ページを見たら50点というように、顧客の行動に対してスコアを付与する。これにより、スコアが高い顧客から優先順位をつけてアプローチをしていくことができる。

 「先のキラーコンテンツとスコアリングを掛け合わせることで、さらに優先順位を絞り込むことができます。そうすると商談を獲得するスピードが圧倒的に速くなります。多くの顧客リストを眠らせているような企業では、すぐに成果が出る施策です」(徳井氏)

どこから来た訪問者かを把握し、アプローチする

 5つ目のTIPSは、「アクセス企業履歴の活用」。これは「SATORI」独自の機能となる。一般的なMAは、顧客の個人情報をもっていることが前提となっている。しかし「SATORI」では、顧客の個人情報が取得できていない匿名状態でも、IPアドレスからサイト訪問者がどの企業の人かを把握できる。企業名がわかれば、ある程度的を絞った状態で営業担当がアプローチしていくことが可能だ。

 「MAは顧客育成のためのツールだと思われている方も多いですが、『SATORI』はこうした、サイトに訪問している名前のわからない匿名客に対してもアプローチできるので、新規顧客のリード獲得の段階から活用することができます」(徳井氏)

商談後のフォローを仕組み化し、継続的なフォローを実現

 そして6つ目のTIPSは「商談1ヵ月後のフォローアップ」。これは顧客に商談をしたというフラグをつけておくと、1ヵ月後に営業担当者に「あの商談どうなりましたか?」とアラートを出すという使い方だ。

 SATORIでは、「【商談後1ヵ月アラート】●●社との案件進捗を教えてください」という件名で、顧客の詳細ページや営業担当が記入したメモなどが書かれたメールが届く。そして担当者は「今追いかけている最中です」や「案件がなかなか進まないので電話担当に後追いを依頼します」「失注しました」といった案件状態のフラグを選択してつけていく。

 「営業担当は毎日たくさんの案件を追っているので、見込みの薄い案件になればなるほど放置しがちです。でも、一度商談までしてくださった顧客は、そのときは受注にいたらなくても今後受注し得る可能性があるので、継続的にフォローを続ける必要があります。こうして商談後のフローをMAで仕組み化していくことで、顧客へのフォロー漏れを防ぎ、会社全体で継続フォローができるようになります」(徳井氏)

 続けて「SATORIでは、顧客のフェーズに合わせたコンテンツを段階的に提供することで、新規の商談を継続的に創出しています。MAの運用は難しいと誤解されがちですが、多くの導入企業様が数人で運用しています。最低限のリソースで、最大限のマーケティング成果を出すためのツールなのです」と語り、講演を締めくくった。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/15 15:41 https://markezine.jp/article/detail/34532