本社に招集。マーケターとしてどうスキルアップした?
野崎:一見すると遠回りに見えるかもしれませんが、現場を知っているマーケターはマーケティング戦略立案に携わる際、現場経験が活きているケースが多いなと日々キャリア面談をしていて感じますし、実際の面接受けも良いです。
目黒さんはその後本社へ異動となり、マーケティング部門に配属となりました。配属されてからは具体的にどのようなキャリアを歩んだのでしょうか。
目黒:最初にマーケティング部に配属となった際にはマーケティングとは何かもよくわかっておらず、先輩に「何か仕事はありますか」と尋ねる毎日でした。そうしているうちになんとか役割を与えられ、MAの導入・運用を担当するようになりました。

野崎:以前は営業として目の前で対面していたお客様が、マーケティング部門からだと当然ながら直接見えなくなるわけですが、苦労されましたか?
目黒:営業時代の経験があったので、お客様の状況や心理はゆうに想像できました。また、コミュニケーションシナリオの設計やABテストの配信設定などMA固有のち密な作業が自分の性に合っていたこともあり、夢中になって取り組んでいました。
野崎:MAの導入・運用に携わったことで、営業経験で培ったコミュニケーションと通ずる部分を体感され、マーケティングのおもしろさに触れたわけですね。実際の営業シーンから逆算するシナリオ設計は効果的でしたか?
目黒:効果的でした。メールの開封率やクリック率を上げることはもちろん、ローンの残債データを上手く活用した施策など、様々な成果を出すことができました。
もちろん、たくさん失敗もしました。ただ、営業ではアプローチできる人数に限界があるのに対し、マーケティングは1対nでアプローチできます。そのため、仕掛け次第で大きな成果を得られる可能性を秘めており、そこにマーケティングの魅力を感じました。
信頼残高UPで社内の役割も変化、そこから見えた転職の兆し
野崎:MA導入・運用以外のお仕事にもチャレンジしていましたか?
目黒:インサイドセールスの立ち上げにも携わりました。最初は私を含めて3名という小さな組織でしたが、急速に成長させて半年後には30名規模の組織まで拡大しました。
インサイドセールスの立ち上げ成功をきっかけに、他部署の方にも名前を知っていただけるようになり、非常に仕事が進めやすくなりましたし、外部イベントの登壇機会をいただくこともありました。
野崎:事業会社のマーケターは、プロジェクトが部門を横断するケースが多く、他部門とのやり取りが増えがちなので、信頼残高を社内で積み上げていくことがキャリア形成において非常に重要です。支援会社から事業会社に転職して失敗する方の多くは、この信頼残高の積み上げがうまくいっていません。目黒さんはその信頼残高を積み上げたことで、社内外からも評価を受けるようになったのですね。
ただ、順風満帆と言える状況下で、なぜ転職を考えるようになったのでしょうか。

目黒:きっかけは当時イベントで登壇されていた、某企業で執行役員を務めるマーケターの方の話を聞いたことでした。その方と私はそこまで年齢が離れていないのですが、その方の話を聞いて、視座の高さに驚きました。自分が5年後、10年後にその人のようになれるかと考えたときに、非常に大きな壁を感じたんです。
野崎:社外から刺激を受けたパターンですね。今後のさらなる副業解禁の流れとともに、社外とのコミュニケーションが増え、こういった転職トリガーはますます増えると個人的に予想しています。視座の高い内容とは、どういった内容なのでしょうか。
目黒:業界の未来を見据えた上での自社のあるべき姿を話されていました。一方、当時私が登壇して話していた内容は、自社の施策の紹介やその施策に込めた狙いであり、見据えているものが「業界」と「自社」という視座の違いを痛感しました。
その方に強く憧れるとともに、今よりももっと高い視座から語れるようになりたい、マーケターとしてもっと力を付けたいと考えたんです。