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「withファン」レポート

「概算でいいから納得感のあるロジックを作る」自由度の高いSNS運用を実現する、“概算力”とルール作り

こんな時はどうする?効果測定の式を組み立てるためのQ&A

Q.実店舗もECもないメーカーです。どのように効果測定の式を立てるのがよいでしょうか。

徳力:僕はメーカーであっても直販は一度やってみるといいと思っている派です。広告を出したり、コンバージョンが出たりと、デジタルマーケティングの全貌が肌で理解できると思うからです。日本では小売、流通の力が強く、なかなかはじめづらいという話も聞きますが。

吉田:先ほどの来店率ですが、地域をセグメントしていないSNSの場合の来店率は1,000人中数名という数字です。一方、紙のチラシ配布をした時などは店の近所だけなので100人中3~4人くらいと言われています。そういう数値に似たものがないか、探してみましょう。

 たとえば、テレビやウェブメディアに取り上げたらアマゾンのランキングが上がって品切れになってしまったとか、放映された地域のお店で何個売れたとかいった数字が、じつはメーカー側でもいろいろとあるのではないでしょうか。そういう、マーケターなら成果として喜んで拾ってくるものが、拾われていないことがけっこうあると思います。

 分母を出して、そこで何個売れた、というような式が作れるパターンを探し出してみて、それとSNSの効果を比較できるようにしてみると、いいのではないかと思います。

 それから、今はもうひとつ、「口コミ量」から逆算することもできそうかなと思っています。一般の人の投稿がバズって、それで何かが売れたときに、投稿のリツイートの量と売れた量を比較するといったやり方です。すると、何インプレッションでこれくらい、というような計算にもなるかと思います。

徳力:メーカーさんが気づいてない知らない数字もあると思います。経験では、かなり高い製品をブロガーの方が新製品レビューをして何十台も売っていた、ということがありました。ブロガーはアマゾンなどのアフィリエイトで売上個数がわかりますし、知り合いから話を聞いて僕は知ったけれど、実はそういう情報はメーカーさんに行っていなかったりする。そういうものは再生数から分母が取れるので、参考にできるかもしれませんね。ファンミーティングやブロガーミーティングがあればメーカーも掴めると思いますが。

Q.ファンミーティングを定量的に評価する方法はありますか?

吉田:ファンミーティング単体では行いませんでした。それは数が小さくなるので、やはりかかる手間に対しては「これだけ売上が上がりました」とは言いづらいからです。そこで以前やったものでは、試食会を開いてファンの方をお呼びしてブログなどにアウトプットいただいたときは、同時にメディアも呼んで記事にしていただきました。効果としてはまるっとまとめてインプレッションを出して、概算で来店効果を出しました。

徳力:ファンミーティングそのものは、ファンのために行うものであって、それを売上に直結するツールのように捉えると、逆に分が悪くなってしまうのですよね。あまりお薦めできません。

吉田:そういう時に、「まるめる作戦」ですね。単体の数字では弱い時は、こっちとあっちをまとめて合体ロボット状態にする。強い企画にやりたいPR企画をくっ付けて、まるっと「○○施策」というふうに提案するとことが運びやすいです(笑)。

 最後になりますが、ソーシャルメディア施策やファン施策は、本日出した効果測定の数字を上げることが真の目的ではありません。概算力で合意を得て、片側でやりたいことをやるためのもの、と考えるのがいいと思います。ちょっと頑張って数字を作ってその先の自由を勝ち取りましょう(笑)。

徳力:僕もよく本音の効果測定とディフェンスの効果測定と言っています。本音では感情を動かさないといけないのですが、社内説得と予算確保にはディフェンスの効果測定も必要……と。そこを「概算力」で乗り越えるというのは、非常に腹落ちしました。本日はありがとうございました。

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この記事の著者

吉田 朗子(ヨシダ サエコ)

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 マーケティング部

広告代理店とカナダでのワーキングホリデーを経て、2018年アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)入社。AMNでは、マーケティング部に所属しながら”寄り添う企業として”をスローガンにしウェビナー、イベントなどを開催中。個人では保護犬のボランティアなどを行いながらより良い未来を模索している。

アンバサダープログラム事業部:https://agilemedia.jp/ambassador-program

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

宮崎 綾子(ミヤザキ アヤコ)

編集者。編集プロダクション勤務を経て2009年に独立、“ひとり編プロ”アマルゴンを運営。PC・スマホ・ウェブ関連の技術&カルチャー書籍編集制作を中心に、PRコンテンツ企画など幅広く関わる。電子書籍の導入期にはImpress QuickBooksシリーズに参画。実績は https://amargon.net

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田口 和裕(タグチ カズヒロ)

タイ在住のフリーライター。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイトなどを中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。著書に『できるfit メルカリ&LINE&Instagram&Facebook&Twitter 基本+活用ワザ』(インプレス・共著)、『ゼロからはじめるテレワーク実践ガイド ツールとアイデアで実現する「どこでも仕事」...

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/34726

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