動画素材が枯渇していて、動画クリエイティブのPDCAが回らない
――続いて、青木さんにうかがいます。ママコスメさんでは、Instagramの動画広告をスタートされたそうですね。その目的を、教えてください。
青木:動画は静止画に比べて、伝えられる情報量が圧倒的に多い点が魅力です。とくにコスメやスキンケア商品の場合、テクスチャーや使い方も伝えられるので、動画は活用したいと考えていました。
また、お客様はネットやSNSで商品を知り、詳しい情報に触れて、ある程度の取捨選択をした状態でサイトへ訪れ、購入されます。ママコスメの販売チャネルは9割がECなので、動画であれば購入前に「使ったときのイメージ」をより訴求しやすいのではないかと仮説を立てていたんです。
そして静止画での広告コミュニケーションに限界を感じ始めていたので、動画にチャレンジし、獲得の裾野を広げたいという思いがありました。
――動画クリエイティブは、どのように制作しているのでしょうか。
青木:初めはストックフォトサービスで仕入れた静止画をAIによる自動生成ツールなどを活用し、スライドショー化して動画クリエイティブとして配信していたのですが、既視感や広告色の強さからか、反応は良くありませんでした。
続いて、UGCを活用した動画制作にも挑戦したのですが、マスプロモーションを積極的に展開しているブランドほど、UGCが潤沢にSNS上にアップされているわけではないので、それも断念。
最後に商材のみ、もしくは身体の一部だけが映る動画は社内でも制作をしてみたものの、社員の顔出しでの撮影が難しいことや、そもそもの動画全体の設計、撮影時間の確保、機材や備品の調達、社内コミュニケーションなど、諸々のトータルコストが結果的に嵩んでしまい、費用対効果が合わないこと、またスピーディーなPDCAが回しづらいことがわかり、制作のインハウス化も頓挫しました。
――静止画に比べて、動画はクリエイティブのための素材を集めるハードルが高いのですね。
小嶋:そうなんです。他にも、インフルエンサーに依頼したり、クラウドソーシングや社内撮影など試行錯誤を続けていましたが、弊社内でもディレクションが難しく、コスト効率が悪かったり、想像以上のコミュニケーションコストが発生することもあり、悩んでいました。そのようなとき、鬼山さんから「DeLMO for Advertiser」をご提案いただいたんです。
マーケットニーズに沿った“SNS特化型”の動画素材を提供
――では、「DeLMO for Advertiser」のサービスの特徴を教えてください。
鬼山:「DeLMO for Advertiser」 は、SNSやインフィード広告に最適化された動画素材を集めたプラットフォームです。特徴は、SNSの世界観に即した動画素材が豊富にあること。国内の素材ストックサービスは基本的に画像素材に特化しており、かつ急拡大している「SNS×動画広告」の市場に即したサービスも見つかりません。そのため、広告業界のペインやコンテキストをよく理解したメンバーで開発チームを組成し、我々が育った広告業界に貢献したいという思いで「DeLMO for Advertiser」を立ち上げました。
現在は広告代理店様を中心に本サービスをご利用頂いており、DeLMOサイト内で希望の動画素材を様々なカテゴリやテーマから検索いただき、ダウンロードいただく方法と、制作ニーズをお聞きした上で新規で撮影し納品する2つの利用方法があります。
――どのようなクリエイターが制作しているのですか。
鬼山:女性のインスタグラマーを中心に、多数のクリエイターが制作しています。主にSNSや最先端のWebサービスを人よりも早くアクティブに利用するようなアーリーアダプターの方々で、「SNSで反応の良い動画」をしっかり理解しています。全業種に対応した動画素材をご用意していますが、現時点ではコスメや脱毛、アプリ系の広告用途に強みがありますね。