資生堂が「TRUEアフィリエイト」を選んだ理由
――はじめに、みなさんの自己紹介をお願いします。
河村:資生堂ジャパンのEC事業部 オウンドECグループに所属し、資生堂の総合美容サイト「ワタシプラス」で主に広告(運用型、アフィリエイト広告など)による売上を上げるための集客を担当しています。
鈴木:同じく資生堂ジャパン EC事業部 オウンドECグループに所属し、アフィリエイトを中心としたオンライン広告の運用とワタシプラスの公式LINEやSNSアカウントの運用を担当しています。
五十嵐:GMO NIKKOの広告事業本部に所属し、広告主であるクライアント企業様とのお取り引きを担当しています。当社では、エンドユーザーにクライアント企業様が伝えたいベネフィットを伝えるべく、様々な広告の商材や手法を網羅して手掛けています。
――ワタシプラスにおいて、アフィリエイト広告はどのような位置付けで活用されているのでしょうか。
河村:ワタシプラスの新規会員の獲得や、継続的なリピート購入を促すために活用しています。購入に繋げるための商品情報の提供や購入いただく理由、お得な情報などを伝えるには、広告バナーやテキストだけでは情報として弱いので、ブロガーさんや媒体さんにご協力いただいて商品の魅力やワタシプラスで買うベネフィットを発信しています。
テキストベースで判定し「機会損失」を防ぐ
――「ワタシプラス」のアフィリエイト広告運用では、GMO NIKKOが提供するツール「TRUEアフィリエイト」を活用されているとのことですが、どのような点が決め手となり導入されたのでしょうか。
河村:まず背景として、資生堂ジャパンでは2018年から、ブランドセーフティツールやホワイトリストの活用を全社的に開始し、デジタル広告の出稿先サイトの安全性を各種数値から判断してサイトの整理を行っていました。我々EC事業部としても、そこに背反することのない広告配信をしていかなければならないと考え、「TRUEアフィリエイト」のブランドセーフティ機能に価値を感じて導入を決めました。サイトがアフィリエイト広告を掲載するのに適しているか否かを「テキストベース」で判定できる点が決め手となり、2019年に導入しています。
鈴木:私が知る限り、テキストベースで判定ができるツールは他にないと思います。これまで「ドメイン単位」でNGと判定できるツールはありましたが、それだとたとえばメディア内の一部コンテンツが適していないだけで、そのメディア全体をNGと判定してしまうことになってしまいます。弊社としては、ワタシプラスの広告が掲載されている面が適していれば問題ないので、テキストベース、つまりページ単位で判定できるTRUEアフィリエイトは、「機会損失」を防ぐことにもつながると考えています。
アドベリで特許を取得した「TRUEアフィリエイト」とは
――「TRUEアフィリエイト」はどのような経緯で開発することになったのでしょうか。
五十嵐:最初のきっかけは、弊社代表の佐久間が発した「運用型広告ではブランドセーフティやアドフラウドをしっかりやっているのに、アフィリエイト広告はなぜできないんだろう?」という言葉でした。多くの広告主企業様にとって、アフィリエイトは重要な広告の一つになっていると思います。にも関わらず、ブランドセーフティを担保できていないのは、おそろしいことですよね。そこで、「アフィリエイト広告を運用型広告の品質に近づける」という狙いのもと、開発を進めてまいりました。
またアフィリエイト広告の場合、当然ですが我々だけの開発で解決できるものではなく、ASP各社とのアライアンスが取れて初めて実現できるものになります。そこでASP各社に我々の思いを説明しに行ったところ、主要ASP各社にご賛同いただき、サービスとして実現することができました。
――「TRUEアフィリエイト」の機能や強みはどういったものになりますか。
五十嵐:ワンタグシステム、ブランドセーフティ、コールトラッキングという3つの特徴がありますが、なかでもブランドセーフティ機能が最大の強みだと思います。ブランドセーフティについては特許も取得できています。
アドベリでアフィリエイト広告の運用はどう変わるのか
――ブランドセーフティによって、従来のアフィリエイト広告とはどのように変わってくるでしょうか。
五十嵐:アフィリエイト広告の良いところは、主要メディアだけでなく、個人ブログなども含む多くのメディアに掲載できる点です。しかしこれまで、ブランドセーフティの観点から管理しきれないため、結局小規模のメディアは使わないという判断をせざるを得なくなっていました。それがブランドセーフティツールによって安全性が担保できるようになると、大小幅広いメディアに配信できるようになります。これは、先ほど鈴木さんが言われていたように機会損失を防ぐことにもつながります。
五十嵐:また、これまではアフィリエイト広告を掲載したいというメディアがあったら、そのサイトがふさわしいかチェックをし、問題がない場合はIDの入ったURLを発行して掲載してもらうという形でした。しかしこの場合、一度発行したURLはどこにでも貼ることができるので、本当にチェックしたサイトに貼られているのかがわからない状況でした。
ASPに問い合わせてログを見てもらうことはできますが、膨大な量になるのでそれをすべて人力で行うのは不可能です。また、それまでは美容の記事を書いていたサイトなのに、広告を貼った後にギャンブルの記事が多くなるというように、サイトの内容自体がチェックしたときから変化してしまうリスクもあります。TRUEアフィリエイトでは、現在リンクがどこに貼られているのかがツール上でわかるので、そうした問題を解決できます。
新規媒体追加の判定精度も向上
――資生堂ジャパンで、実際に1年ほど活用された手応えはいかがですか。
鈴木:弊社では、NGキーワードカテゴリをTRUEアフィリエイトに登録し、NG該当するテキストと画像のaltタグ(代替えテキスト)で検知し、掲載NGで上がってきたリストを社内で目視確認をして、記事全体の文脈等に問題が無ければ掲載を再開しております。
TRUEアフィリエイトは、一度掲載をOKとした記事が更新された際には再度クロールし、NGワードがあれば広告掲載のストップをかけてくれるので助かっています。また、自分たちの広告がどういったサイトに出ているのかを確認することができ、どういう文脈で書かれているかといったことを把握できるので様々な気づきがありますね。たとえば、NGワードにはひっかからなくても、他の記事が懸賞系ばかりのサイトで掲載されるのは良くないなと気づき、そうした基準をASP社にも共有していくことで、新規媒体追加の際の判定の精度が上がってきています。
河村:NGワードで不適切なサイトを選り分けても、極端に広告の成果が悪くなることもなく、これまで獲得していた水準を維持しつつさらに新しい媒体を追加し、効率を改善できています。
アフィリエイト広告は適切な媒体にしか表示されていないとお客様や社内の関係部署に対して自信を持って言え、お客様を不快にしていない、ブランド毀損に加担していないという点は非常に大きなメリットだと感じます。
クライアントの声に応え、さらなる進化を
――資生堂ジャパンから、TRUEアフィリエイトに今後望む改善などはありますか。
鈴木:たとえば月単位で、今月のNGとなったサイトは何件で、掲載OKとなったサイトは何件というような集計データがツールの管理画面上でわかると嬉しいですね。毎日メールでその日NGとなったサイト集計は届くのですが、月単位で集計データを見られると、大枠の変化の流れがより掴みやすくなると考えています。
あと欲を言えば、同じサイトがこれまでに何度NG判定が出たかをカウントしたり、NGワードの追加を管理画面から自分たちで直接できるようになったり、アフィリエイト広告の出稿状況をブランドごとなどで管理できたりすると嬉しいです。
河村:管理画面も、ぱっと見でわかりやすくデータが可視化されると良いですね。また、サイトの判定が、単語だけでなく文脈からも判断できたらより運用の作業負担が減るのかなとも思います。
五十嵐:実は、判定のレポートを出す新機能は間もなく提供予定です。近々管理画面をフルモデルチェンジする予定ですが、その他にいただいた要望も多くが反映できると思います。こうやって、実際に使っているクライアントの声を反映し追加開発を重ね、TRUEアフィリエイトをより鋭い武器へと研磨していけたらと考えています。