コロナ禍で生まれた2020年トレンドを振り返り
コロナ禍により社会の構造が激変し、生活者のインサイトや消費動向にも大きな変化が見られた2020年。外出自粛の影響からインターネットやSNSの利用時間は急増し、様々な機会がオンラインへ移行しました。
2020年のトレンドを振り返ると、食分野では手作りパンやスイーツが一大ブームとなり、自炊機会の増加から、ミールキットや冷凍食品の売上が伸長。宅配サービスやキャッシュレスも一気に普及しました。
生活分野では、おしゃれなエコバッグや布マスクが流行するなど、エシカルな消費意識の高まりが感じられます。
エンタメ分野では『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が社会現象を巻き起こし、多数企業と通称“無限コラボ”を展開。ガールズグループ『NiziU』の縄跳びダンスがSNSでミーム化する(真似する)など、新たなスターも誕生しました。
SNSやマーケティングの分野に目を向けると、Instagramでは短尺動画編集機能「リール」と、投稿からECサイトへ誘導する機能「ショップ」がアプリのメインUIに追加され、「直感で行動を促すSNS」へとますます進化を遂げています。
また、YouTubeでは60秒以下の縦型動画を投稿できる「YouTube Shorts」がスタート。TwitterではInstagramストーリーズに似た、24時間で消える縦型投稿機能「フリート」が導入されるなど、各SNSの機能が重複してきており、ユーザーの可処分時間の取り合いはさらに激しさを増していくでしょう。
これらの状況を踏まえつつ、トレンダーズで実施した各種調査を参考に、2021年のマーケティングトレンドについて、3つのキーワードで予測します。
【1】生活者インサイトの鍵は「アクティビティとウェルネスの逆転」
2021年トレンド予測、1つ目のキーワードは、「アクティビティとウェルネスの逆転」です。今までは「家の中=プライベートでリラックスできる空間」「家の外=社会的で遊びや学びを楽しむ空間」という認識が一般的だった中、コロナ禍の影響により、生活者の価値観が逆転傾向にあります。
食トレンドメディア「おうちごはん」が発表したSNSトレンド大賞2020では、Instagram部門で「ダルゴナコーヒー」が、Twitter部門で「ホットサンドメーカー飯」が大賞となり、食べるだけでなく、作ることそのものを楽しむ「フードアクティビティ」という考え方が生まれました。
この流れを受け、2021年は、作り方が簡単でお絵描きのように着色を楽しめる「虹パン」や、ワッフルメーカーで冷凍クロワッサンを挟んで焼き上げる「クロッフル」が流行すると予想しています。食を例に挙げましたが、「おうち時間でいかに遊んだり、学んだりできるか」という考え方が、様々な分野で広まってきているといえます。
一方、外出先では心身の癒やしやリラックスを求める「ウェルネス化」の機運が高まりそうです。トレンダーズが行った2020ママトレンド調査では、「おうち時間と外出先とで求める価値観が変わった」という声が多く聞かれ、自宅で済ませられるもの、代替の利かないものが明確になった様子。依然として外出行動に不安を抱える人が多い中、「それでも外出するならば、とっておきの幸福を得たい」という欲求を叶えるものが人気を集めると考えられます。
このような「おうち時間=アクティビティ重視」、「外出先=ウェルネス重視」という価値観の逆転は、2021年もしばらく続くと見られ、プロモーションを企画する際に意識すべきポイントといえるでしょう。