電通は、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2020年 日本の広告費」を発表した。
総広告費は、前年比88.8%の6兆1,594億円に 9年ぶりのマイナス成長
2020年(1~12月)日本の総広告費は、世界的な新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響による各種イベントや広告販促キャンペーンの延期・中止により、4-6月期を中心に大幅に減少した。7月以降は徐々に回復の兆しを見せ、10-12月期には前年並みに回復しつつあったものの、通年で6兆1,594億円(前年比88.8%)となり、東日本大震災のあった2011年以来、9年ぶりのマイナス成長。リーマン・ショックの影響を受けた2009年(同88.5%)に次ぐ下げ幅となった。
インターネット広告費は、前年に続きプラス成長
媒体別に見ると、イベントや販促キャンペーンの延期・中止にともない、「マスコミ四媒体広告費」と「プロモーションメディア広告費」の減少が大きく、総広告費が減少した。
「マスコミ四媒体広告費」は、2兆2,536億円(前年比86.4%)に。「新聞広告費」「雑誌広告費」「ラジオ広告費」「テレビメディア広告費」はすべて大きく前年割れし、6年連続の減少となった。
一方、「インターネット広告費」は、2兆2,290億円(前年比105.9%)となり、「マスコミ四媒体広告費」に匹敵する市場となった。4-6月期は新型コロナの影響を受けたものの、通年でEC(ライブコマースも含む)などが堅調に推移。マスコミ四媒体事業者が提供するインターネットサービスにおける広告費「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」803億円(前年比112.3%)や「物販系ECプラットフォーム広告費(※)」1,321億円(同124.2%)の二桁成長が全体をさらに押し上げた。
また「プロモーションメディア広告費」は、各種イベントや従来型の広告販促キャンペーンの延期・中止に加え、外出・移動の自粛も影響し、通年で減少。1兆6,768億円(前年比75.4%)となった。特に「イベント・展示・映像ほか」「折込」などが大幅に減少した。
※「日本の広告費」における「物販系ECプラットフォーム広告費」は、生活家電・雑貨、書籍、衣類、事務用品などの物品販売を行うEC(電子商取引)プラットフォーム(これを「物販系ECプラットフォーム」と呼ぶ)上において、当該プラットフォームへ“出店”を行っている事業者(これを「店舗あり事業者」と呼ぶ)が当該プラットフォーム内に投下した広告費と定義。より広い意味での「EC領域での販売促進を図るインターネット広告費」全体を指すわけではない。
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