4Pにもう一つのP「Participation=参加」が加わる
消費者の変化を踏まえて、各業界ではマーケティングの4Pの見直しが進んでいる。加藤氏は4Pのすべてに見直しがかかっていることを指摘する。
4P変化に対応した取り組みとしては、リモートワークに対応したオンラインホワイトボードが登場している。また、生鮮品の産直EC「食べチョク」は、従来の生鮮品購入とはPriceやPlaceが異なっており、それがコロナ禍の消費者ニーズや生産者のニーズにマッチして、流通総額が35倍にもなっているという。
「4Pはあくまでマーケティングの実行手段なので、環境に合わせて変化していきますが、誰にどんなベネフィットをお届けしたいのか、という点はそうそう変わるものではないはずです。ベネフィットに焦点を置くと、必然的にいまの環境下でできることに気づけるのではないかと思います。また、消費者と直接やりとりすることが困難ではなくなってきた環境下では、消費者の参加(Participation)も重要な概念かもしれません。参加や共創の要素をどう盛り込むかは、今後のブランドマネジメントで重要になりそうです」(音部氏)
動画本編【7:00~】では、4Pの変化と“5つ目のP”について詳しく解説しています。視聴はこちらから!
ロイヤル顧客の存在がますます重要に
次のテーマは、顧客ロイヤルティの再構築。チーターデジタルの行う顧客ロイヤルティの研究では、(1)エントリーからスーパーロイヤルユーザーの顧客数と売上構成の関係を可視化し、(2)売上向上にインパクトを与える層の発見とアプローチ方法を検討するという2つの枠組みが主に探られている。新規獲得ではなく、既存顧客のロイヤルティを高めることで、追加購入を促すことから、後者を「ロイヤルティ エコノミクス」と称する。
ロイヤルティエコノミクスの構築に成功した事例として、アパレル企業のアメリカン・イーグル・アウトフィッターズをあげる。顧客層の分析から、40~50代中心のロイヤル顧客の年齢層を引き下げることで経済圏が拡大すると判明。新たに狙いたいターゲット層に合わせてロイヤルティプログラムを再構築することで、実際に主な顧客層を13~34歳に引き下げ、年間収益を大幅に増大させた。
「ここでベーシックな質問ですが、ロイヤル顧客はなぜ大切なのでしょうか?」との加藤氏の問いに、音部氏は「ロイヤル顧客は、ブランドが大事にする信念と自身の価値観が一致していることを心地よく感じている可能性が高い人だから」と応じる。
「“類は友を呼ぶ”というように、その人の周囲には同じ価値観や信条を持つ人が集まり、グループを形成しています。かつ、同じグループの人の意見は聞き入れられやすいので、『ロイヤル顧客は、未来のロイヤル顧客の友人』である可能性が高いと言えます。今後、信条や価値観に基づいた消費が重要になるほど、ロイヤル顧客は周囲への影響力を持つという点で重要度が増すと思います」(音部氏)
続いて、テーマは3つ目の「D2Cブランド登場の意味」へ。加えて今、「DNVB」-Digitally Native Vertical Brandという呼称も出てきているという。
動画本編【18:04~】ではD2Cブランド登場の意味とDNVBの特徴を解説。視聴はこちら!