データ活用を重視する企業の約半数「具体的な施策に着手」
重要視されるマーケティングデータマネジメントだが、取り組みはどこまで進んでいるのか。
「実は予想よりも取り組みを進めている企業は多く、45%は『何らかの形でデータ統合・連携に着手』しており、25%の企業は『今後1年以内に取り組む予定』との回答です。つまり、『マーケティングデータマネジメントが重要』と回答している企業が約9割で、そのうちの半数は具体的な取り組みを始めている状態です」と田島氏は説明する。
内訳を見ると、先行して取り組みを始めている企業は、BtoBよりもBtoC企業が多く、着手しているのは全体の53%。また年商2,000億円以上の大手企業に限ると、62%が何らかの取り組みを始めているという。
データマネジメントへの取り組みで期待する成果は「顧客接点の把握、BIでの顧客の見える化、ニーズ分析・把握」が64.0%でトップ、次いで「社内業務効率化・無駄の削減と、部門間連携の促進」(52.6%)、「施策の効果測定なども含めた、PDCAサイクル実現」(50.0%)と続いた。
ここでの「社内業務効率化・無駄の削減」とは、顧客データやマーケティングデータの整理、分析にかかる作業のことだと田島氏は説明する。
田島氏が関わった案件でも、ExcelやCSVフォーマットでデータが分散しているケースが大半で、レポーティングのためにわざわざデータを統合して分析する作業が発生しているという。データを統合管理することで、こういった無駄を省き、効率化してPDCAを円滑に進めたい企業が多いと考えられる。
一方で、メディアでうたわれるような「AIの活用」や「オフラインとオンラインを連携し、オムニチャネルでデータを統合する」などの取り組みは、次の段階と考えている企業が多い。こうした目的でデータマネジメントを実際に進める企業は、まだ少ないのが現状のようだ。
データの「部分統合」と「統合連携」の間に大きな壁
今回、アンケートに回答した上場企業の大半は「マーケティングの成果に対してマーケティングデータマネジメントは非常に重要」と考えており、その半数以上が「実際に取り組んでいる/取り組む予定がある」としていることがわかった。
田島氏はこれらの企業に対し、さらに一歩踏み込んで、マーケティングデータマネジメントの成熟度モデルを0~6までの7段で階示し、「自社のデータマネジメントの成熟度はどこまで進んでいるか」と尋ねてみた。
成熟度ステージの0は「マーケティングデータを収集できていないデータ不在」の状態で、ステージ1は「個別にデータが散財し、連携できていない」状態、ステージ2は「部分連携」、ステージ3は「多くのデータが結合集約されており、活用はこれから」、ステージ4は「見える化・分析に活用されている」状態、ステージ5は「分析だけでなく、施策にもデータを活用している」状態、ステージ6は「AIやIoTなど先進的な取り組みを行っている」状態としている。
アンケートの結果、圧倒的に多かったのがステージ2で53.7%。次のステージ3に進むと、数は一気に減って4.8%となる。自社の成熟度をステージ3以上としている企業は約15%で、半数がステージ2で足踏みしている状態といる。
「つまり、ステージ2と3の間には、大きな“壁”がある状態です。主要なものは連携しているものの、データが分散しており、マーケティングデータマネジメントとして全体を統合していこうとした時、なかなか進めない。ここで悩んでいる企業が8割以上もいる。では、その壁は何なのか、調査を進めることにしました」田島氏は語る。