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鍵はCDPへの理解、上場企業の声から見えてきたマーケティングデータ統合・活用の課題と対策とは?

課題は「人材不足・専門知識不足」

 アンケートで「データマネジメントに取り組む際の課題は何か」と直球をぶつけてみたところ、回答は「組織間の連携や部門間連携」(39.7%)、「様々なテクノロジーに対する専門知識や人材」(34.9%)、「戦略立案や中期的なロードマップの策定」(31.3%)の順で多かった。

 データを収集するマーケティングツールがさまざまな部門で導入されており、多くの企業は必然的にデータが分散している状態だと考えられる。こうした状態でデータを統合管理するには、部門協力が欠かせない。だが、なかなかうまく統合できず、組織間や部門間での調整で時間がかかってしまう。これは想像に難くないだろう。

 「意外だったのは、年商2000億円以上の大手企業に限定して集計したところ、部門間連携の課題よりも『専門知識や人材が足りない』という課題の方が上回ることがわかった」ことだと田島氏は語る。

 次々に新しいSNSやテクノロジーが登場するため、どんなデータが蓄積されて、どうやったら取り出せるのかわかる人がいない。これは企業規模に関わらず、共通する課題でもあるだろう。「人材不足、専門知識不足でデータマネジメントが進まず、苦労されている企業が多いと感じています」と田島氏も理解を示す。

 3つ目に回答が多かった課題「戦略立案や長期的なロードマップの策定」は、データマネジメントに限らず、企業・組織のITをテコ入れする際に必ずついて回る問題だ。

 マーケティングデータの統合管理は、比較的最近取り組み始めた企業が多く、「3年後にどこを目指していくのか」といったゴールがなかなか見えにくいという。見通しの悪さが、データマネジメントを阻む課題として頑然と現れていると思われる。

 そして、これはデータマネジメントを牽引できるリーダーがいないとも言い換えられるだろう。マーケティングデータマネジメントにダイレクトに直結する課題として、人材不足・専門知識不足が大きく影響していることがわかる。

 「これはマーケティングデータマネジメントに取り組む際の大きなポイントです」と田島氏は指摘する。

ハードル越える鍵は「CDPの知識の有無」

 一口に「専門知識」といっても、具体的にどのような知識が不足しているのだろうか。

 田島氏は、そのキーワードとして、データマネジメントをするための「集約基盤」、これに関する知識が不足しているとの仮説を示す。

 分散しているデータを集約するには、当然ながらその集約先となる基盤が必要だ。これに関してはカスタマーデータプラットフォーム(CDP)が米国では3〜4年前から注目され、本国内では2年ほど前から話題に上るようになった。

 CDPとは、それぞれのツールに分散したデータをAPI経由で連携し、リアルタイムに収集・統合する基盤を意味する概念だ。単にデータを収集するだけでなくて、「カスタマー」と銘打っているとおり、ユーザーのメールやクッキーデータなどさまざまなデータを顧客IDのような軸で紐付け、統合する機能を備えている。

 そこで、データマネジメントに対し、「どのようなデータ基盤を使っているのか」を尋ねたところほとんどの企業が「スクラッチ開発」や「汎用のクラウドインフラ」、あるいはOracleのような汎用データベースを挙げた。また、3割の企業が、そうした基盤を「利用していない」と答え、CDPの利用はほとんど進んでいないことがわかったという。

 「この2年ほど、さまざまなベンダーがCDPを宣伝してきましたが、あまり認知・理解されていない状況が明らかになりました」と田島氏は語る。

 アンケート回答者に「CDPについて聞いたことがあるか。理解しているか」と尋ねると、「名前は聞いたことがある」「なんとなく理解している」という声が過半数で、「ある程度理解している」「詳しく理解している」という回答は全体の16%だった。

 ここで、マーケティングデータマネジメントの成熟度がステージ3であると回答する企業が15%であったことを思い出してほしい。CDPについて認知・理解している割合とほぼ一致している。ここから田島氏は一つの考えを提示した。

 「データマネジメントに取り組み、ステージ2から先に進んでいく際に『どの基盤を使えば、顧客の見える化が実現できるか』という観点でさまざまなツールを調べ、知識を蓄えていき、『CDPとは何か、これを使えば何ができるのか』に気付いて実際にその効果を考えて見ることが、取り組みに当たって一つのヒントになるのではないでしょうか」(田島氏)

 つまり、知識や人材不足を補い、目指すゴールに到達するために、CDPについて深堀することが、マーケティングデータマネジメントのハードルを越える一つのヒントになるというのだ。

 今後もSNSや顧客チャネルは次々と登場し、コミュニケーション手段は変化していく。しかし、マーケティングデータを統合管理するというコンセプトや基盤のあり方が、大きく変化することはないだろう。もし、マーケティングデータマネジメントに取り組むなかで、壁にぶつかることがあれば、CDPという選択肢をより深堀りしていくのも一手だろう。

講演で紹介された企業調査の詳細をチェック!

 田島氏が本講演でも紹介した調査の詳細をご覧いただけます。顧客データマネジメントの市場動向や、大手企業の顧客データ管理への取り組みの実態把握にぜひご活用ください。
「マーケティングデータマネジメント取り組み実態調査2021年版」全編

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/04/06 14:33 https://markezine.jp/article/detail/35731

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