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BtoBマーケティングにまつわる4つの理想と現実

4. マーケティング上手な会社になれば、顧客数を伸ばせる?

【理想】マーケティングが上手な会社になれば、顧客数を伸ばせる

【現実】LTVが高い会社が、CACにコストを投下でき、顧客数を伸ばしている

 私も一時期まで、BtoBマーケティング(とりわけプロモーション活動)が上手な会社、たとえばTV CMを打ったり、カンファレンスを開催したり、Web広告を大量に出稿するなど、マーケティング活動が上手な会社が顧客数を増やすと思っていた。つまり、

プロモーションが上手 

→ 顧客数が増える

という構造だと思っていたのだが、これが大きな勘違いで、実際は

LTV(※1)が高いプロダクトがある

→ CAC(※2)にコストをかけられる 

→ 積極的なプロモーション活動を展開できる 

→ プロモーションが上手に見える 

→ 顧客数が増える

になっていた。

※1:LTV(Life Time Value):顧客生涯価値。平均顧客単価(粗利)×継続期間(月額サービスでない場合は、購買回数)もしくは、(平均顧客単価×収益率)÷月次解約率で算出する。

※2:CAC(Customer Acquisition Cost):顧客獲得単価。一定期間の(営業コスト+マーケコスト)÷新規顧客獲得数で算出する。

 世の中で「この会社はマーケティング上手だな」「積極的なプロモーションをしているな」と思う企業やプロダクトの収益構造を見てみると、例外なくLTVが高い商品を扱っている。逆にLTVが低いプロダクトでTV CMなどの大々的なプロモーション活動をやっている会社はほとんどないことに気づくはずだ。

 2つ目に解説した「マーケティング強化に関する理想と現実」にも関連するが、顧客に大きな価値を提供し、継続して使われているプロダクトがあるからこそLTVが高まり、CACに予算を投下できる構造になっている。

LTVが高いと選択肢が増える
LTVが高いと選択肢が増える

 当然、LTVは業界や事業領域、ビジネスモデルなどの影響を受け、一朝一夕に上げることができない。しかし、LTVを上げなければ、CACに投資する原資を作れず、事業の成長を加速することはできない

 隣の芝生は青く見えるのは世の常なので、他社の派手なプロモーション活動はあまり気にせず、特に経営者・事業責任者は、自社のLTVをどのように上げるのかを常に意識するようにするのが、事業成長の近道になる。

 以上、BtoBマーケティングにまつわる4つの理想と現実を語らせていただいた。「マーケティング」という言葉に過度な期待を抱かず、目の前の課題解決・目標達成に向けて地道に打ち手を積み重ねていくことを何よりも推奨したい。

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この記事の著者

栗原 康太(クリハラ コウタ)

1988年生まれ、東京大学文学部行動文化学科社会心理学専修課程卒業。 2011年にIT系上場企業に入社し、BtoBマーケティング支援事業を立ち上げ。事業部長、経営会議メンバーを歴任。2016年に「才能を流通させる」をミッションに掲げ、経営者・事業責任者の想いの実現を加速させる株式会社才流を設立し、代表取締役に就任。 アドテック東京などのカンファレンスでの登壇、宣伝会議・広報会議など主要業界紙での執筆、取材実績多数。 Twitterアカウント(https://twitter.com/kotakurihara) | Facebookアカウント(https://www.facebook.com/kota.kurihara)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2021/05/17 07:00 https://markezine.jp/article/detail/36202

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