ファンベース、どう効果検証する?
続いてディスカッションのテーマとなったのは、取り組みの効果検証について。これに対し佐藤氏は、売り上げの推移やイベントの動員数、熱狂度とNPSをKPIに置いているという。熱狂度に関しては「特定の商品があなたにとってどのような存在ですか?」という設問で5段階で評価している。
花摘氏は「しいて言うならば、来店客数と採用費を指標として見ることがある」と語る。来店客が「Soup Stock Tokyo、とってもいいよ」と周囲に伝えてくれることで来店客が増え、「Soup Stock Tokyoで働くのが楽しい」と思えば、「うちで働いてみない?」とリファラル採用で採用を進めることもできる。特に飲食店の採用は非常に競争も激しい中で、実際に働いている人の声にはリアリティがあり、より重要になっているという。
ファンベースは楽しくないと続かない
最後に津田氏は「新しい時代でこれからどんなことをしていきたいか?」という質問を投げかけた。これに対し、佐藤氏と花摘氏はそれぞれ以下のように答えた。
「2020年はオンラインでファンの方とお会いでき、巣ごもり需要で缶ビールの売上も好調で、改めてファンの大切さに気付けた1年でした。製品開発やファンイベントなど、ヤッホーブルーイングのすべての取り組みがファンのほうを見ているので、今後もそれは大事にしたいです。そしてそれを支える組織作りも進めていきたいと思います」(佐藤氏)
「Soup Stock Tokyoは今後もスープの提供を通じて、ファンの方々にとっての”私のコミュニティ”であることを目指します。具体的にはベジタリアンの方やLGBTQ、ムスリムの方など社会で生きる上で難しさを感じている方に対しても、Soup Stock Tokyoは私の居場所だと思ってもらえるような様々な取り組みを、部署という枠を飛び越えて進めています」(花摘氏)
モデレーターを務めた津田氏は、ファンベースの考え方を軸とした顧客との関係構築のポイントをまとめ、セッションを終えた。
「ファンベースの実践は楽しくないと続きませんし、仲間も増えません。佐藤さんと花摘さんを見ていても、2人とも顧客との関係作りを楽しんでいます。当然、ファンに会うことも重要です。最初は勇気がいりますが、新しい発見や施策につながることもあるので、ぜひ様々な方と会ってみてください。そして、インナー向けの施策もファンベースでは非常に重要です。インナーとファンは表裏一体。ぜひ、ファンベースに取り組みたい方はこれを覚えていただければと思います」(津田氏)