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LINE広告活用術(PR)

「ターゲティングしないほうがマシだった」は過去の話?LINE広告のプロが語る進化

 「オンラインで少額から運用できる」「8,800万人(2021年3月末時点)のLINEユーザーにリーチできる」という強みを持つ運用型広告プラットフォームのLINE広告。しかし、以前は「ターゲティングが弱い」「使いにくい」という声も聞こえてきた。アップデートも多いLINE広告だが、現在ユーザーの不満は解消されているのか?LINE広告の運用に長らく携わり、LINEの認定講師「LINE Frontliner」を務める若菜良平氏と野嶋友博氏の両名と、LINE 黒岩柊介氏に、これまで、そして現在のLINE広告について語ってもらった。

「ずっと張り付いて運用する必要があった」――黎明期のLINE広告

MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは、みなさんがLINE広告とどのように関わってきたのかを教えてください。

野嶋:2015年に新卒でオプトに入社し、ソーシャルメディア広告を扱う部署に配属されました。2016年4月にLINE広告のベータ版がリリースされたタイミングで担当となり、それ以降ずっとLINE広告に携わっています。いわばLINE広告の進化と共に私も成長してきました。2021年5月からはLINEの法人向けサービスの認定講師「LINE Frontliner」にも就任しています。

株式会社オプト第3アカウントプランニング3部 部長/MarryWall代表 野嶋友博氏
株式会社オプト 第3アカウントプランニング3部 部長/MarryWall 代表 野嶋友博氏

若菜:私は2017年からLINE広告を運用するようになりました。LINE広告やLINE公式アカウントも含めた活用を行いつつ、野嶋さんと同じく2021年5月から「LINE Frontliner」に就任しました。

若菜良平氏
若菜良平氏

黒岩:私は2017年にLINEに中途入社し、LINE広告の営業をしてきました。2020年からは現在のチームに異動し、プロダクトの開発チームと連携して新機能の導入や改善を行なっています。

LINE株式会社広告・法人事業本部Display Business Planning室Demand Planning1チーム アシスタントマネージャー 黒岩柊介氏
LINE株式会社 広告・法人事業本部Display Business Planning室Demand Planning1チーム アシスタントマネージャー 黒岩柊介氏

MZ:早速本題に入ります。LINE広告の黎明期から携わってきた野嶋さんと若菜さんは、当時と現在を比べて運用のしやすさや機能の変化、運用で得られる効果についてどのように評価していますか?

野嶋:全体として見ると、運用の手離れが良くなってきた感覚があります。当初はそれこそ、ずっと張り付いていないとなかなか運用効果を出せなかったイメージがありますが、いまは自動最適化配信機能もあり、運用担当者にとって運用しやすくなってきたと思います。

若菜:そうですね。当時は一つひとつの広告ごとに入札をかけてCPCを調整していました。工数が多い反面、適切に調整すれば一気に成果を最大化できる良さがありましたね。

 時間をかけた分だけしっかり効果が出るので、代理店としては腕の見せ所だったのですが、各プラットフォームの自動化の波にLINE広告も追いつき、現在は運用負荷が格段に軽減されました。ただ、ちょっとした寂しさもありますね(笑)。

野嶋:もう一つ、広告を配信するターゲットの設定の精度が上がり、的確なユーザーに情報を届けることができるようになりました。

 初期のころは、たとえば年代別でターゲティングするのなら、いっそターゲットを絞らずに広く配信したほうが、CPCが安くなる時代もありました。しかし、広告主からすると「誰にでも配信すればいいものではないだろう」というのが本音。このギャップを埋めることが難しかったのです。

若菜:そうですね。とはいえ、CPCの安さに加えて、ターゲティングしない割にレスポンスが安定して配信されていた感覚もあったので、「裏側で何か見えざる力が働いている……?」と疑っていました(笑)。

 また、配信ユーザーの年齢を細かく設定できなかった点にも不満がありました。健康食品を例に挙げると、60代以上の方を対象にした商品もあるのですが、長らく年齢で設定できる上限は50歳まで。最近は65歳まで、5歳刻みで設定できるようになりましたよね。

 あともう一つ挙げるとすれば、広告配信面の指定ができないところですね。「バーティカルサイズ(9:16縦型)の動画は、タイムラインにのみ配信される」など、クリエイティブのフォーマットで想定できる面は一部あるものの、他のプラットフォームと比べると直接的な設定がしづらいので、使い勝手の面では改良の余地があると思います。

いまのLINE広告は「第三形態」?クロスターゲティングを評価

MZ:お二人の話を受け、LINEとしての考えを聞かせてください。

黒岩:もともとLINE広告は他の運用型広告プラットフォームと比較して後発であると認識していたため、まずは他のプラットフォームと比較して遜色のない機能拡充を目指していしました。さらに、2020年1月にはLINE広告やLINE公式アカウントなどの法人向けサービスを横断してデータを活用する「クロスターゲティング」がリリースされるなど、LINEの強みであるサービスの多様性を生かした機能が提供できるようになりました。

クロスターゲティングのデータ連携イメージ
クロスターゲティングの活用例

黒岩:ターゲティングの精度に関しては、お二人のご意見のとおりですね。当時、私は営業でしたが、実際に配信結果を見ている限りでは「細かくターゲティングをするより広く配信したほうが、一番効果が高い」時期がありました。現在はLINE広告全体の配信数が増えたため、ターゲティング精度も高まってきています。

 若菜さんが触れられた配信先の年齢設定にもいえるのですが、プラットフォームとして、最適化できることは可能な限り挑戦していきたいという思いは常に持っています。理想は、予算と目標を入力すれば、あとはプラットフォームがすべて最適化するイメージですね。それを実現するために、あえて「あまり細かすぎる設定をできないようにしておく」という意思もありました。今後は皆様のご意見も伺いつつ、柔軟にアップデートしていきたいと考えています。

MZ:先ほど若菜さんから「配信面の指定ができない」という話もありましたが、その点はいかがでしょう。

黒岩:広告主さまからも代理店さまからも、多くのご要望をいただいています。検討はしているものの、配信のタイミングや配信面によってCPMの相場が変わってくる、他の面とのバランスが崩れるなどの理由から、配信面を選択できないようにしています。

 ただ、若菜さんのおっしゃるように、フォーマットによっては特定の配信面に出るものもあります。バーティカルサイズ以外でいうと、たとえばSmall Imageであれば、LINE NEWSとトークリストの小さな枠に配信が限定されるため、枠に合わせたクリエイティブを作成する事で効率改善が図れます。将来的には、配信面ごとに適切なフォーマットを自動で選定するなどの自動化も目指したいですね。

(写真左から)LINE広告の配信面の一部「トークリスト」「タイムライン」「LINE NEWS」
(写真左から)LINE広告の配信面の一部「トークリスト」「タイムライン」「LINE NEWS」

MZ:お話を伺っていると、LINE広告は短期間で大きくアップデートしてきた様子が見えてきますね。

野嶋:アップデートの過程でいうと、私はLINE広告の現在を「第三形態」と捉えています。

 第一形態は、2016年のリリースから2017年頃まで。広告の配信面がタイムラインだけだったのが、徐々にLINE NEWSなどに広がっていったフェーズです。

 第二形態は、2018年から2019年頃まで。LINEさんが独自に開発した新プラットフォームに移行しながら、機能を拡充してきた時期です。この頃から自動入札がかなり精緻になってきて、クリエイティブフォーマットも静止画のみから、動画やカルーセルなど多様化してきました。

 第三形態は2020年から現在。先ほど黒岩さんからご紹介のあった、クロスターゲティングによって、クリックやインプレッションなど、LINE公式アカウントの運用で得られたデータをLINE広告の配信に生かすなど、データ活用の幅が広がりました。

 アップデートの中でも特に印象的だったことは、トークリストに広告が配信できるようになったことですね。LINEの基本ともいえる面が開放されたことは大きな変化だったと思います。

自動最適化が進むいま、LINE広告の運用で代理店が担う役割とは

MZ:自動最適化配信機能によって手離れの良いプラットフォームになってきたとのことですが、LINE広告の運用で代理店の役割はどのように変化していますか?

野嶋:今までだと、時間をかけて数字を分析し、いかに手早く次のアクションを実行できるかがポイントでした。若菜さんが先ほどおっしゃっていた、代理店の腕の見せ所ですね(笑)。しかし、それをアルゴリズムが自動的に行うようになったいま、代理店がやるべきことは大きく二つあると思います。

 一つはクリエイティブの設計です。もう一つは、データ周りに関するノウハウの蓄積ですね。広告配信に利用するデータは、ユーザーから利用許諾を得ていることが前提となります。そのデータの中から、適切なボリュームとフォーマットのものを用意し、配信設定を行うことが求められます。広告主にいきなり「自動最適化配信機能をうまく活用しないといけない」と求めても、運用のハードルが高くなってしまいます。だからこそ、どのようなデータを準備すると効果を最大化できるか見極めることが、代理店の新たな腕の見せ所になります。

黒岩:初めてLINE広告を使われる方だと、確かにデータの扱いに苦戦するかもしれません。そこは管理画面上でTipsを紹介するなど、当社としてもお客様のサポートを充実していきたいですね。

MZ:クリエイティブの設計についてはいかがでしょうか?

若菜:フォーマットの多様化の話がありましたが、いろいろな配信面の広告枠に適用されるフォーマットもあれば、バーティカルサイズやSmall Imageのように、特定の配信面に限定しているフォーマットもあります。それぞれ配信先の広告在庫数にも差があるので、広告在庫に合わせた配信ターゲット選定も重要です。また広告枠によって、「どのような大きさで・どのような情報が表示されるか」も変わってきます。これらを踏まえて、制作するクリエイティブフォーマットの優先度をどう設定していくかがポイントになりますね。

野嶋:私はクリエイティブの戦略を二つのステップに分けて考えています。まずは若菜さんがおっしゃっていた「クリエイティブフォーマットと配信面の紐付きを正しく理解すること」が第一ステップ。そのうえで、「優先度を見極め、効率的に効果を検証していくこと」が第二ステップです。

 私がよくやるのは、最低二つの配信面でPDCAを回すことです。たとえば、タイムラインを狙って配信したいのであれば、大きくて視認性も高いバーティカル動画を配信して検証します。その一方で、他の面に掲載される広告を同時に配信し、効果の高いクリエイティブを見つけることが大切だと思います。

プロが衝撃を受けたアップデートと変化

MZ:ちなみに、お二人が最も衝撃を受けたアップデートは何でしょう?

若菜:自動入札の進化ですね。最初はそれこそ広告ごとに手動入札していく形から、一気にグループ単位で自動入札ができるようになり、CPCやCTRに最適化していたものが、コンバージョンやCPAへの最適化もかかるようになりました。その結果、配信を伸ばした案件が一気に増えた印象があります。

野嶋:私の場合は、2019年の6月頃に動画フォーマットのインプレッションのカウント数が変わったことです。それまでは、クリエイティブ領域が1ピクセルでも表示されたらインプレッションとしてカウントされたのですが、100%表示しか、インプレッションとしてカウントしない形式に変わったんです。CPAが突然下がりましたね……。結果、静止画中心から動画へと、トレンドが変わっていった印象です。

MZ:LINE広告の動画フォーマットについて、他のプラットフォームと比べてどのように評価していますか。

野嶋:LINE広告では動画のサムネイルの設定ができないので、動画の0秒地点をアイキャッチの高いデザインに設定するなど、工夫が必要です。その点は改善の余地があるかもしれません。

若菜:動画はほかのプラットフォームに比べてCTRにばらつきがある印象はあるものの、気軽に試せる良さを評価しています。たとえば、静止画で効果の高いものをベースに、ちょっとだけ動きを付けてみるだけでも、効果に差が出ます。なかなかクリエイティブの制作に工数や予算をかけられない場合でも、ライトな形での導入を勧めることができますね。

他の追随ではなく、“LINEらしさ”に期待

MZ:これからのLINE広告の進化に何を期待していますか?

野嶋:LINE広告は後発といっても、他のプラットフォームに追随する必要はないと思っています。LINEは月間利用者数8,800万人(2021年3月末時点)という圧倒的なユーザー数、コミュニケーションアプリとして人々の生活に広く浸透しているという強みがあります。他のプラットフォームにはない、コミュニケーションアプリの強みを生かした進化や新たな広告メニューが出ることを期待しています。

若菜:私は今後のデータ活用のさらなる進化に期待しています。特にターゲティングのデータ活用ですね。より使いやすく、わかりやすい機能の拡充を期待していますし、ロイヤルユーザーのデータだけでなく、デモグラ属性やサイコグラフィックデータなどいろんな種類のデータが活用できると、ターゲットの設定もより行いやすくなるのではないでしょうか。

 個人的な感覚では、LINE広告は広く新規ユーザーを獲得していく目的には相性がいい一方で、ターゲットがニッチな商材やBtoB向けのサービスに関しては、やや不得手なところがあると思っています。そこにいかに切り込んでいけるかは、まだ改善の余地があると思いますし、今後の展開に期待しています。

黒岩:ありがとうございます。お話を伺って、私たちのやりたいことと、期待されていることの間にそれほど乖離がないことがわかりました。企業やユーザーに対してよりLINEならではの価値を提供できるように、これからも進化し続けたいと思います。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/08/05 11:00 https://markezine.jp/article/detail/36467