「ずっと張り付いて運用する必要があった」――黎明期のLINE広告
MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは、みなさんがLINE広告とどのように関わってきたのかを教えてください。
野嶋:2015年に新卒でオプトに入社し、ソーシャルメディア広告を扱う部署に配属されました。2016年4月にLINE広告のベータ版がリリースされたタイミングで担当となり、それ以降ずっとLINE広告に携わっています。いわばLINE広告の進化と共に私も成長してきました。2021年5月からはLINEの法人向けサービスの認定講師「LINE Frontliner」にも就任しています。
若菜:私は2017年からLINE広告を運用するようになりました。LINE広告やLINE公式アカウントも含めた活用を行いつつ、野嶋さんと同じく2021年5月から「LINE Frontliner」に就任しました。
黒岩:私は2017年にLINEに中途入社し、LINE広告の営業をしてきました。2020年からは現在のチームに異動し、プロダクトの開発チームと連携して新機能の導入や改善を行なっています。
MZ:早速本題に入ります。LINE広告の黎明期から携わってきた野嶋さんと若菜さんは、当時と現在を比べて運用のしやすさや機能の変化、運用で得られる効果についてどのように評価していますか?
野嶋:全体として見ると、運用の手離れが良くなってきた感覚があります。当初はそれこそ、ずっと張り付いていないとなかなか運用効果を出せなかったイメージがありますが、いまは自動最適化配信機能もあり、運用担当者にとって運用しやすくなってきたと思います。
若菜:そうですね。当時は一つひとつの広告ごとに入札をかけてCPCを調整していました。工数が多い反面、適切に調整すれば一気に成果を最大化できる良さがありましたね。
時間をかけた分だけしっかり効果が出るので、代理店としては腕の見せ所だったのですが、各プラットフォームの自動化の波にLINE広告も追いつき、現在は運用負荷が格段に軽減されました。ただ、ちょっとした寂しさもありますね(笑)。
野嶋:もう一つ、広告を配信するターゲットの設定の精度が上がり、的確なユーザーに情報を届けることができるようになりました。
初期のころは、たとえば年代別でターゲティングするのなら、いっそターゲットを絞らずに広く配信したほうが、CPCが安くなる時代もありました。しかし、広告主からすると「誰にでも配信すればいいものではないだろう」というのが本音。このギャップを埋めることが難しかったのです。
若菜:そうですね。とはいえ、CPCの安さに加えて、ターゲティングしない割にレスポンスが安定して配信されていた感覚もあったので、「裏側で何か見えざる力が働いている……?」と疑っていました(笑)。
また、配信ユーザーの年齢を細かく設定できなかった点にも不満がありました。健康食品を例に挙げると、60代以上の方を対象にした商品もあるのですが、長らく年齢で設定できる上限は50歳まで。最近は65歳まで、5歳刻みで設定できるようになりましたよね。
あともう一つ挙げるとすれば、広告配信面の指定ができないところですね。「バーティカルサイズ(9:16縦型)の動画は、タイムラインにのみ配信される」など、クリエイティブのフォーマットで想定できる面は一部あるものの、他のプラットフォームと比べると直接的な設定がしづらいので、使い勝手の面では改良の余地があると思います。