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販促との相性抜群の動画を活用できないのはなぜ? プロジェクトが失敗する3つの理由

 動画全盛期と言っても過言ではない現在、それでも活用できている企業とそうでない企業では雲泥の差が。動画は販促との相性が抜群とはいえ、プロジェクトが失敗しがちな手法でもあります。大切なことは制作(つくる)、配信(とどける)、運用(まわす)を実行する体制を構築すること、と指摘するのが『動画で「売れる仕組み」をつくる』(翔泳社)の著者、前田考歩さん。今回は本書から、動画活用がうまくいかない理由を分析したパートを抜粋して紹介します。

本記事は『動画で「売れる仕組み」をつくる 認知・集客・見込客育成・販売・サポートがまるごとできるマーケティング戦略』の「Introduction なぜ動画活用はうまくいかないのか?」を抜粋したものです。掲載にあたり一部を編集しています。

01 動画は販促と相性抜群

動画が及ぼす素晴らしい効果

 本書を手にとってくださったみなさんは、「今後はわが社も動画活用に力を入れよう」「マーケティングに動画を活用しよう」「営業効率化のために動画を使おう」といった気持ちで、動画についての調査を行ったり、動画制作をメンバーに命じたり、あるいは自分が起案して社内提案したり、クライアントから相談されたりしているのではないでしょうか。

 BtoB、BtoCを問わず、マーケティングやセールスに動画を活用すると、次のような素晴らしい効果が得られます

  • 検索結果からのオーガニックトラフィックを157%増加させる(※1
  • 動画広告は静止画に比べてコンバージョン率が20~30%、クリック率が2~3倍増加する(※2
  • 10人のうち8 人が製品やサービスを買うきっかけにつながっている(※3
  • 81%がブランドの動画を見て商品やサービスを購入している(※3
  • メールの件名に「動画」という単語を記載するだけで、クリック率が13%向上する(※4
  • ランディングページに製品動画を載せると、コンバージョンが80%増加する可能性がある(※5

 動画を活用するとWebサイトへの自然流入、集客、メール開封率、コンバージョンが増加し、営業販売を促進します。「動画 マーケティング」「動画 営業」などのキーワードで検索すると、このようなバラ色の成果がヒットします。ビジネスメディアや動画活用に関するソリューションを提供する企業のオウンドメディアを見れば、いろいろな企業の成功事例が出てきます。

ほとんどの動画活用プロジェクトは失敗する

 しかし残念ながら、成功を手にする企業はごくわずか。たいていの動画活用プロジェクトは失敗に終わります。「動画制作のための面倒な作業、それに要する関係者との調整などにかけた時間とお金のわりに、得られた効果が小さかった」ということがほとんどです。「期待したほど動画が再生されなかった」「商品購入に結びつかなかった」「資料請求や問合せが増えなかった」「動画制作ツールや編集ソフト、カメラなどを購入したけれど、数本制作しただけで使われなくなった」。そうして制作された数々の動画はYouTubeチャンネルに林立する墓標のようです。

 でもちょっと待ってください。ダメだったと判断する前に、次の問いをふりかえってみてはいかがでしょうか。

  • 目的に対して時間やお金をかけすぎていなかったか?
  • 視聴者に促したい変化に対して、適切な内容だったか?
  • 視聴者の知りたいことや解決したいことを伝える構成になっていたか?
  • 視聴者に動画を届けるタイミングやシチュエーション、文脈は適切だったか?
  • 指標とすべきデータを選び間違え、効果がないと判断していないか?
  • 制作、配信、ツール導入、動画活用の各部署間の連携や意思疎通はできていたか?

 思い当たることがあるのではないでしょうか。ではなぜそれができずに失敗してしまったのでしょうか。次節で詳しく見ていきましょう。

02 動画活用プロジェクトが失敗する理由

制作・配信・運用手段の全体像を描いていない

 動画活用プロジェクトの多くが失敗に終わる要因は次の3つです。

  1. 自社の状況に適した最適な制作・配信・運用手段の全体像を描いていない
  2. 動画は制作しづらい
  3. 動画に対する固定観念、思い込みがある

 1つ目の「自社の状況に適した最適な制作・配信・運用手段の全体像」とは、動画活用プロジェクトの戦略と捉えられます。戦略とは目的を実現するための大きな枠組み・方向性のことです。動画活用プロジェクトは、ただ動画を制作するだけではなく、配信や運用にも目を配らなければなりませんが、多くのリソースと意識が制作に向きがちです。すると、動画という手段が容易に目的化してしまい、戦略が疎かになってしまいます。その結果、せっかく制作した動画を最適な時期に配信できなかったり、動画配信後のフォローが不十分で、動画を有効に活用しきれなかったりする問題も起こります。

 「ECサイトの購入率アップに動画を使いたい」「見込客育成に動画を使いたい」という目的だけでは戦略を描くことができません。その目的が「どうなっていたら成功といえるか?」という成功の定義が必要です。なぜなら、動画活用プロジェクトには数多くの要素があるので、その要素を自社の状況に適合するかたちで取捨選択するための方向性を決めなければならないからです。

 要素には動画そのものだけでなく、動画化したい対象、動画を視聴してもらいたい視聴者、視聴者に動画を届けるための媒体、与えられた予算や時間、プロジェクトメンバーの稼働可能な工数、メンバーのスキルやリテラシー、使用できるツールなど多岐にわたります。配信後の営業現場・売場などで動画を活用しやすくするための運用、連携する必要のある部署なども要素になります。企業によっては動画制作および動画制作ツールの導入決定部署と、動画制作部署と、動画活用部署が異なることもあります。自社でまかなえなければ、ベンダー各社の知識や技術を買う必要もあります。

 こうした要素間の関係を目的の実現のために整理し、方向づけるための方針として、成功の定義が必要になります。しかし、ほとんどの動画活用プロジェクトは、目的があっても成功の定義がない、もしくはあいまいです。

 みなさんが動画活用プロジェクトを担うことになった際に最初にとりかかることは「動画をどうつくるか?」ではなく、自社の状況に適した制作・配信・運用の全体像を考え、戦略を描くことなのです。

動画が制作しづらい理由

 動画活用プロジェクトが失敗に終わる2つ目の要因、「動画は制作しづらい」は、動画制作を担当する方が直面する問題です。動画は目的を実現するための手段ですが、動画を制作するための手段もまた数多く存在します。動画の企画・構成には「インタビュー」「ランキング」「誇張」「擬人化」といったさまざまなメソッドがあります。カット数や秒数はどうするか? 実写かアニメーションか? 全編動画か静止画を組み合わせるか? といったことも動画を企画するための手段です。音楽や効果音、テロップやセリフも手段ですが、これらのバランスについても考えなければなりません。要素の組み合わせ次第で、完成する動画の姿がガラリと変わり、効果にも影響を及ぼします。

 また、これまでの動画制作は専門的な知識やスキルを要するために外注一択でしたが、ソフトウェアやツールの進化によりスキルや経験のない人でも制作できるようになりました。内製か外注かの選択も手段の一つです。

 配信の手段も自社のホームページ、SNS、メールマガジン、各種広告、デジタルサイネージ、営業社員がもち歩くタブレットなど、オンライン・オフラインを問わず、さまざまなメディアが存在します。みなさんが企画・制作する動画は、いずれのメディアを通じて、どのようなシチュエーションで、いつ、見てもらえば目的を実現できそうでしょうか? このように、動画を活用するには数多くの手段が存在するため、考えなければならないことも多くなります。動画はそもそも非常に扱いづらいのです。

 手段とは選択肢です。手段の広がりは一見よいことのように思えますが、それだけ選択を誤るリスクが増えることも意味します。どの手段を選択するかは目的や課題によって異なるのはもちろん、その手段を採用する企業のリソースや置かれている環境、動画を視聴してもらいたい視聴者との関係性によっても異なってきます。

動画への思い込みが失敗を招く

 動画活用プロジェクトが失敗に終わる3つ目の要因は「動画に対する固定観念、思い込みがある」ことです。「注目してもらうためにクオリティを高くしないといけない」「尺が長いと飽きられるから短くしなければならない」「動画は文字や画像より多くの情報を伝えられる」といったものがあります。これらはある一面では正しいですが、絶対的に正しいものはありません。尺の長さ、クオリティの高さがどうあるべきかは、動画を使用する目的、視聴者との関係性、その動画を配信するメディア、動画化する対象によって変わってきます

3つの失敗要因を俯瞰する

 ここまで述べた3つの要因は、入れ子構造になって問題をさらに複雑にしています。動画制作は目的実現のための手段に過ぎないのに、分業や専門化が進み、検討・調整作業が多いことによって、容易に手段が目的化してしまいます。全体像がないと、その動画が真に実現したい目的を見失い、成果につながらない動画ができあがってしまいます。

 制作することだけに目がいってしまった結果、動画の中でいってはいけないことを発言してしまい、撮り直しになってさらにコストがかかったり、配信したい期間が短くなったりしてしまいます。このような全体像の欠如による失敗は枚挙にいとまがありません。個々の要素だけでも多くの手段があり、それらを目的化させず、自社の状況に適した全体像を把握し、辻褄が合うように諸要素を構成することは簡単ではありません。動画を制作した経験のない方であれば、なおさら難しく感じてしまうと思います。

 でも安心してください。「はじめに」でふれたように、筆者も動画制作がまったくできないからこそ動画の特徴を理解し、自社の状況や制約を正しく認識し、動画活用に必要な制作・配信・運用の諸要素の辻褄を合わせ、全体像を描くための方法を編み出しました。

 全体像を描けるようになるために、ここまで述べてきた動画活用が失敗してしまう要素と構造を1枚の図(図A)に表します。

図A 動画活用が失敗する構造
図A 動画活用が失敗する構造

 「自社の状況に適した最適な制作・配信・運用手段の全体像の欠如」が動画活用の失敗の要因です。動画が非常に制作しづらく、容易に手段が目的化してしまい、制作することだけに注力してしまいがちになることが、全体像が欠如してしまう主な要因です。実際には制作以外に検討・調整すべきことが多く、企業規模が大きくなると関連する部署が多くなることで調整業務が増え、意思疎通が困難になる問題が生じます。

 動画の制作のしづらさもまた、制作の手段や制約が多すぎることと、動画についての固定観念といった要素からなります。多すぎる手段や制約に適切に対処するためにはそれを判断する考え方や基準が必要ですが、そもそもこれが備わっていないという問題があります。さらに、動画への固定観念もいくつかの思い込みでできあがっています。

 こうした要素群が入れ子になって複雑に絡み合い、動画制作に要する時間や金銭的コストが高くなり、視聴者に影響を与える動画を制作できず、最適なタイミング、シチュエーションで動画を配信・活用できないといった問題となって現れます。これらの問題が、「かけたコストのわりに効果が出なかった」「問い合わせや資料請求が増えなかった」という結果を生んでいます。

 構造がわかれば問題は解決できます。以降の章では、動画への固定観念を取り払い、多すぎる制作の手段やトレードオフを判断するための考え方をお伝えします。そして、増える業務や関係者の意思疎通を促し、一人ひとりの力が目的に向かって結集できるようにするための全体像を表現するフレームワークを提示します。実際に読者のみなさんが動画活用の目的が実現できるよう、フレームワークの使い方やケーススタディも解説していきます。

動画で「売れる仕組み」をつくる

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動画で「売れる仕組み」をつくる
認知・集客・見込客育成・販売・サポートがまるごとできるマーケティング戦略

著者:前田考歩
発売日:2021年7月5日(月)
定価:1,980円(本体1,800円+税10%)

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MarkeZine(マーケジン)
2021/07/12 07:00 https://markezine.jp/article/detail/36646

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