価値ある情報へ“編集する”力が求められるように
――「Revue」のように、TwitterなどのSNSを介して発信するのがスタンダードになるのでしょうか?
藤田:ユーザーが普段から使っている媒体を使って発信することは、非常に重要なポイントですね。海外ではメールやTwitterを介して購読するスタイルが先行していますが、日本で展開する際は、たとえば日本人の70%以上が利用しているLINEに連携させるのも、ユーザビリティの高いサービス設計になると思います。

――ではコンテンツの中身、クリエイターや発信者同士の関わり方という面では、どういったことが肝になりますか?
藤田:「パブリッシャー」という役割が必要になってくると思います。
価値あるコンテンツの芽を見つけ、情報価値のあるものに“編集”し、個人の持つクリエイティビティを潜在ユーザーから発見されやすく、購入されやすいように整える。また、クリエイターとコンテンツを荒らしや炎上のリスクから守り、安心してユーザーの手元に届ける役割です。
SNSやYouTubeなどでの個人による情報発信は、今後も量・質ともに増えていくことが想定されます。YouTuberという言葉が市民権を得たようなことが、テキストコンテンツの領域でも起こるかもしれません。しかし、発信者がコンテンツを届ける上で、エージェンシーに所属することで情報流通経路を確保したり、著名な雑誌や新聞上で露出面を確保したりする必要性はどんどん薄れていくと予想しています。
受け手にコンテンツをダイレクトに届けられるようになるにつれて、いわゆるエージェント機能の存在感はなくなってくるでしょう。
対し、エディターという役割の必要性はますます高まるのではないでしょうか。クリエイターが、正当に自分のクリエイティビティやナレッジをマネタイズできる「クリエイターエコノミー」の創出を意識した仕掛けを作る事業者が、今後ますます求められると思います。
――コンテンツジャンルに関しては、どんな領域が拡大しそうでしょうか?
藤田:様々なジャンルが拡がりをみせていく可能性があると思います。基本的には「お金を払ってでも読みたい」と思わせるコンテンツであるべきですが、どんなコンテンツジャンルでもニュースレター事業がマッチする展開の仕方はあると思います。
――となると、従来は別の形態でコンテンツの配信を行っていたコンテンツ事業者が、ニュースレターに進出するという流れが生まれそうですね。
藤田:そう思います。15年来デジタルメディア事業を行ってきた私どもの会社でも、これまで蓄積してきたDXノウハウとのシナジーが期待できると考え、7月から「WISS(ウィズ)」というニュースレターサービスをローンチします。
