フレームワーク「パーパスドリブン・コンパス」
今回の本編では、パーパスドリブンなマーケティングを考える際のフレームワークとして開発した「パーパスドリブン・コンパス」というものをご紹介させていただきました。

これは、ブランドパーパスの策定までは問題なく進んだのだが次に何をしていいかわからない、という声や、いいパーパスができたのに肝心のマーケティング施策があまり変わらない、というような悩みを耳にすることがあり、少しでもその対応策になれば、と考えたものです。
パーパスドリブン・マーケティングの定義として、そのブランドや製品が関わるすべての活動が、パーパスのために奉仕していることとします。
「みらいのごはん」のブランドパーパスは「子どもたちのみらいを守り続ける」こと。この目的を達成するためには、食品としてのおいしさや栄養があればよいという訳ではなく、未来を守るためのアクションが求められます。
今回、新規事業開発チームメンバーは、他の社員や学生、NPOの方々と協力して、ブランドパーパスを支える要素を考えました。
未来を生きる子供たちのために、これ以上環境を汚さないことや、限られた資源を大事にすること、生産地を守るために正当な価格で取り引きを行うこと、同じ志を持つ仲間を集め、場を作ること、などを次々と決めていきましたが、これらはすべてパーパスから派生し、パーパスを補強するように考えられています。
大まかな考え方は以下の2つです。
1、隣り合う要素の掛け合わせで考える

たとえば「ブランドのルーツ」と「パーパス」の掛け合わせで行動指針である「クレド」を規定し、「パーパス」と「クレド」を掛け合わせることで、そのブランドが成し遂げたい未来である「ビジョン」を規定するというように、隣接する要素を掛け合わせることで考えやすくしています。
2、対角線にある要素を両立させるように考える

本編の中では「機能価値」と「社会価値」、「情緒価値」と「モノへの責任」を両立させる例が出てきていますが、そのほかにも対角線にある要素は基本両立させるよう考えると、ブランドの価値を向上させる、もしくはブランド価値の棄損を防ぐことができるようになっています。
特に製品の場合は見た目の高級感を求めるあまり豪華なパッケージを作ってしまったりすれば、結果的にごみを増やすことになりますし、(できるだけ価格を抑えながら)機能価値を高めようとするあまり、無理な仕入れをしてサプライチェーンに負担をかけるようなことになってしまうと、サステナブルなブランドにはなりません。
ブランドの活動が環境や社会とのバランスを欠いてしまうと、パーパスに反することになりますし、最終的には悪評が広まりブランド棄損につながります。
今回ご紹介したフレームワークでは、要素と要素を掛け合わせて考えることで自然に統合的な文脈を作ることができ、さらに相反しやすい要素を対極に置くことでブランド活動の隅々まで気を配ることができるようにしているつもりです。
パーパスに基づいた統合的な文脈ができれば、ブランドが関わるすべての活動が無理なく、長期視点でパーパスの達成に貢献していること、結果的にすべての活動にガバナンスを効かせられること、そしてすべての要素がパーパスに関わり、奉仕するように組み上げ、活動していくことなどが期待できると思います。
ぜひ、今回ご紹介したフレームワークをみなさんの業務にお役立ていただけましたら幸いです。
