コロナ禍で求められる、来場者の変化への対応
――コロナ前に比べて、来場者の属性などに変化はありましたか。
観客動員数がコロナ前に比べて2割まで減少しているので、純粋な比較はできません。ただ、元々来場回数の多いお客様が来場者の大半を占めているのが現状です。
――2018年、木村さんにインタビューした際はアクティブサラリーマンと呼ばれる20代後半から30代後半の男性がメインターゲットだとお話がありましたが、そこも大きく変化しましたか。
その層への対応はとても気にしています。アクティブサラリーマンの方々が仕事後に来場いただくことを視野に入れた施策をこれまで取り組んできましたが、コロナ禍になりリモートワークなど新しい働き方が定常化し始めています。
もし新型コロナウイルスが収束し、より多くの方を動員できる状況になったとしても、過去に来場いただいていたアクティブサラリーマンの方たちが横浜近辺に出勤するのだろうかという課題感があります。そのため、様々な仮説を立てながら、調査も行いつつ新たなアプローチ方法を検討したいと考えています。
――新型コロナウイルスが収束しても、元に戻るとは限らないことを念頭において常に取り組みを検討しているのですね。
間違いなくこれまでと来場いただけるお客様は変わると思っています。コロナ禍でおうち時間が増えたことで野球に触れる機会が増加し、「今度球場に行ってみたい」と思う方が現れているかもしれません。その他にも、横浜市在住だがこれまでは都心に通勤していて平日は見に行けなかった方が、リモートワークによって来場いただけるようになったというケースも考えられます。
そういったポジティブな面もあると思うので、曜日ごとに客層は大きく変わるはずです。我々は起こり得そうないくつかの変化をきちんとピックアップして、それに対する対応を考えていきます。
デジタルネイティブ世代をショート動画で惹きつける
――横浜DeNAベイスターズでは、バーチャルハマスタやオンラインハマスタなど、オンライン上の観戦体験に関する取り組みを行っていますが、今後オンラインとリアルで観戦体験はどのように変化すると思いますか。

デジタル上での観戦体験は、テレビ観戦に近いフォーマットで今後残っていくと思っています。ただ、デジタル上で様々な観戦体験を提供してみて感じたのは、3時間近く行われることもある野球の試合を、オンライン上で観戦してもらうのは相当ハードルが高いということです。
特にデジタルネイティブ世代と呼ばれるような若年層の方は、長尺コンテンツをそのまま視聴することはそこまでないと考えています。1.5倍速再生やタイムシフト(録画)、ザッピングなど様々な視聴方法を駆使するでしょうし、各種プラットフォームでも短尺動画が人気です。
そのような方々にアプローチするためには、編集を入れた短尺動画をうまく提供していく方法を考える必要があります。そういった短尺動画をきっかけに野球の魅力を伝えていき、最終的に試合を見たいと思ってもらう。そういったコンテンツの制作を検討しています。