SNSで起きている変化
2020年~2021年は新型コロナウイルスの流行により多くの変化がありました。人々の行動が変わったことで、多くの企業がマーケティングの見直しを迫られたかと思います。改めて企業の情報発信が重視され、SNSをより使用するケースが増えたのではないでしょうか。
そんな中、消費者行動を分析している私たち調査会社では「今後、どのように消費者とコミュニケーションをとっていくべきか、考え直すための調査をしたい」というご依頼を数多く頂きました。
特にSNS関連の調査が多く、SNSを含めた各種媒体における情報収集について、若年層を中心に100名以上にインタビューを行いました。その行動と心理を分析していくうちに、コロナ以前と比べて、SNSの利用実態に変化が起きていることに気付きました。
そこで本稿では、特に私が驚いた変化について、データで検証をしながら今後のコミュニケーションのあり方について考えていきたいと思います。
SNS広告の位置づけの変化
まず大きく驚いたのは「SNSにおける広告の位置づけ」の変化です。
消費者にとってWEB上にある広告とは、できればなくしてほしい存在です。なぜなら本来見たいのは、そこに書かれている文章やコンテンツで、決して広告を見るためにその場所を訪れているわけではないからです。
読み飛ばしたり、無視したり、たまに興味をそそられて覗いてみても、思ったものと違っていたりしてすぐに閉じてしまいがちなのではないかと思います。しかし、SNSの広告は少し違っているようです。調査の中でこんな声を多く聞きました。
「自分が興味関心のあるジャンルの広告が出てくるから、つい気になって買ってしまうことがある」
「Instagramのストーリーズに出てくる広告はつい見てしまう」
「友達の中で話題になっている広告があって、話を聞くと意外とみんな買っている」
SNSの広告は若年層にとって、情報源の一種だということが分かります。この傾向はここ最近の変化ではないかと感じます。
そこで、ここからはSNS広告による影響や、広告と親和性の高いジャンルについて、順を追ってデータと共に見ていきたいと思います。
今回は本稿を執筆するにあたり、全国838名を対象に「SNSの利用実態」に関する調査を行いました。概要は以下の通りです。
【SNSの利用に関する実態把握調査】
調査方法:WEBアンケート調査
調査期間:2021年7月14日~26日
対象者条件:全国15‐39歳の男女、SNSを週に1回以上利用する人
有効回答数:838サンプル
調査主体:株式会社イー・クオーレ
SNS広告を見て行動する消費者は7割、Z世代女性の半数が購入サイトへ
消費者調査を行う中で、購入したものをどこで知ったのかきっかけを聞くと、「SNS内の広告」と答える人が増えてきていると感じます。そこで、実際にSNSが人々の消費行動にどのような影響を与えているのか調べてみました。
以下はSNSの広告を見て、どんな行動をとったかについての回答を性世代別に表したものになります。
※ジェネレーションZ:1997~2012年生まれ(15‐24歳)、ジェネレーションY:1981~1996年生まれ(25‐40歳)
実に約7割の人々がSNS上に出ている広告を見て行動をとっていることが分かります。また、約2割もの人々は実際に商品の購入まで至っています。世代別で見ると、Z世代の女性は約半数が商品サイトまで見に行っていました。