CTVを中心にプログラマティック広告を活用したアメリカの事例
CTVやOTTは日本でも普及しつつあり注目度も上がっていますが、TVerやABEMAなどのユーザー数の伸びに対して、広告主がかけている予算を見ると、まだまだ過小評価されている部分もあるように思います。本格的に市場が拡大するのはこれからでしょうから、マーケターとしては市場が大きくなる前から目を向けておく必要があります。
というのも、CTVやOTTやブランドリフトにおける大きなゲームチェンジャーとなりうるからです。
現状、一般的なブランドリフト調査の場合、広告接触した人と接触していない人を対象に、ブランドや商品の認知度、ブランド評価、購入意向がどれくらい上昇したかを調査した結果をまとめていると思います。この計測方法もひとつですが、これではブランドリフトがいつビジネスに結びつくのかはわかりません。通販業界だとブランドリフトとビジネスが結びつきやすいのでわかりやすいですが、現状オフラインで販売しているブランドや商品では、売り上げへの貢献度がなかなか見えづらいのです。
そこに光を当てることができるのが、CTVやOTTで展開できるプログラマティック広告です。まず、フリークエンシーをコントロールしながら認知が向上した層とそうではない層に対して、アッパーファネルのCTVで訴求力抜群の動画広告を流します。次に、ミドルファネルでどういう動画広告やバナー広告を見せたら、最終的な購買につながるのかを計測します。ここまで可能であることがプログラマティック広告の良さです。
これからのマーケターには従来とは違うスキルが求められる
今後、フルファネルにおけるブランドリフトをリアルタイムで計測できるようになる時代が来るでしょう。いろいろなチャネルの広告が混ざっていくと、新たなマーケットが動きます。だからこそ、デジタルメディアプランニングの視野を広げて、CTVやOTTも含めた複数の視点でプランニングすることが重要になるのです。
また、CTVやOTTの分野が伸びていくと、CPCやCPMといった従来のKPIは見直される可能性もあります。現代のマーケターには、新しいものを試してトライ&エラーを繰り返しながら、どういう指標をKPIにしていくのかまで考える力が求められるのではないでしょうか。
加えて、プログラマティック広告を活用すれば、今までのテレビキャンペーンとはまったく違う計測が可能になります。
たとえば、とある外食産業の企業がインターネットで予約して店頭で商品をピックアップできるキャンペーンを展開するとしましょう。この時プログラマティック広告を活用すれば、どのアプリやウェブサイトが効果的だったかといったCVデータが取れるのはもちろんですが、地理情報データをもとに大きい駅の周辺にいた人のCV率が高かったなど、どういったプロファイルの人が購買と関連性が高かったかまでわかります。
こういったデータを取得できると、広告会社の営業やメディアプランナー、メディアバイヤー、クリエイティブチームなどクロスファンクションチームで動く際の重要なインサイトになります。たとえば、大きい駅の周辺にいる人のCV率が高いとすれば、その一歩先をいって、乗車中の人たちに向けて電車の中でオーダーして商品をピックアップすることを促すキャンペーンを企画することができるのです。

自分とは違うファンクションの人もインスパイアされるようなデータを取得し、そのデータをどう解釈するか。これもマーケターに今後求められる能力になってくるでしょう。
これからのマーケティングでは、従来とは違った視点や能力が求められます。少し先を行くアメリカの事例を知ることで、そういった視点が身に付き、これからの自分たちのマーケティングにも活かされるかもしれません。
