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【ウテナ中島恵司氏×辻愛沙子氏対談】コロナ禍の事業成長に必要な企業コミュニケーションの形

 本記事では、ウテナのまとめ髪スタイリングブランド「マトメージュ」のマーケティング責任者の中島恵司氏とarcaのCEO兼クリエイティブディレクターの辻愛沙子氏が対談。両氏が先頭に立って進めてきた、マトメージュのブランドコミュニケーションをもとに、これからの企業コミュニケーションに求められることは何か、ヒントを探った。

コロナ禍でも最高の売上を記録するマトメージュ

辻:中島さんとはマトメージュやヘアケアブランドの「ゆず油」に関する取り組みでご一緒させていただいていますが、そもそも私たちをなぜパートナーに選んでいただいたのでしょうか。

株式会社arca CEO/Creative Director  辻愛沙子氏
株式会社arca CEO/Creative Director  辻 愛沙子氏

中島:2020年は全国でイベントを開催するなど、体験を軸にした施策を行う予定でしたが、新型コロナウイルスが猛威を振るうに連れ、イベントの中止や予算の縮小などの影響を受けました。新たな施策が求められる中、過去に別ブランドで一緒に仕事をし、ターゲットのインサイトを突く印象的なクリエイティブを制作いただいた辻さん・DE牧野さんのことを思い出しました。

 生活者のマインドや行動が大きく変化する中、その変化を捉えた新しい価値創造をお二人とならともにできるのではないかと思い、お声がけしました。

 2020年4月から取り組みを始め、2020年3月~5月までの売上は苦しい状況でしたが、取り組み始めて以降少しずつ盛り返し、2021年の3月以降マトメージュの過去最高売上を更新し続けています。

株式会社ウテナ マーケティング部 マーケティング2課 課長 中島 恵司氏
株式会社ウテナ マーケティング部 マーケティング2課 課長 中島 恵司氏

エンパワーメントにつながるプロモーションを

辻:2020年の3月から5月までは緊急事態宣言で売り場が減ってしまった影響が大きかったですよね。

中島:臨時閉店する店舗が多かったのはもちろん、外出自粛によりヘアスタイリングをする機会も急激に減ってしまいました。しかし、9月ごろから辻さんたちと「マスク盛れ」のキャンペーンを仕掛け、少しずつ人々が外出できるようになってきたことも重なり爆発的に売上が伸びました。

 マスク姿でもおしゃれをあきらめず、マスクだからこそもっと大胆におしゃれしよう、というメッセージをプロモーションで伝えていったんです。

辻:最初の緊急事態宣言が発出されたころ、商品を買う・買わない以前のレベルで私たちの日常が脅かされていました。そのため、髪の毛のスタイリングをどうするか、という以前に日々の暮らしをどうするか、という途方もない不安や混乱が広がっていたタイミングだったように思います。

 そんな状況下で「マトメージュどうですか?」「まとめ髪をしませんか?」と商品訴求を一方的に生活者に提案しても響かない。ブランドとしても売り場自体に人が足を運ばなくなり苦しい状況に立たされていたときだと思います。だからこそ余計に直接的な販促的コミュニケーションをしたくなってしまう。しかしこんな状況だからこそ、直接的な販促から入らずに、今一度ブランドとして生活者の方々に何ができるのか、どうしたらエンパワーメントできるのかを考えていくべきだと思ったんです。

 その考えから始めたのが、マトメージュメーカー(現在は終了)です。特設サイト上でヘアスタイリングや顔のパーツ、マスク、服装などのイラストを組み合わせて、自分だけのアバターを作ることができるものになります。

 生活者にとっては、おしゃれやヘアスタイリングをする機会が減っていることそのものより、それによって自分をアゲたり自信を持ったりする機会が減っていることにしんどさを感じているのではないかと考えました。だからこそ、そういった楽しみを家でも感じて貰えるコンテンツを作りたいと企画したんです。

 実際に多くの方々が楽しんでくださり、完成したイラストを今でもSNSのアイコンにしてくださる方を見かけるので、ブランドにとってこんなに嬉しいことはないなと。

中島:マトメージュメーカーは社内のメンバーからも好評で、メールのアイコンにしている人も多数いました。社内のメンバーも思わず参加したくなるものってこれまでなかったので、社内外に明らかな影響がありました。また、2020年2月に開催したイベントに比べ予算を抑えながらより広いリーチを獲得できたので、とても良いキャンペーンだったと捉えています。

辻:私たちはお客様と社会を主語にして、その2つとブランドの接着地点をどう作るかに力を入れています。ただ、それが商品の売上にどこまで貢献できるかという不安もありました。しかし今回マトメージュメーカーで作ったイラストをSNSやメールのアイコンにしてくれる人がいて、ブランドの売上にも貢献することができました。

 お客さんが主体となって盛り上がってもらえるようなコンテンツが理想的なブランドコミュニケーションだと思っていますが、今回はそういった事例の一つになったと感じています。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/09/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/37068

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