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【ウテナ中島恵司氏×辻愛沙子氏対談】コロナ禍の事業成長に必要な企業コミュニケーションの形

今必要なのは「これ私の話じゃん」という共感

辻:今回のキャンペーンでは、機能的価値と情緒的価値が伝えられたと思いますか。

中島:従来に比べると情緒的価値の部分がより伝えられましたね。これまでは、スポーツやハロウィン、お祭りなどのシーンに合わせたヘアアレンジ提案をしたり、アホ毛を直せるといった機能性を中心に発信したりしてきました。

 ただ機能的アプローチだけなら他社でもできますし、昨今、機能による差別化はますます難しくなってきています。そこだけで戦っていると、似たような商品がテレビCMを流したり、インフルエンサーを活用した発信を行ったり、ちょっとしたきっかけでスイッチが起こります。

 だからこそ、改めてターゲット視点に立ち、ヘアアレンジをする目的は何か、ヘアアレンジをするとどんな気持ちになるのか(なりたいのか)といったマインドをとらえ、その気持ちに寄り添ったコミュニケーションを行うことが重要です。スポーツシーンでいえば、ウェアにこだわる方が多いように、「スポーツ中だっておしゃれには手を抜かない、気分を上げたい」といったようなことですね。

 このマインドを捉えたコミュニケーションの蓄積が、ブランドのロイヤリティ・好意度を高めることにつながると考えています。

辻:マス的なプロモーションは有効な手法の一つだと思いますし、予算的にできるなら取り組んでもいいと思います。でも、広告コミュニケーションで大事なのは「これ私の話じゃん」と共感してもらえるかどうかだと思っています。

 恋愛に例えるなら、「タワーマンションの高層階に住んでいて、年収いくらでこんなスペックを持っています」と言われて惹かれる人ももちろんいるかもしれませんが、それよりも自分が大事にしている価値観をわかってくれたり、傷ついていたときに一緒に悲しんでくれたりと、寄り添い励ましてくれる人に惹かれると思うんですよね。

 お客様との距離が近いブランドであればあるほど、共感を生むコミュニケーションは求められていると思います。

楽しみたい気持ちを邪魔させない

辻:最後に、マトメージュを今後どのようなブランドにしていきたいか、展望を教えてください。

中島:マトメージュが今後も長く支持され続けるブランドであるために、1人でも多くの女性が世の中の偏見や抑圧、様々な制限から解放され、自由にヘアスタイリングなどの自己表現を楽しめる環境作りを後押ししていきたいです。

 そういった取り組みを進める代表的なブランドになることができれば、中長期的な成果も大きく変わってくると思っています。

辻:ありがとうございます。中島さんがこの状況下で今回のコミュニケーションを行うと決めてくださったことが、本当にすごいことだとイチクリエイターとして感じています。そして今回は生活者自身のエンパワーメントを軸に据えたコミュニケーションを展開しましたが、今後はその周りにある心なき声や生きづらさの原因になる障壁にも向き合い、より多角的にマトメージュのユーザーさんをサポートする企画を届けていきたいと思っています。

 エンパワーメントには、個々の小さな声を代弁したり背中を押したりするだけではなくて、「本当はこうありたい」と思ったときに、それを妨げてしまうような周囲の声や環境があることに目を向けて、その障壁を取り除けるようなコミュニケーションをしていくことも重要です。

 特にマトメージュのような商材の場合、企業から「こうしましょう」と一方的に押し付けなくともお客様が自分たちの手で楽しむものなので、その人たちの楽しみたいという気持ちを邪魔する様々なしがらみを、少しでもブランドのコミュニケーションを通じて取り除いていけたらと思います。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/09/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/37068

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