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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

マーケティング用語再定義

ムーブメント化している今、改めて考える。パーパス・ブランディングとは何なのか?

取り組みを始める時のポイント2つ

MZ:企業がパーパス・ブランディングに取り組もうとする時、念頭に置いておくべきことはありますか?

齊藤:大きく2つあります。1つは、リーダーである経営者の意思と覚悟が最重要であるということです。パーパスを起点に経営活動をしていこうと動き始める時、やはり大きな組織であればあるほど、その取り組みに対して疑念を抱く人が出てきます。そういう方々も巻き込んでいくために、私たちは「理解と信頼」の浸透活動が必要であると言っています。

 まずは、パーパスへの理解からです。うちの会社ではこういうパーパスを掲げているんだ、このパーパスはこういうことを意味しているんだな、と社員全員が理解している状態を目指します。次に、そのパーパスに対する信頼を醸成していきます。この時、部下は上司を見て、上司は経営陣・経営者を見て動いているので、経営者が本当に自社のパーパスを良いと思っているか、パーパスに基づいた経営活動をしていく意思があるかが非常に重要になります。社内でパーパスを浸透させていくためには、経営者がしつこく発信し続ける、やり続けることが大切なのです。

 もう1つは、パーパスは作った後が本当の勝負であるということです。パーパスへの理解と浸透が社内でしっかり醸成されるまで浸透活動を続けなければいけないのですが、これには終わりがありません。新しい社員が入ってくるなど、人の入れ替わりがあってもその状態を維持しなければならないからです。

 これらは実際にやるとなるとハードルが高いのですが、乗り越えた先には必ず企業やブランドの高成長が待っていると信じています。

パーパス・ブランディングにまつわる疑問

MZ:ここからはパーパス・ブランディングについての疑問にお答えいただこうと思います。1つ目は、パーパスを作る時にはコピーライターが必要なのか? ということです。全社員、さらには顧客が納得するような表現に落とし込むのは、なかなか難しいのではないでしょうか?

齊藤:必ずしもコピーライターは必要ありません。しかし、特に大企業の場合などは国内外問わず色々なステークホルダーがいて、それぞれの理解に差が出てきてしまいます。そういった時には、最終的な表現を洗練させるために言葉のプロが必要になると思います。同じことを言っているつもりでも、多くの人に受け入れられる、時代にマッチする言葉というのは、やはり違うんですよね。

MZ:なるほど。最近は、パーパスを軸にした広告を見かけることもよくあります。パーパスそのものを対外的に発信すると、押しつけがましい印象を与えてしまうイメージがあるのですが、そもそもパーパスを対外的に発信する必要はあるのでしょうか?

齊藤:それは難しいところであると感じています。先日、パーパス視点で2021年上半期の優れた広告を選出する機会があったのですが、正直、押しつけがましさを感じてしまうようなものもありました。今はまだパーパス・ブランディングが浸透していく過渡期なので、仕方がない部分もあると思います。

 質問にお答えすると、事業内容やビジネスモデルにもよりますが、パーパスを対外的に発信することは基本的には必要でないと考えています。なぜならパーパスは、その事業に関わる人がそれを基に判断・行動をしていくためのものであるからです。ですので、パーパスのメッセージをそのまま発信するのではなく、商品やサービスに昇華させて届けることが理想であると思います。

 ただ、投資家や地域社会など顧客以外のステークホルダーに対しては、商品やサービスを介さずに、会社やブランドのことを理解してもらわなければならない場面が出てきます。その際にパーパスは有効なツールになってくれます。

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パーパス・ブランディングは利益と相反するのか?

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2021/09/10 08:30 https://markezine.jp/article/detail/37077

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