消費財企業のデータドリブンマーケティング
「データとは、我々のマーケティングに対するお客様からのフィードバックだと考えています」。サントリーコミュニケーションズの篠崎氏はこのように口火を切った。顧客体験を設計し、各タッチポイントからデータを蓄積し、分析するという流れで行われるデジタルマーケティング。サントリーコミュニケーションズでは、その目的を「顧客理解」と「顧客体験の改善」であると定義しているという。
「購入前の認知、興味関心、購入、飲用、その後の口コミも含めて、いかに良い体験を提供できるかを意識しながらデータ分析のサイクルを回しています」(篠崎氏)
一方で、サントリーのようなBtoBtoCの消費財メーカーにおけるマーケティングでは、次のような疑問が浮かばれることが多い。「メーカーと消費者の直接的な接点にはつながらないのではないか」「飲み物はネットで検索して購入するようなカテゴリではないため、デジタルとの親和性は良くないのでは?」「流通の方々とどう協業していくのか」。
これらは実際に、サントリーの中でも悩みの声としてあがっていたものである。大手消費財メーカーとして最適なデジタルマーケティングの形を構築していくことが求められていたのだ。
アプリを起点に三方良しの世界を作る、型にはまらないデジマ施策
先述の課題解決を目指した施策として、篠崎氏は「SUNTORY+(サントリープラス)」という健康経営サポートのアプリを紹介した。
今、多くの企業で健康保険料の増加が問題になっている。サントリーも例外ではなく、健康保険料を低減するためには、従業員がいかに健康習慣を取り入れるかが重要となる。SUNTORY+は、ここに着目したアプリだ。
アプリで健康診断をすると、自販機で利用できるポイントが付与されるなど、お得な特典を得ることができる。従業員が手軽に楽しく健康習慣を改善していくことで、企業は健康経営を実現し、サントリーは企業への設置自販機を増やすことができる。まさに三方良しの姿を目指して開発されたという。
2020年12月にリリースしてから1年以上が経過した今、どのような状況になっているのだろうか?