Cookieでは捉えられなかった細かい粒度でのパーソナライズを実現
MZ:Cookieレスの流れを受けて、これからどのような考え方が必要となってくるでしょうか?
岩本:Cookieレスは、デジタルの良さであるリターゲティングが難しくなるという地殻変動に相当する大きな変化だと見ています。そもそもなぜCookieレスの方向になったのかを考えてみると、極端なリターゲティングやエンドユーザーが嫌になるような広告が多く、それがプライバシーへの懸念に繋がっていったと言えます。
これからは接触したお客様と一期一会の関係を構築していくという考え方が求められると感じています。そこから正しい接客、正しいコミュニケーションをして友だちになる。そのためには、透明性のある正しい視覚化が必要です。我々広告代理店も、「本当に事業主様のためになる人を送客できているのか?」という問いを追求していく必要があります。
MZ:最後に、3社それぞれの今後の展望をお聞かせください。
志水:デジタル化によって、お客様がご購入までにショールームに来店される回数が減っていることはすでに顕著ですが、最近ではWebサイトなどのデジタル上での来店までも減ってきており、新しい傾向も見られ始めています。世の中の情報化が進んだことで、ブランドとお客様との接点がますます減少傾向にあり、限られた接点での情報の質を向上させることが急務と考えております。リアルやデジタルを問わず、お客様の分析を進め、常に期待を上回るようなブランド接点の構築に努めていくことが当面の目標です。
岩本:ポストCookieという意味で、CAPIはオフラインのデータを組み合わせた可視化を実現するための良い機会を提供してくれました。より本質的な支援ができるようになったと実感しています。さらにこれからは、クリエイティブやより精緻な運用についても検証していきたいです。
河村:CAPIはWebサイトに限らず、来店データ、購入データなどオフラインデータとの統合まで進めることができるという点で、Cookie規制への対応策を超えた技術と言えます。Cookieでは捉えられなかった質の高いデータを集め、配信や検証の最適化が可能になるのです。より強固なパーソナライズをした形でのキャンペーン設計を推進できるよう、導入をサポートしていきたいですね。
たとえば、これまでは「Webサイトでディーラーの訪問予約をしたお客様」という粒度で最適化やターゲティングを行ってきたのに対し、「実際に試乗をしてディーラーを訪問したお客様」など、より細かな粒度でデータに基づいたコミュニケーションを展開できます。
先ほど岩本さんが“おいしいご飯”という喩えを使われましたが、質の高いデータを使うことで、直近の購入者を除外したり、買い替え時期にあるようなお客様にコミュニケーションしたり、購入者に似た特徴を持つ新規のお客様にアプローチするなどが可能になります。今回のプジョー様のように、今後はWebデータに限らず、オフラインデータを活かしたキャンペーン設計まで活用の幅を広げていきたいです。