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ワールド マーケティング サミット オンライン2021

新著の「H2H」にも言及。フィリップ・コトラー氏が予測するコロナ後の世界、ビジネス、そして消費者


人々に愛されるトップ企業は、マーケティングコストが低い

 ブランドアクティビズムについては、「消費者や国家、地球が抱える喫緊の課題を明らかにする方法だ」と説明。政府の多極化により国民を守る役割が麻痺する中、経営トップが変革のために立ち向かうことの重要性を指摘した。

 実際に、CEOの76%が政府を待たずに自ら変革を起こしたい、そして73%が企業は利益を上げて経済や社会を良くするアクションを起こせる、と回答したという。コトラー氏は、「ユニリーバしかり、利益と社会善は両立する」「企業はどうしたら信頼を勝ちえるか、より高次なパーパスとは何かを問わなければならない」と力を込め、消費者は企業が何を大切にしているかを見ている、と改めて強調した。

講演資料より(クリック/タップで画像拡大)ブランドアクティビズムが鍵になる
講演資料より(クリック/タップで画像拡大)
ブランドアクティビズムが鍵になる

 そして、トップ企業25社の分析が明らかにした愛される企業の共通点を「Firms of Endearment(愛される企業)」として紹介。そうした企業は、次のような要素を有している。

愛される企業の特色

・あらゆるステークホルダーへの配慮
・巨額でない経営幹部の報酬
・開放的なオープンドアポリシーに則り末端の社員でもトップに提案できる組織
・従業員への高い報酬や手厚い福利厚生
・熱い顧客志向の社員
・最大の資産と捉えられる企業文化
・生産性と品質を上げコスト低減を実現するためのサプライヤーとのパートナーシップ

 最後にコトラー氏は「驚くなかれ、顧客に愛される企業は、広告ではなく家族や友人への口コミで製品が広まるため、低いマーケティングコストを実現している」と付け加えた。

 こうした事例として、社員に給与、賞与、自社株でモチベーションやオーナーシップ意識を高め、納税とあわせた社会貢献を実施する多面的な循環サイクルを実現するYKKを紹介。

講演資料より(クリック/タップで画像拡大)コトラー氏が賞賛するYKKのサーキュラー経営
講演資料より(クリック/タップで画像拡大)
コトラー氏が賞賛するYKKのサーキュラー経営

締めは恒例のメッセージ

 最後にコトラー氏は新著の「H2Hマーケティング」に触れ「無駄なマーケティング、倫理にもとるマーケティング、無意味なマーケティングが3大禁忌」と述べ、人間としてのアプローチの重要性を忘れてはいけないと強調した。

 そして毎年恒例の「あなたが5年後、変化なしに今と同じ仕事をしていたら、廃業する」とのメッセージを口にし、「世界は変わり、新しくなった。(変わらなければ)あなたは終わる」と警告して、続く講師たちにマイクを渡した。

コトラー氏からのメッセージ
コトラー氏からのメッセージ

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この記事の著者

上瀧 和子(コウタキ カズコ)

共同ピーアール株式会社 総合研究所(PR総研)副所長、テクノロジーリード。現SCSKのマーケティング、現ソフトバンクの広報に従事後、PR業界に転じ、テクノロジーとインクルージョンの知見を柱にグローバル企業のコミュニケーション支援、SDGs・ESG投資推進のシンクタンク運営にあたる。IABC(国際ビジネスコミュニケー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/08 16:50 https://markezine.jp/article/detail/37435

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