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社員の「好き」で顧客とつながる、フェリシモの推し色ブランド「OSYAIRO」誕生ストーリー


推し色をご存じだろうか。応援するアイドルやキャラクターをイメージする色を指し、近年では運営サイドが担当カラーを設定するケースも増えている。今や「色」は、推し活に欠かせない要素だ。フェリシモは、推し色を切り口としたブランド「OSYAIRO」を展開。「これが欲しかった」のニーズを反映し、推し活を楽しむ層の間で存在感を高めている。OSYAIROを立ち上げた背景と目的について、フェリシモ オタク活動推進部 部長の山川真記代 氏と、部活推進相談所 若狭文男氏に話をうかがった。

※取材した両氏は次の主業務とあわせて、部活制度に参加しています。
若狭文男氏:クラスター開発本部 生活雑貨事業部にて生活雑貨事業の統括を担当
山川真記代氏:クラスターMC本部 ファッションMC統括グループ 販売作戦グループにてファッション事 業におけるマーケティング戦略の計画・実行を担当

ブランドが生まれたきっかけは、「推しの喪失」

MZ:まずは、OSYAIROについて教えてください。

山川:2019年にスタートしたOSYAIROは、“大好きな「推し」の色をもっとふつうに毎日に。” をコンセプトとした、ファッション雑貨のブランドです。

 「推し色を日頃から身につけたい」気持ちを叶えるだけでなく、推し活をする上で「こんな機能があったらいいのに」を形にしたアイテムをお届けしています。これまでに、応援うちわをすっぽり収納できる「うちわバッグ」や、観劇などの遠征に役立つ機能が満載の「遠征バッグ」など、オリジナルのアイテムを開発してきました。

MZ:そもそも、どのような背景からOSYAIROをスタートされたのでしょうか。

山川:私は長年、某アイドルグループのファンでした。しかし、解散してしまって……。あまりにも突然のことに、推しの喪失を2年ほど感じていました。

 それでも、アイドルを応援している友人に会ったり、推し活をしている人たちの楽しそうな様子をSNSで見たりしているうちに、「アイドルってキラキラしていていいな」と改めて思うようになりました。遠ざかっていたアイドルの世界に再び関心を持つと、世の中の推し活の活発さや、情報収集の意欲が以前に比べ非常に高まっていることに気づきました。

 そこで、推しのいる方々が喜んでくれる、もっと推し活を楽しめるアイテムを作りたいと考え、フェリシモの部活制度に申請して「フェリシモオタク活動推進部(以下、オタ活部)」を発足し、OSYAIROをスタートしました。色に着目したのは、日頃から使うアイテムが推し色ならば、推しを身近に感じられたり、いつも意識したりすることができて、もっと推し活を楽しめると思ったからです。

同じ“好き”からお客さまとつながる、フェリシモの部活制度

MZ:若狭さんは生活雑貨事業の統括責任者を務めるかたわら、部活推進相談所として部活制度に参画されていますね。フェリシモの部活制度とは、どのような制度ですか?

若狭:社員の好きなことをテーマに、夢を叶えたり、新しいチャレンジをする活動です。個人の熱意だけでなく、「好きな人たちと一緒に何かを楽しみたい」「こんなアイテムがあったら、みんなが嬉しいのではないか」のように、みんながしあわせになる活動であることが条件です。部活は所属部署を問わず3名以上集まればスタートでき、チャレンジしたいと声が上がれば積極的に承認され、業務時間の一部を活動に充てられます。

 これまでも猫好きなお客さまと一緒に活動するフェリシモ猫部や、お寺文化を取り入れたフェリシモおてらぶといった部活が事業化し、様々なアイテムが登場しています。

フェリシモの部活(一部)
フェリシモの部活(一部)

MZ:社員の「好き」を軸に、価値観や趣味に共感する人が集まる仕組みですね。部活動の数だけ、多様な価値観での顧客接点を生み出すイメージでしょうか?

若狭:はい。ビジネスを1番の目標とせず、「好きな気持ち」からお客さまと絆を作り、商品やコミュニケーションを介して、継続的なお付き合いをしていく関係性をたくさん作りたいと考えています。

 性別や年齢といったデモグラフィックやライフステージによるカテゴライズは、あまり適さない時代です。「好きな気持ちを、どのように束ねて形にし、独自の価値を産み出し、どのように届けていくか?」が部活のテーマですね。「フェリシモはちょっと違うね」と感じていただけるオリジナリティのある活動であるべきなのは、私の担当する生活雑貨事業全体の活動とも共通しています。

MZ:オタ活部には、どんなメンバーが集まっているのでしょう?

山川:私の通常業務はフェリシモのカタログ制作で、他のメンバーは商品企画が多いですね。私はアイドルファンですが、観劇やアニメなど、いろいろなジャンルの推しや好きなものを持ったメンバーが参加しています。また、商品を製作する際には、部活外の社員に協力してもらうこともあります。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/13 12:02 https://markezine.jp/article/detail/37771

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