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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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MarkeZine Day 2021 Autumn

「小さく始めたからこそ、上手くいった」日立製作所のBtoBマーケのPDCAサイクルが回るまで

 営業活動の変化にともない、BtoB企業におけるマーケティングの重要度は年々高まりつつある。しかし、アカウント営業が主流の企業では「マーケティングはいらない」という考えが依然として強いようだ。社内での合意が得られにくい中で、どのようにマーケティングを浸透させていけばいいのか。「MarkeZine Day 2021 Autumn」に登壇した日立製作所の佐藤氏は、営業が強い組織の中で、スモールスタートでBtoBマーケティングを推進。最終的には全社的な取り組みにまで拡大した経緯を解説した。

点から線のBtoBマーケティングを目指して

 日立製作所は、ヘルスケア事業を扱うライフ部門、鉄道や移動手段を扱うモビリティ部門、産業・流通事業を扱うインダストリー部門、電力事業を扱うエネルギー部門など、事業ごとに組織体制を築いており、それぞれの分野のお客様に相対している。

 その中で佐藤氏は、IT部門内システム&サービスビジネス統括部門の営業統括本部に所属しながら、IT部門を含めた全社のBtoBマーケティングを推進している。

株式会社日立製作所 システム&サービスビジネス営業統括本部 サービス営業推進本部 営業企画部 部長代理 佐藤 正樹氏
株式会社日立製作所
システム&サービスビジネス営業統括本部 サービス営業推進本部 営業企画部 部長代理
佐藤 正樹氏

 1990年に日立製作所に入社した佐藤氏は、設計部門やビジネスPC周辺機器の開発、営業支援部門での販売強化プロジェクトなどを経て、2007年にプロモーション部門へ異動。展示会やセミナーなどの集客施策を担当したのち、2018年にプロモーション部門のデジタルマーケティングチームの立ち上げを任された。

 「デジタルマーケティングチームが立ち上げられたのは、点在していたマーケティング施策を線でつなげ、全体状況を可視化するためでした」(佐藤氏)

 デジタルマーケティングチームが立ち上げられるまで、日立製作所ではマーケティング施策ごとにチームが分かれており、手段の目的化が問題になっていた。たとえばWebを担当するチームは、オウンドメディアのPV増加やメールのクリック率を高めることが目的になってしまっていたという。

 その状況を打破すべく、佐藤氏はデジタルマーケティングチームの立ち上げに際し、なぜ同組織が存在するのか目的を明確にした。

 「様々な施策をつなげて、お客様が必要なときに必要な情報を提供し、最終的に営業部門へホットリードを渡せる状態がマーケティングチームとしてのあるべき理想です」(佐藤氏)

 この理想に向けて佐藤氏は最初に、各チームの施策をつなげる仕組み作りから開始。匿名のリードから見込み客に転換していく過程を定量的に把握し、成果を検証できる状態を作っていった。

粘り強い交渉で営業との協力体制を構築、MAを本格導入へ

 展示会リードのスコアリングを実施するためMA(マーケティングオートメーション)を評価導入するなど、徐々にデジタルマーケティングの仕組みを整備してきたデジタルマーケティングチーム。しかし、「営業部門との連携にかなりの時間と労力を費やした」と佐藤氏は語る。

 「当社はアカウント営業が主流で、『お客様に直接訪問して会話しているし、既存顧客の対応で十分だから、Web上のデータや、展示会経由でのリードは特に必要ない』と断られることもありました」(佐藤氏)

 佐藤氏は、それでも諦めずに様々な事業の営業部門と粘り強く交渉を続けたところ、製造業を対象に提案を行う部門で新規ソリューションを対象に、マーケティングを営業と協力して行えることになったという。

 そして、佐藤氏は次のステップとして、評価導入していたMAを本格的に導入した。外部イベントや自社開催イベントに来場した見込み客の中から新ソリューションに関心の高そうなターゲットを絞り、ホワイトペーパーや導入事例の資料ダウンロードを案内。資料をダウンロードしたリードに関しては、名寄せや会社情報の付与などを行うことで、営業担当者が活用できる状態に整備した。

 さらに、MAを活用したスコアリングも実施。高いスコアを記録した見込み客には自社セミナーを案内し、コミュニケーションを密にしてサービス理解を深めてきた。

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/37839

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