SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

電通グループのデジタル領域3社が描く、DXの最前線(AD)

マーケティングDXを阻む“部門間の壁”を解消するには?電通グループ3社が実現する「橋渡し」の方法

 DXの必要性が説かれ、多くの企業でマーケティングシステムが導入されつつある一方で、自社における具体的な活用の形や新たな顧客体験を生むまでの道筋が固まっていない企業も少なくない。電通、電通国際情報サービス(ISID)、電通デジタルの3社は、こうした課題の解決を支援するため、互いの強みを活かした新たなソリューション「DX診断 for システム」を2021年6月にローンチ。マーケティングシステムに特化した課題の抽出とソリューションを提示する。サービスの概要とともに、現状のマーケティングDXに見る課題感とその対策について話を伺った。

課題は「部門による分断」「システム導入がゴール、作って終わり」

MarkeZine編集部(以下、MZ):企業が現在推進するDXについて、皆様それぞれの課題感を教えてください。

(左から)電通 トランスフォーメーション・プロデュース局 ISID戦略部 倉岡正和氏、ISID コミュニケーションIT事業部 マネージャー 宗宮大輔氏、電通デジタル データ/テクノロジーストラテジー部門 部門長 齊藤寛樹氏

(左から)電通 トランスフォーメーション・プロデュース局 ISID戦略部 倉岡正和氏

ISID コミュニケーションIT事業部 戦略ビジネスユニット デジタルマーケティング部 部長 宗宮大輔氏

電通デジタル ビジネストランスフォーメーション部門 部門長 齊藤寛樹氏

宗宮:マーケティングDXのテーマは顧客体験の変革です。テクノロジーの活用が以前にも増して欠かせないなか、DX推進を担う組織において、マーケティング担当とシステム担当が部門の垣根を越えて対応することが求められている状況にあります。

 一方で、それぞれの専門性が深まっていることで、簡単に垣根を越えるのは難しい。どの企業様も組織面や人材面で苦労されています。

倉岡:クライアント様からは、他社でシステムの導入と運用を相談する際、「システムの話に特化してマーケティングの話が出てこない、またはその逆だ」というお声をよくいただきます。システムを作っても実際の売上につながるのか、費用対効果に対する不安もお持ちです。

宗宮:さらにマーケティング領域のシステム開発に関しては、もはや従来のウォーターフォール型では時間がかかりすぎて時代の要求に間に合いません。スモールスタートでよりスピード感を持って立ち上げることが求められています。

 現場主導のアジャイル型で成長させていくことが重要であるため、オールウェイズオンで、環境変化に対応しながら運用する必要があります。システムの機動性や、将来的な拡張性、成長性を加味したテクノロジーがより求められる時代ですね。

齊藤:システム導入後についても「システムは入れているがマーケティングに活かせていない」「部署で分断されている」という悩みはよく聞きます。DXと言えばシステムやツールの導入自体が目的になっているケースもあり、似たツールが各事業部でバラバラに導入される事態も見受けられます。

 マーケティングシステムは、「作って終わり」の業務システムとは異なり、クライアント様の状況や環境の変化に常に対応しながら、オールウェイズオンで運用しどんどん進化させていかなければいけない性質を持っています

倉岡:部門間の調整に奔走しシステムを構築することで力尽き、作ったあとどのように活用していくか考える余力が残らないという話をクライアント様からお聞きすることもあります。システム基盤を作ることは大事ですが、マーケ部門の方にシステムを使ってもらって効果を出すことはそれ以上に大切なこと。マーケティング視点とシステム視点両方をバランスよく兼ね備えたチームづくりが重要です。

マーケティングシステムに特化した課題抽出を行う「DX診断 for システム」

MZ:電通、ISID、電通デジタルは、2021年6月より、マーケティングシステムに特化した課題の抽出とソリューションを提示する「DX診断 for システム」のサービス提供を開始されましたね。その詳細を教えてください。

倉岡:電通と電通デジタルでの共同ソリューションとして、企業のDX課題を可視化する「DX診断」があります。「DX戦略」「顧客体験変革」「システム変革」「データ・人材変革」「組織・業務変革」の5つの視点で問診し可視化するサービスです。

 DX診断 for システムは、DX診断を通じて「システム変革」課題が明らかになった際に、システム課題のさらなる深掘りと課題解決策を提示するサービスとして提供しています。システム課題が顕在化しているクライアント様の場合には、DX診断を経ずに最初からDX診断 for システムをご活用いただくことも可能です。

 具体的には、マーティングとシステムに精通した人材が伴走しながら2時間×4セット(約2ヵ月間)の問診とヒアリング、課題分析を行います。問診とヒアリングは、(1)どんなデータを保持しているか、(2)保持しているデータをどのように施策でアウトプットしているか、(3)データをどのように管理し、分析で活用しているかの3つの軸で行い6種類の診断結果をお出しします。

DX診断 for システムの概略図

MZ:マーケティングシステムの導入をこれから検討される企業も多くあると思います。そうした企業の場合にはどのようなサービスが提供可能ですか?

倉岡:DX診断 for システムは導入済みの企業が対象となりますが、3社ともシステムへの知見や経験を活かしたサポートをすることが可能です。

 これから導入という場合、事情も思惑も違う複数部署を部門を超えて束ねながら要件を整理していく必要がありますが、うまく行かずに部分最適なシステム、パッチワークのような状態になるケースも多く、またIT視点のみで導入が進むと利活用されない基盤になる可能性が高いです。

 そうならないためには、開発に進むためのRFP(Request for Proposal/提案依頼書)を作る時点で、どんな顧客体験を提供したいのか、どのような施策や分析を実施したいのかというマーケ視点もバランスよく織り交ぜていく必要があります。我々はそうしたRFPを作るところからもサポートが可能です。

マーケティング、システムの垣根を越えたチームに

MZ:今回のサービスにおいて、3社で取り組む強みはどんなところでしょうか。

倉岡:電通グループは国内に約130社あり、なかでも電通、ISID、電通デジタルはこのマーケティングシステムに必要な専門性を兼ね備えた会社です。マーケティング、ビジネス、システムの各領域を理解するメンバーが課題に向き合って、問診から診断結果のご提示まで伴走します。マーケティング、システム両方の視点から構想だけではなく、実現性まで踏まえてご提案できることが特徴です。

 電通の役割は、マーケティング戦略や顧客体験設計。日頃からお付き合いのあるクライアント様の場合は、そこで培った事業戦略やマーケティング戦略への理解を社内連携しながらマーケティングシステムに落とし込みます。初めてのお取引の場合はクライアント様のビジネスの方向性や戦略からお聞かせいただいています。

宗宮:ISIDは金融、製造、企業経営など幅広い領域で専門特化した業務のシステム構築実績を持つ企業です。一方でマーケティング領域においても、電通グループならではの知見を強みとしているため、マーケティングとシステムの二刀流でバランスよく対応できることがユニークな点だと思っています。

 また、幅広くベンダーとのパートナーシップを持つため、第三者的な立場から客観的に評価して、きちんとデザインしていけます。3社での強みは、各社の「役割分担」ではなく、混ざり合って推進していけるところですかね。

齊藤:電通デジタルは、マーケティング施策のプランニング、データマイニングで力を発揮しています。「マーケティングシステムを作って終わりではない。運用で進化させていく、成長させていく」という視点を入れていることが一番のポイントですね。マーケティングシステムに必要な専門性をチームで担保しています。データマネジメントの強みでは、AIや機械学習を理解しているメンバーもおり、それぞれのシステムの有用性を評価できる体制が整っています。

倉岡:このような各社が持つシステムへの強み、マーケティング施策への強みが一体となって、両方を走らせられることが、この座組の強みだと思います。

マーケティングシステムの世界を電通グループ3社が翻訳

MZ:DX診断 for システムのクライアントにおける具体的なユースケースを教えてください。

齊藤:クライアント様の現場担当者にとって、今回のような診断系のソリューションで提供している「第三者的な評価」は、社内で上申していく際に役に立ちます。自社システムの現在地がわかるので、危機感を持ち取り組むべき理由を作る上でインパクトのある材料になるのです。診断結果はマーケティング部門、システム部門の双方がわかりやすい形で提供します。

診断結果として提供する6つのアウトプットのうちの1つである「DXシステム診断サマリー」の例
診断結果として提供する6つのアウトプットのうちの1つである「DXシステム診断サマリー」の例

宗宮:診断の際の問診も、選択式で答えやすくしました。そこにもISIDの知見が活かされています。マーケティング部門、システム部門のどちらの気持ちも理解しているので施策とシステムのどちらにも寄りすぎず、うまくバランスをとっています。質問自体もその双方部署の方が腹落ちするレベル感です。担当者同士をつなぐことを目指しました。

 普段は顔すら合わせない部署間でも外部会社という第三者が入ることで理解し合えることがあります。システム部門の方が「マーケティング部門はこんなことをやりたかったのか」という気づきにつながることもあるでしょう

倉岡:システム領域とマーケティング領域では、業界の文化をはじめプロジェクトの進め方や見積り方を取っても異なる部分が多いです。そのため、マーケティングシステムのプロジェクトを進める際にスケジュールや見積りの合意を部門間で取り付けるのも大変だったりします。診断を通じて「概算費用とスケジュールが出せるのはありがたい」というお声をマーケティング部門、システム部門の双方からいただいています

「人材のスキル要件」や「将来性のあるシステム」の理解を促進

MZ:サービス開始後、現場ではどのような効果や変化が現れたのでしょうか?

齊藤:些細なレベル感ですと「全社に散らばりよくわからなかったシステムの棚卸しができてありがたい」と言っていただけています。

診断結果として提供する6つのアウトプットのうちの1つである「主要なシステム構成と課題概要」の例
診断結果として提供する6つのアウトプットのうちの1つである「主要なシステム構成と課題概要」の例

宗宮:診断結果は、既存システムの評価のまとめ、システムの将来像、その将来像の根拠ともなる「実現すべき顧客体験仮説」という組み合わせになっています。

 カスタマージャーニーを図で示し、顧客行動ごとにシステムで可能になる顧客体験や、その際に利用する主なシステムを可視化します。そのため、「必要なシステムが顧客体験や得られる効果をベースに理解できてわかりやすい」「目指す顧客体験を軸に、マーケティング部門、システム部門の双方で診断結果を理解することができた」とお声をいただいています。

診断結果として提供する6つのアウトプットのうちの1つである「実現すべき顧客体験仮説」の例
診断結果として提供する6つのアウトプットのうちの1つである「実現すべき顧客体験仮説」の例

倉岡:またシステムを評価すると、どういう人材が必要なのかも見えてきます。必要な人が社内にいない場合は採用が必要です。ただ、採用するにもクライアント側の新規採用チームにおいて必要なスキルがわからない場合もあります。診断を基にスキル要件をまとめられるため、採用エージェントに渡す資料づくりの手助けにもなります

 また業務オペレーションについても考え方が変わってきているように思います。システム診断をするなかで「できれば社内業務を変えたくない」という声を聞くケースもありますが、あくまで既存の業務オペレーションに対応するように多くのカスタマイズをしていくと、担当者が辞めた際などにブラックボックス化してしまいます。旧来のシステムに多い現象です。

 我々は、システムを作ることより活用することに重きを置いているため、その後の業務オペレーションにおける課題も踏まえて提案をします。カスタマイズ自体にも時間とコストがかかりますし、付帯するオペレーションも含め将来性を見据えたシステム開発が必要であることを理解いただいています。

宗宮:先に細かくカスタマイズするよりは、将来の成長性を担保すればいいという思考になってきていますね。将来性とのバランスをとりながら設計していく必要があると思います。

ビジネスグロースに寄り添う、変革のパートナーへ

MZ:最後にマーケティングシステム領域の伴走者として、今後の取り組みの展望を教えてください。

宗宮:我々の強みは、顧客体験から発想し、戦略を含めビジネスをデザインすること。そしてグローバルなテクノロジーの最新トレンドを知っていること。新しいテクノロジーは顧客体験を発想する上でも武器になり、大きくビジネスを変革させます。電通グループ自体がそういうトレンドを発信していく側でありたいですね。

齊藤:注力したいのは、ビジネスをグロースさせるために、システムの活用段階まで最短で行くことです。システム構築に時間をかけるのではなく、使いながら変化させていけるようなスムーズな導入に力を入れたいですね。あとは電通グループならではのクリエイティビティという武器を活かし、新たなサービス開発でも、顧客体験の設計や理想のITアーキテクトを描き、双方をつないでアジャイル的に成長させるところまで一貫して実行することを目指したいですね。

倉岡:3社の強みは、マーケティングとシステムの知見を駆使して、ビジネスの成長を支えられることです。クライアント様の事業をグロースさせるアイデアの発想からオペレーションまでワンストップで伴走し、ビジネス変革のパートナーとして貢献していければと思います。

「DX診断 for システム」についてのお問い合わせはこちら

 電通、ISID、電通デジタルでは、本記事でご紹介した「DX診断 for システム」について企業からのご相談をお待ちしています。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/01/26 15:46 https://markezine.jp/article/detail/37871