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第99号(2024年3月号)
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“モバイルヒーロー”と考えるアプリマーケターのキャリア(AD)

コンシューマーサービスは“生もの” 鮮度を落とさずグロースするポイ活アプリ「トリマ」の事業戦略に迫る

 マーケティングの手法が多様化し、マーケターのキャリアプランは選択の幅が広がっている。本連載では、アプリマーケティングの第一線で活躍するマーケターを取材し、業務の醍醐味や事業成長のヒントを探る。最終回にはインクリメントPの北谷氏と、Liftoff Mobileの天野氏、内藤氏が登場。ポイ活アプリ「トリマ」のグロースを紐解くとともに、第1~4回に登場したモバイルヒーロー達との共通項を探る。

移動するだけでマイルが貯まるポイ活アプリ

MarkeZine編集部(以下、MZ):最初に、皆様のこれまでのご経歴と現職で担っているミッションについてお教えください。

北谷:2003年に新卒採用でインクリメントPへ入社しました。弊社はカーナビ向けのデジタル地図を作る会社として設立され、メイン事業は地図データの調査・整理・デジタル化です。私は現在「トリマ」というアプリサービスのグロースをミッションに掲げ、マネタイズとマーケティングを担当しています。

インクリメントP マップソリューション本部 第一戦略部 トリマ事業グループ 北谷尚大氏
インクリメントP マップソリューション本部 第一戦略部 トリマ事業グループ 北谷尚大氏

天野:私はインモビやクリテオを経て、2017年にLiftoff Mobileの日本オフィスを1人で立ち上げました。アドテク業界歴は20年ほどです。現在はLiftoff Mobileで日本と韓国のカントリーマネージャーを務めています。

内藤:Liftoff MobileでマーケティングとPRを担当しています。これまでのキャリアにおいても一貫してBtoBマーケティングやコミュニティの運営に携わっていました。

(左)Liftoff Mobile Japan Marketing Manager 内藤愛氏(右)Liftoff Mobile Japan & Korea Senior Country Manager 天野耕太氏
(左)Liftoff Mobile Japan Marketing Manager 内藤愛氏
(右)Liftoff Mobile Japan & Korea Senior Country Manager 天野耕太氏

MZ:北谷さんがマネタイズとマーケティングを担当されているトリマについて、詳しくお教えください。

北谷:トリマは移動するだけでマイルが貯まるポイ活アプリです。貯まったマイルを「Amazonギフト券」などの有名ポイントへ交換できるほか、ライフログ機能で健康管理や日記としても活用できます。

トリマ サイトトップ
トリマ サイトトップ

スクラム開発の関連書から学んだノウハウをチームに落とし込む

北谷:サービスローンチの背景には、弊社が地図データの収集方法について抱えていた課題がありました。これまでは新聞などのソースから道路の開通情報や建設中の施設情報を仕入れて図面化していたのですが、事前に情報が入らないケースもあり、網羅には限界があったんです。

 そこで、従来の方法と並行して多くの方が携帯するスマホを通じた動的なデータの収集方法を考えました。たとえば、事前情報では道路がないとされている場所にユーザーの通った軌跡があれば、そこに道路があるかどうかを調べるきっかけにできますよね。大量の動的データを集めるために、ユーザーとの接点としてトリマを開発しました。

MZ:北谷さんはトリマに立ち上げから関わられていると伺いました。立ち上げ時はどのような点に苦労されたのでしょうか。

北谷:トリマではスクラム開発という手法を採用し、開発と企画の2部門が1つのチームとして協働しています。2週間に1回というかなり短いサイクルでプロダクトをアップデートするべく、少ないメンバーで常に情報をやりとりしている点が特徴です。

 プロジェクトが発足した時は既にコロナ禍だったので、コミュニケーションは全てオンライン上で行わなければなりません。オンライン環境下でもパフォーマンスを落とさず、むしろ上げることができる体制の構築に最初の頃は心を砕きましたね。とは言え私はエンジニアではないので、スクラム開発の関連書で1位にランクインしている本を読み、必要なノウハウだけをピックアップして自分たちのチームに落とし込んでいました。

幸せな体験を提供するアプリが競合に

天野:コロナ禍という難しい時期にローンチしたサービスにも関わらず、トリマは一気にグロースしていて素晴らしいです。北谷さんが担当されているマネタイズと集客の観点から、成功要因はどこにあるとお考えですか。

北谷:元々私が広告収益によるマネタイズのノウハウを持っていたことと、業界に知り合いが多くいたことは大きいかもしれません。広告の接触頻度が少ないとインプレッションも上がらないので、ユーザーが納得のいくタイミングを意識しながら出面を設置しました。

 あとは相性の良いアドネットワークを探して回ったことですね。各社に直接コンタクトを取ったり、担当者をつないでもらったりしながら「配信数がこれだけ伸びる可能性があるからCPMを上げてほしい」という地道な交渉を続けました。

 集客については、市場との相性や競合の入札があまり多くないという運によるところも大きいです。ただ、獲得においてはセルフサーブの出稿先を探し、できるだけ自分たちで広告を運用するスタイルを貫いています。代理店を通して出稿するとどうしても当たり外れが出てしまいますし、クリエイティブのクオリティをコントロールするのが難しいので、基本的にはインハウスでやっています。

MZ:ポイ活アプリというジャンルならではの特徴をお聞かせください。

北谷:競合サービスの捉え方でしょうか。たとえばゲームアプリの場合、ユーザーがスマホに向かう時間を他社のタイトルと奪い合うことになりますよね。一方トリマはスマホを起動していなくてもポイントが貯まる仕組みなので、他のポイ活サービスを同時並行で利用いただけるんです。

 そのぶん、競合サービスはポイ活アプリや位置情報アプリに限らないとも言えます。たとえばトリマでは、ユーザーにインセンティブとしてコンビニのコーヒーを還元しているんです。「週に1度、無料でコーヒーが飲める」という幸せな体験を継続利用の動機にしていただきたいというねらいがあり、より大きな幸せを提供するアプリがあれば、そこが競合になります

 人は慣れによって新鮮さを感じなくなるので「コーヒー無料だけでは満足できない」となった時にさらなるインセンティブを還元できる仕組みや、別の価値を提供できるように意識しています。

ユーザーファースト主義と視座の高さがモバイルヒーローの共通項

MZ:この連載ではLiftoff Mobileが運営するコミュニティ「Mobile Heroes」から計8名のモバイルヒーローに登場いただき、4回に亘ってお話を伺ってきました。過去の取材と北谷さんのお話を振り返ってみて、9名の共通項はどこにあると思われますか。

連載に登場した8名のモバイルヒーロー
連載に登場した8名のモバイルヒーロー

内藤:お客様に寄り添う姿勢です。皆様のキャリアこそ十人十色でしたが、達成すべき指標やゴールを追いつつも、北谷さんのようにユーザーの方々への価値提供を考え続ける姿が共通していました。

天野:アプリマーケターというお立場でありながら、サービスを代表し事業全体を見渡す視座の高さは全員に共通していたと思います。ビジネスの状況を語る際も、自社比だけでなくマーケットの中でどう成長しているかを話してくださる方が多かったです。きっと社内も社外もマクロに見ていらっしゃるのだと思います。

コンシューマーサービスは鮮度が命

MZ:では、モバイルヒーローに共通する課題はありますか。

天野:トピックとしてよく挙がっていたのは、組織体制の話です。マーケティング部門とそれ以外のビジネス部門の連携や、「どこまでをマーケティング部門の範疇とするか」という業務の切り分けに課題を感じている方は多かったように思います。

北谷:弊社では他部署と連携し、自分たちが先導してどんどんトライしていきながらスピード感をもって動いています。それができるのは、トリマが自走を前提に発足したプロジェクトだったからかもしれません。コンシューマーサービスは“生もの”なので、クイックに施策を打たなければ鮮度が落ちてしまう気がするんです。

天野:私も北谷さんと同意見です。特に大企業は施策の実行まで時間を要する傾向がありますよね。一方で、連載の第3回に出てくださったミクシィの道下さんのように、新規事業で培ったスピード感をモンストのような大きい事業にも活かそうと努力されている方もいらっしゃいました。

内藤:皆様から共通のお悩みとして挙がったのは「社外の人との交流機会減少」です。以前はいろんな人とリアルで会って情報交換ができていたのに、オンラインでは新しい人と知り合う機会が少なくなってしまったようです。

MZ:北谷さんは社外の人との交流を重要だと思われますか。

北谷:自分と同じような立場の方とは共通の悩みを話せますし、他ジャンルの方からは各ジャンルに特有の課題を聞けるので、自社では経験していないことも置き換えて想像することができますよね。そうやって得たノウハウは日々の業務にも活かせると思うので、横のつながりやコミュニケーションは大事だと思います。

内藤:アプリ業界は環境変化が激しいので、Mobile HeroesではLiftoffのユーザーであるかどうかを問わず、様々な人がつながっていけるエコシステムを形成していきたいと考えています。

アプリマーケターのキャリアアップにつながる場へ

MZ:LiftoffではMobile Heroesの正式ローンチに向け、本連載や自社ブログを通じた情報発信などの準備を着々と進めてきました。本格始動にあたり、今後の活動予定をお聞かせください。

内藤: 2021年12月9日(木)に「Mobile Heroes Meetup」というイベントを開催し、そこで初めて10名のモバイルヒーローの方々に集まっていただきました。今後も社会情勢を加味しながらモバイルヒーロー同士が交流できる機会を提供していきます。あわせてブログでは、新しいモバイルヒーローへの取材記事を毎月掲載する予定です。

Mobile Heroes Meetupの様子
Mobile Heroes Meetupの様子

天野:これはアドテク業界に長く身を置く中で知ったことなのですが、パブリッシャーやアドマネタイズをしている人たちはカジュアルに集まって情報交換をする一方、出稿側にはそうした文化が希薄で、集まろうとすると大々的なイベントになってしまうんです。来年はイベントと別で気楽に集まれる場を提供したいと考えています。

MZ:最後に、アプリマーケターとして活動中の方や、ネクストキャリアとしてアプリマーケターを検討している読者に向けて、Mobile Heroesへの参加を促すメッセージをお願いします。

内藤:モバイル業界で活躍されている方とお話をすることによって、新たな知見や人とのつながりが生まれることは多いと思います。そういった意味でも、コミュニティなど社外でアウトプットをする機会は非常に重要だと思いますし、それによって自分自身のキャリアのプラスになることもあると思います。参画いただくモバイルヒーローの皆様に価値を還元しながら、モバイルマーケット全体を盛り上げていきたいです。

天野:最近、モバイルヒーロー同士が交流をきっかけに新しいビジネスの創出に至ったそうです。我々が働きかけたわけではなく、自然と事が運びました。今後もビジネスやキャリアチェンジの機会を増やし、意義深いコミュニティにしていきたいと思います。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/01/21 10:00 https://markezine.jp/article/detail/38013