仮説の言語化が肝!マガシークが進めるUI改善プロジェクト
マガシークでもReproが重視する4ステップに沿ったサイト改善プロセスと同様に、自社のUI改善プロジェクトを進めている。同プロジェクトにはディレクター、デザイナー、エンジニアがそれぞれ2名ずつ参加し、計6名体制でテストを実施。効果のあった施策から順次適用しているのだという。
「UI改善」という大テーマだけでは範囲が広すぎるので、満生氏はステップ1で「インパクトが大きい改善ポイントを絞り込むようにしている」と話す。たとえばページ内の購入動線や商品詳細など、比較的購入に近いポイントのほか、使用頻度が高い機能や経由CVRの高い機能などを優先的に改善していく流れだ。
「インパクトが大きいところから改善すると効果が出やすい上、ページや機能を絞って集中的に検証を重ねることでノウハウも溜まります」(満生氏)
インパクトの大きい箇所を変更する際、失敗した場合のリスクヘッジをどのように図っているのか。視聴者からの質問に対し、満生氏は「施策を大々的に検証するのではなく、全体の10%にだけ表示するよう配信ボリュームを絞ったり、影響が少ない日程を選んだりしています」と回答。またインパクトの大きさと着手のしやすさ、両者のバランスを見ながら改善ポイントを決めることもポイントだと語る。
ステップ2では改善案を検討。「あくまで案と割り切り、とにかくたくさんの意見を出すことに注力するのがポイント」と満生氏。その後、検証フェーズへ入る前に必ず「なぜこの施策を行うのか」という目的と仮説を言語化し、効果を測る指標も設計していると述べる。
「テストパターンの良し悪しを測ることはもちろん、ユーザーの理解を深めることが検証目的の1つでもあるので、仮説の言語化は非常に重要なステップだと捉えています」(満生氏)
クーポン帯の表記内容を改善しCVRの向上を実現
テストの完了後は結果の考察とユーザーインサイトの読み解きを実施。得られたノウハウはプロジェクトの運営メンバー全員に共有し、施策の横展開を検討するという。これらのステップに沿ってプロジェクトメンバーが実際に行ったのが、d fashionにおけるdポイントの訴求方法とクーポン表記の改善だ。
「d fashionにはポイントコンシャスなお客様が多い」と語る満生氏。商品詳細ページでも「dポイントが貯まる・使えるメリットを目立たせることで購入意欲が高まるのでは」という仮説を立て、施策を検証した。
検証の結果、あらかじめ計測指標に設定していた「経由受注」「カートイン」「お気に入り登録」の全項目において改善が見られたという。満生氏は検証を次のように振り返る。
「獲得ポイントの表示やポイント倍率アップを示す表示が購入の後押しになるとわかりました。また商品詳細ページにdポイントのロゴを入れることで、獲得可能なポイントがサイト独自のポイントではなく、広く使えるdポイントであることが伝わりやすくなるというのも、検証を通じて得られたナレッジの1つです」(満生氏)
次に取り組んだクーポン表記の改善では「クーポン帯の訴求文言によってCTRに差が出るのでは」という仮説のもと「実質送料無料」と、送料と同額にあたる「440円オフ」という表記違いのクーポン帯を2種用意。ABテストを行った結果「実質送料無料」表記のCVRが高く表れた。
「この検証結果から得られる示唆は、ユーザーが『440円の値引き』よりも『送料無料』にメリットに感じやすいということです。裏を返せば送料に高いハードルを感じているともいえるので、他の施策やキャンペーンを設計する際にも今回の示唆を活かしたいと考えています」(満生氏)