創業40周年、Adobeのテクノロジーで全世界にインパクトを
基調講演は、AdobeでCEOを務めるShantanu Narayen氏からスタート。Narayen氏は冒頭、新型コロナウイルスの影響でデジタル経済が急ピッチで拡大していることに触れた。「リモートワーク、リモート学習、リモートエンターテインメントなど、リモート環境へのシフトが進み、消費者はオンラインショッピングの利便性をかつてないほどに享受している。この1年の間に、米国だけでECの規模は1兆ドルを上回った」とNarayen氏。
また、遠隔医療など物理的世界でしか行っていなかったこともデジタル上に拡大しつつあることから、「話題のメタバースは、物理的世界で人々が行うことと仮想世界で人々が行うことの境界が曖昧になったことを反映している」と述べ、これからの将来がどのようなものになっていくのかを、今再考する必要があると続けた。
とはいえ、企業の目下の課題は、デジタル変革と顧客の変化への対応だ。世界中の企業がデジタル経済に内在する巨大なビジネスチャンスをいかにして掴むか模索しているが、Adobeがここで掲げるのが「make the digital economy personal」である。これは日本語にすると「デジタル経済をパーソナルに」というもの。パーソナルなデジタル経済についてNarayen氏は、「素晴らしい体験の中核には、エモーションがあり、感情的な繋がりがある。コンテンツはその実現において、重要な役割を果たす」と、マーケティングだけでなく、コンテンツの重要性も強調。加えて、「リアルタイムの体験」「あらゆる顧客接点、チャネルをまたぐシームレスなカスタマージャーニー」「ミリ秒単位でデータを処理して顧客の満足度を高める」など、「make the digital economy personal」における重要ポイントを挙げた。そして、「Adobe Experience Cloud」がそれを実現するものとなる。
「Adobe Experience Cloudは、数十億のカスタマープロファイルを持ち、何兆ものトランザクションを活用してファーストタッチから購入に至るまで、すべての接点でパーソナライズされたカスタマージャーニーを実現する」(Narayen氏)
クリエイティブ制作を支援するソフトウェア中心だったAdobeは、2009年に買収発表したOmnitureを通じてマーケティングの領域に進出した。今年創業40周年を迎えるにあたって、Narayen氏は「Adobeが10年以上前にデジタルマーケティングカテゴリを開拓したことを誇りに思う」と述べ、「DTP、イメージング、デジタルドキュメント、動画、ゲーム、デジタルコマース、デジタルマーケティングとAdobeのテクノロジーは社会に影響を与えている」と述べた。
Narayen氏は最後に、Adobeのミッション「デジタルエクスペリエンスで世界を変える」を紹介し、「Adobe for All」「Creativity for All」「Technology to Transform」の3つの柱がAdobeのパーパスの中核をなしていると説明した。